ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヤエヤマヒルギ

2017年07月25日 | 草木:ヤシ竹特殊類

 マングローブとは「亜熱帯や熱帯の河口・潮間帯の泥地に発達する特異な植物群落」(広辞苑)のことで、沖縄ではメヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ハマザクロ(マヤプシキ)、ヒルギダマシ、ヒルギモドキなどがその群落を形成している。
 この内、メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギは同じヒルギ科で互いによく似ている。不勉強の私は、若い頃からマングローブは見ていて、そこにヒルギなる名前の植物があることは知っていたが、どれがヒルギであるかを知らずにいた。不勉強の私はまた、沖縄の植物を紹介するようになったのは2004年のことだが、それから何年も経った2009年になってやっとオヒルギとメヒルギを区別できるようになった。そして、それから2年も経った今年7月になって、やっとヤエヤマヒルギを確認することができた。

 私の家から車で20分程も行った所に漫湖(マンコと読む、声に出し辛いだろうが)公園がある。そこにヒルギの群落があることは何年も前から知っていた。年に1回程度は漫湖公園を散策しており、これまで3、4回はヒルギ群落のある個所も訪れている。
 そして、そこには二種のヒルギがあることも認識していた。私が認識できるほどに見た目の違いがあったのだ。しかし、そのうちのどれがオヒルギなのかどれがメヒルギなのかは判らない。2009年に別の場所で見たオヒルギとメヒルギから両者を区別できるようになって、「あー、漫湖公園の一方はメヒルギなんだ」と判った。
 一方はメヒルギと判ったが、もう一方はオヒルギでは無い。じゃあ何だ?ということで今年7月、ヒルギ3種の花の時期でもあったので漫湖公園に出かけた。漫湖の2種のヒルギは花を付けていた。メヒルギはもうお馴染みの花、もう一方は写真を撮って、家に帰って、図鑑と照らし合わせて調べる。何と、ヤエヤマヒルギだった。
 ヤエヤマという名前から八重山地方に生息するヒルギとばかり思っていたので、そうである可能性を考えていなかったのだ。先入観は学問の敵であることを認識した。
 
 ヤエヤマヒルギ(八重山蛭木・漂木):海浜緑化
 ヒルギ科の常緑高木 沖縄以南、熱帯アジア、太平洋諸島に分布 方言名:プシキなど
 名前の由来については資料が無く、不明。蛭木という字は広辞苑にあった。別の文献に漂木という字があった。沖縄本島以南に生息するが、八重山地方に多いことからヤエヤマと付いたのかもしれない。正確なところは不明。広辞苑にヒルギは「オヒルギ・メヒルギ・オオバヒルギなどの総称」とあって、本種はその一つのオオバヒルギ、私が参考にしている文献ではヤエヤマヒルギが本名で、オオバ(大葉)ヒルギを別名としてある。オヒルギやメヒルギなどに比べ葉が目立って大きいことからその名がある。それとは別にシロバナ(白花)ヒルギという別名もある。これは花の色からきている。
 方言名はプシキの他、ピニキともある。
 高さは10mほどになり河口汽水域に生息する。マングローブを形成する植物の中では最も塩分に強く、海側に生育する。葉が大きいことでオヒルギ、メヒルギなどと区別できるが、本種はまた、タコノキのように支柱根を出している姿にも特徴がある。幹から多数の気根を伸ばし、海底泥に入りこんで体を支えている。
 花色は白、花弁の内側に目立って毛が生えている。開花期は5~7月。果実は卵型をしていて、その下部から細長い莢のような胎生種子を伸ばす。結実期は6~8月。
 
 花
 
 実
 
 根
 
 メヒルギとヤエヤマヒルギ
 向かって右、果実の付いている方がヤエヤマヒルギで、左がメヒルギ。ヤエヤマヒルギの葉がずっと大きい。メヒルギの葉は先が丸い。

 記:島乃ガジ丸 2011.7.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行


モモイロノウゼン

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 職場に近い所に農協があり、そこの購買部で野菜の苗や種、腐葉土、肥料などを私は買っている。買うものの量が少なくて、重たい荷物にならない場合には、散歩を兼ねて私は歩いてそこへ行く。そう遠くは無い。往復30分ほどの散歩。
 アパートから小学校を突っ切っていくが、昨今、学校での部外者による事件が増えたせいで、学校の門前には「部外者の立入を禁ず」などと書かれた看板が立っている。その意味するところをきちんと理解できる私ではあるが、学校内に立入りするのに何の躊躇もしない。部外者の意味を勝手に解釈し、私は部外者では無い、ということにしている。
 私は、その小学校の近所、学校の裏門から直線距離にすると30m以内の場所に住んでいる。自分で言うが、私は善良な市民である。悪いこともできないわけではないが、世界の平和と我が身の幸福を願っているので、バカなことはしない方が得策だと思っている。そんな善良な私は、小学校から見れば気のいい近所のオジサンである。子供が何か危険に晒されたときに、「助けてー」と頼まれれば、「よっしゃ!」と駆けつけることもできるオジサンなのだ。学校の安全のためにも、こんなオジサンをどんどん利用するといい。オジサンは、それが自分にできることであれば利用される準備はできている。学校のために役に立つのだ。よって、オジサンは部外者では無い、ということになるのである。

