医療現場も「ウィズコロナ」…心疾患やがんの感染患者、それぞれの専門医が診療
2023/01/15 13:14
国内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されて15日で3年となる。これまで8回の大きな流行の波があり、今の第8波でも病床は逼迫ひっぱくしつつあるが、医療機関ではコロナ患者の受け皿を広げて乗り越えようとする動きが加速している。入院調整などを担う保健所の業務も効率化され、現場では「ウィズコロナ」への転換が進む。(星野達哉、戸田貴也)
持病治療に力
「コロナ患者でも、心疾患やがんなどの持病の治療に力を入れられるようになった」。コロナ病床を確保する神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉総合病院(病床669床)の小林修三院長は、昨夏の第7波までと今回の第8波との対応の違いをこう説明する。
同病院は第7波収束後の昨年9月末、診療態勢を強化した。それまではコロナ患者はすべて限られた少数の担当医が診療していたが、心疾患やがんなどの持病を抱える患者の場合は、それぞれの専門医がコロナも診る態勢に転換した。オミクロン株で持病を悪化させて亡くなるケースが増える中、患者にとっては専門医の質の高い医療が受けられることになる。
今年に入り、発熱患者を含む急患の救急搬送は1日100件を超え、80床あるコロナ病床の使用率は70%台に達している。小林院長は「受け入れはギリギリの状態が続いている」とした上で、「肺炎で重症化する患者は減った。医療も、通常診療とコロナ診療を両立させながら『ウィズコロナ』へと向かっていく必要がある」と話す。
感染管理を緩和
院内の感染管理に関する国の指針も緩和され、新たにコロナ病床を確保する病院も増えている。
厚生労働省は昨年6月、感染の恐れがある区域などを分ける「ゾーニング」について、「病棟単位」ではなく「病室単位」でも可能と通知した。これを受け、神奈川県では昨夏以降、それまで設備の制約などでコロナの入院患者を受け入れてこなかった病院に呼びかけ、新たに約30病院がコロナ病床を確保した。
コロナ病床の逼迫を軽減するため、一般病床の活用も進んでいる。厚労省によると、コロナの入院患者約4万4000人(11日時点)のうち、コロナ病床以外に入院している人は約3割(約1万5000人)を占め、1割台だった昨冬の第6波ピーク時より拡大している。
要因の一つに自治体独自の取り組みがある。
大阪府は昨年5月から、府内の約500病院に対し、病床の10%程度を自院で感染が判明した患者用に確保するよう要請している。昨年7月の調査では、コロナ受け入れ病院の8割、非コロナ病院の6割が「備えている」と回答した。
愛知県も、重症化の恐れがない限り、自院での治療を呼びかける。県の担当者は「新型コロナはオール医療で診る体制を整えていく必要がある」と話す。
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