「われわれは君のことが好きだった。でもその日々はもう終わったんだ」
アメリカの共和党の政策に絶大な影響力を持つNRA=全米ライフル協会の元会長デビッド・キーン氏は中間選挙のあと、NHKとのインタビューでトランプ前大統領についてこう述べました。
選挙最終盤には共和党に勢いがあるという見方も広がる中、選挙期間中からトランプ氏の影響力に懐疑的な見方を示していたキーン氏。
選挙のあと語ったのは、トランプ氏との“決別”でした。
デビッド・キーン氏とは
1970年代、ニクソン政権で副大統領をつとめたアグニュー氏の政治アドバイザーとしてワシントンでのキャリアをスタートさせたデビッド・キーン氏。
ニクソン元大統領(左)とデビッド・キーン氏(右)
レーガン氏の選挙戦で地域の責任者となったほか、1980年のブッシュ氏の選挙戦では政策責任者に。一番長く務めたのが保守派集会「CPAC」を運営する政治団体の代表。その後、オバマ政権時代にはNRA=全米ライフル協会の会長もつとめました。
選挙前の10月「みんな前を向いていきたいのにトランプ氏は過去を見ている」とその影響力に懐疑的な見方を示していたキーン氏。トランプ氏が早々に大統領選挙への立候補を表明した今の状況をどう見ているのか、オンラインでインタビューしました。
※以下、デビッド・キーン氏の話
なぜ共和党は予想よりも苦戦したのか?
理由はいくつかある。
1つはトランプ氏だ。投票日まで残り2週間となった時に積極的に自分の選挙活動を展開しはじめ、それによってトランプ氏の話ばかりになった。そのため、この国が直面している本当の問題から注意がそれてしまった。
トランプ前大統領
多くの激戦州では資金面の課題もあった。ここ数年、民主党のほうが選挙資金が豊富になっている。さらには経験のない新人候補が多かったことも大きかった。彼らは選挙終盤で間違いを犯し票を失った。特に上院選では候補者の質が影響した。
また、最近の選挙では期日前投票の割合が増えていて“投票日”ではなく“投票シーズン”になっていることも理由の1つとしてあげられる。
例えばペンシルベニア州では半分以上の票は候補者による討論会の前に投じられた。ほかの州でも同じで民主党はそれをうまく利用した。一方で共和党は“投票日”であるべきという考え方が強く期日前投票はあまりしなかった。