 部外者でないオジサンは、先日もまた堂々と小学校の北門から入り、校舎の裏を通り、幼稚園の前から西門へ抜けて、散歩ついでの買物へ出掛けた。幼稚園のちょっと手前にモモイロノウゼンの木がある。花が咲いていたので写真を撮る。撮った写真をガジ丸HPに載せる。それまで、その花がモモイロノウゼンであることを全く疑っていない。
 この月曜日(11日)に、職場でガジ丸HPを見る機会があって、たまたまその写真を見た。タイトルがモモイロノウゼンとある写真2枚はフイリソシンカであった。フイリソシンカはマメ科、モモイロノウゼンはノウゼンカズラ科。花の形も葉の形も全然違う。モモイロノウゼンの花は、この小学校を通るときに何度も見ているし、アサガオのような形であることもよく知っている。なのに間違えた。調べると、モモイロノウゼンの開花期は6~8月とあった。何で間違えたのか不思議。二日酔いのせい、にしておこう。
 
 モモイロノウゼン(桃色凌霄):公園・花木
 ノウゼンカズラ科の常緑高木。原産分布は中南米。方言名:無し
 名前の由来、資料は無いが、ノウゼンカズラ科の植物で、花色が桃色なのでモモイロノウゼンという名。別名をタベブイアと言うが、これは属名から。
 イッペーやコガネノウゼン、ピンクテコマ、キンレイジュなど他のタベブイア属の植物同様、アサガオ状の花をつける。モモイロノウゼンはその名の通り桃色花。いっぺんに数多く咲くことはないので、さほど目立ちはしない。開花期は6月から8月。
 ピンクテコマと見た目がよく似ている。本種は葉がやや革質で先端部が尖る。ピンクテコマは葉が革質で先端が鈍形。どちらもエルサルバドルの国花。
 高さ10mに達するが、自然樹形が整っているので庭木としても使われる。英語名はキューバのピンクのトランペットの木、Cuban pink trumpet tree。
 陽光を好み、成長が早い。直立し、自然に美しい樹形となる。強風に弱いので、風の強い場所への植栽は避ける。ちなみに学名は、
 モモイロノウゼン Tabebuia pallida indl Miers
 ピンクテコマ Tabebuia rosea(Bertol)
 
 花
 2011.10.26訂正加筆

 記:島乃ガジ丸 2005.4.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


モクマオウ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 101番目に紹介する沖縄の草木はモクマオウ。ガジ丸のライバル、モク魔王の名前であるからという理由だが、ライバル関係は物語の中だけの話で、植物としての両者には何の争い事も無い。ガジュマルが育つところにはモクマオウも育つ。
 遠くから見ても近くに寄っても針葉樹に見えるモクマオウだが、広葉樹。葉に見えるものは細い線状の茎(→写真)で何節にも別れている。1節は約1cm前後の長さで、茎を引っ張ると節からすぐに切れる。古くなった茎は風に吹かれて節が切れ、落ちてしまう。
 海水浴場の砂地に多くのモクマオウを見ることができる。海岸でのキャンプの際、モクマオウの林の中にテントを張ることも多い。モクマオウの落ち葉(上述のようにじつは葉ではないが、ここでは葉ということにする)は柔らかいので、それをテントの下敷きにする場合もある。季節を問わずモクマオウの葉はよく落ちる。風の強い日には食べているご飯の上や、飲んでいる泡盛の中にも落ちてくる。料理中にも落ちてきたりするので、高校生の頃のキャンプだったか、1度、モクマオウチャーハンを食わされたことがある。
 米軍基地の中にモクマオウは多い。アメリカ人たちはモクマオウを刈り込んで、頭部を丸や四角の形にしたりしている。アメリカ人にとってモクマオウは見慣れた植物で、扱いにも慣れているようである。そのこともあって私は、今の今までモクマオウはギンネムと同じく、アメリカ軍によって戦後持ち込まれた植物だとばかり思っていた。それで、ガジ丸のライバルとして最適ではないか、モク魔王という字も良いし、と、それを思いついた自分の感性にとても満足していた。「どうだい」と密かに威張ってもいた。が、しかし

