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今日も北海道新聞からの記事から。日刊紙の野鳥探見の欄に「ヨタカ」が取り上げられていた。宮沢賢治の「よだかの星」の主人公「よだか」はこのような鳥だったのかと改めてしみじみと見る。
「よだかは、実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、味噌をつけたやうにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけてゐます。」(『宮沢賢治全集5』 ちくま文庫)と作品の冒頭部分に記されている。
『新宮澤賢治語彙辞典』で「よだか」の項を見ると「夜鷹。正しくはヨタカでダは賢治独特の方言ふうのにごり。以下略」とあった。
賢治があまりにきっぱりと醜い鳥と断言していたので、今の今まで、ものすごく感じの悪い、目をそむけたくなるような鳥なのだと思っていたのだけれど、つぶらな瞳が穏やかで、確かに地味ではあるが、意外にかわいいという印象をもった。だから、どうということはないのだが・・・・・・。
「口を大きく開けて飛び回って、飛んでいる虫を取り込んで食べる」と下の記事にある。賢治はこの鳥のこうした特徴をよく知っていたのだ。賢治のヨダカは精神性が高いがゆえに、アイデンティティを確立しようとするさなかにあって、命ある虫を食べなければ生きえない自分が許せなくなってしまう。自然界においては当たり前の生きるための行為を否定しなければ保てない精神をヨダカは宿してしまう。その葛藤はピュアな精神ゆえに自己に向けられていく。彼が向かった先は天空であり、星になるのだが、改めて考えてみると、ピュアな精神が刃となって自分自身を突き刺す方向へ導いていったとも思える。