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苫小牧市文化交流センターで今日まで開催予定の宮竹眞澄「心のふる里人形展」へ足を運んできました。今年3月11日のテレビ放映でこの人形展のことを知り、必ず見ようと思っていたものです。
大分県を故郷にもつ宮竹さんは上川管内東川町の人形作家として、2008年から東川町を皮切りに全国巡回展を続けてこられました。夫婦二人だけの巡回展は次の開催地大分県で100回となることを機に一区切りとのこと。
この苫小牧での開催が道内最後の作品展となります。
東日本大震災などの被災地での慰問展を重ねてこられた宮竹さんは、ここ苫小牧での開催にあたり「人形を見てもらうことで、胆振東部地震の被災者の心を少しでも癒せたら」と語ったそうです。
表情豊かな人形たちが身に着けている着物や衣服は布でできているかのごとくに、模様などが緻密に描かれていました。ランドセルやたらい、水桶のそばに置かれたキャベツなど挙げるときりがないほどに、細々とした身の回りの物すべてがリアルに表現されていて、驚いてしまいました。
緻密に作られていて素晴らしいと伝えると、「モデルになっていただいた方々のことを思うと手が抜けなくなってしまうのですよ。」と話されていました。
戦時中や戦後まもなくの市井の人々の姿もありました。眞澄さんの作品としてはめずらしく、笑顔のない表情が印象的でした。
また、開拓期の開墾のようすやどさんこが荷物を運ぶ姿もあり、思わず開拓の村の雰囲気に似合いそうなどと思い浮かべてしまいました。
チラシには「宮竹が、常にテーマにするのは、明るく、逞しく生きる市井の人々。身近な人々を題材にし、布を使わず粘土と水彩だけで創られた人形は、多彩な表現で不思議な感動の世界に誘います。」とありました。
戦災や災害に遭い、哀しみに満ちた表情の人形たち、それを乗り越えようと、きりりとした表情をみせる人形たち、それがあまりにけなげで涙がこみ上げてきました。
人形たちの傍らに添えられた一文も心にしみじみとしみいるものでした。
展示会場となったアイビープラザ・1階ギャラリーには64点が並び、私たちをはじめ大勢の方が訪れていました。これが見納めになるのかと思うと、少々残念な気もします。でも、道内最後となる展示会で一つ一つの作品をこの目でじかに見て、完成度の高さに驚き、人形たちの表情や姿からその思いを感じたり、想像したりできたことを本当に嬉しく思いました。