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昨日、民放テレビに映しだされた「注文をまちがえる料理店」にくぎ付けになってしまいました。
「注文の多い料理店」をもじったようなこのネーミングに、聞こえの悪くなっている我耳がうさぎの耳のようにそばだっていくのを感じたのです。
「注文をまちがえる料理店」発起人の小国士朗氏と、実行委員長の和田行男氏が開設しているブログ〈認知症の方と作る「注文をまちがえる料理店」広がれてへぺろの輪〉から、このイベントのきっかけとなった思いや実行にむけての緻密な足取りが読み取れました。
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「注文をまちがえる料理店」は、その名の通り、オーダーや配膳を時々まちがえてしまうレストラン。なぜなら、ホールで働くスタッフは全員認知症の方だからです。
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今年6月に開催したプレオープンイベントのこのレストランでは、認知症の方もお客様も、 みんなが思わず笑顔になってしまう場所となったそうです。
てへッと笑って、ぺろッと舌を出す、 いわゆるてへぺろのロゴマークには、 こうしたこのレストランが持つお茶目な魅力が込められているのです。
プレオープンでは、関係者や知り合い限定のイベントとして開催し、2日で約80名の来店がありました。
認知症の方が働きやすいように、テーブルに番号を振ったり、見やすいオーダー表を独自に開発するなど、様々な工夫をしたのですが、同じテーブルに水を2つ運んでしまったり、テーブル番号をまちがえたり、ホットコーヒーにストローをつけてしまったり、実にてんやわんやの2日間だったそうです。イベント後のアンケートでは実に60%程度になんらかの「まちがい」があったことが判明。
しかし、「まちがい」が起きたとしても、ほぼすべての方が「気にならない」と言い、本当に笑顔のたえない雰囲気だったとのことです。「まちがいがなかったのがちょっと残念だった」と答えた方もたくさんいたそうです。
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普通の飲食店であればトラブルにつながるような問題が、なぜ「注文をまちがえる料理店」では気にならなかったのでしょう。その答えを、当日働いていた認知症の方の言葉が気づかせてくれたそうです。
「昔、食堂で働いたときはさ、間違えたら当然怒られるよね。でも、ここのお客さんは優しいよね。間違えても誰も怒らないもの」
シンプルなこの言葉が強く心に響いたそうで、「ま、いいか」と思える寛容な気持ちは、働く人にとってもお客様自身にとっても、居心地のいい空間が作れるのだと確信を持ったとのことでした。
そして、ついに、「このプレイベントを、次は関係者だけじゃなく、一般のお客様にも入っていただけるものにしよう」「認知症の理解を日本中に届けよう」と考えるように至ったということなのです。
9月16日(土)〜9月18日(祝:敬老の日)、11時00~17時30分まで、東京都 港区 六本木 1-3-37の アークヒルズアネックスで開店。その模様がこの度の報道になったということです。
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「ま、いいか」と思える寛容な気持ちが創り出す居心地の良い空間に、飢えているように感じる私です。
この度の取り組みは発想の転換といい、アイデアの豊かさといい、例えようもなく心が和らぎ、誰にとっても希望が持てる有難い取り組みだと思いました。