 文献を調べたら、モクマオウが沖縄に入ってきたのは今から約100年も前のこと。しかも、アメリカからでは無く台湾から。さらにしかも、導入したのはアメリカ人では無く日本人、黒岩恒(ひさし)という沖縄の自然界の学問に大きな功績を残した高知の人。
 黒岩恒という名前も今回初めて私は知ったのだが、黒岩という名の学者がいたことは知っている。クロイワという名はカタツムリにクロイワオオケマイマイ、植物にクロイワザサ、蝉にクロイワゼミ、クロイワツクツク等があり、特にクロイワツクツクは馴染みの深い蝉で、方言名でジーワといえば、ウチナーンチュなら多くの人が知っている蝉である。
 10月頃キャンプに行くと、モクマオウの林の中でもジーワジーワとクロイワツクツクの鳴き声が聞えてくる。ゆったりとしたリズムなので煩いとは感じない。かえって、鳴き声が小さい場合には、「あー、夏も終わりだなあ」と少し寂しい気分になったりする。
 
 モクマオウ(木麻黄):街路・公園
 モクマオウ科の常緑高木 原産分布はオーストラリア 方言名:モクモー
 方言名にはモクモーの他にメリケンマツともある。モクマオウは明治以降に持ち込まれた外来種。当時、外国といえばアメリカが有名だったのでメリケンとなったのかもしれないが、1908年に台湾から導入されたと文献にはある。マツとは見た目で判断してのことで、上記にあるように、針葉樹に見えるが広葉樹。したがってマツとは種が遠い。葉に見えるものは細い線状の茎。葉は退化してごく小さい。
 台風の通り道である沖縄で真っ直ぐ上に伸びる樹木は少ないが、直幹性。同じ直幹性のフクギ同様、モクマオウの材も緻密で固い。強くなければ真っ直ぐ伸びることができないということなのだろう。潮風にも強く、海岸の防風防潮林としてよく利用されている。
 アメリカ軍基地の中にも多く植栽されている。文献には高さ20mとあるが、基地の中に30m近いのではないかと思われる大木がある。別名トキワギョリュウ。
 なお、本文に名前の出たクロイワツクツクは、「沖縄のセミ」で紹介している。
 
 花
 
 実
 
 茎
 
 節

 記:島乃ガジ丸 2005.3.26 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


メヒルギ

2017年07月25日 | 草木:ヤシ竹特殊類

 大学生の頃だから、もう30年ほども前のこと、小浜島出身の友人Yの里帰りに便乗して、初めて八重山を旅した。石垣島、竹富島、小浜島、そして、西表島を巡った。それぞれの島で、それぞれ印象的な経験がいくつもあった。とても楽しい旅であった。
 いくつもあった印象的な事柄の中でも特に記憶に残っているのが、マングローブ。西表島で浦内川を船で上った時に見た。私は感情を表に出すタイプではないので、同行の友人Yは気付かなかったかもしれないが、いたく感動していた。圧倒される緑の迫力だったのだ。「すごい緑量!まるでジャングルだ!」と心の中で叫んでいた。
 確かな記憶では無いが、マングローブという名前は以前から知っていた。が、それは植物の名前だとばかり思っていた。マングローブとは、「亜熱帯や熱帯の河口・潮間帯の泥地に発達する特異な植物群落。ヒルギ科などの高木・低木から成り・・・」(広辞苑)のこと。マングローブを形成しているのはヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギなどいくつか(ヒルギ科以外も)の植物であることを、たぶん、この時に知った。

 マングローブは地球環境保護のためには大切な植生らしい。そんな大切なものが沖縄にある。西表島のマングローブほど規模は大きくないが、沖縄島にもあちらこちらにマングローブがある。倭国には見られない景色がそこにある。私も、何度も見ている。
 いかにも沖縄らしいヒルギ、何度もお目にかかっているヒルギ、最近になってやっとオヒルギ、メヒルギの区別がつくようになったので、紹介できることになった。ちなみに、ヤエヤマヒルギについてはまだ不明。
 
 メヒルギ(雌蛭木・雌漂木):海浜緑化
 ヒルギ科の常緑高木 鹿児島以南、南西諸島、熱帯アジアに分布 方言名:ピニキなど
 名前の由来については資料が無く、不明。蛭木という字は広辞苑にあった。蛭の生息する場所に多い木ということだろうか?広辞苑には紅樹という字もあったが、これは、花の赤いオヒルギを指しているものと思われる。別の文献に漂木という字があった。漂う樹、海に漂うということだろうか?正確なところはこちらも不明。
 別名をリュウキュウコウガイ(琉球笄)と言う。コウガイ(笄)とは「髪をかきあげるのに用いる具」(広辞苑)とのこと。おそらく、果実の形が似ているのであろう。
 沖縄の各地に自生がある。その土地土地で呼び名があるようで、方言名はいくつもあって、ピニキの他、プシキ、インギー、ピシキなどとある。
 高さは5~10mほどで、自然に良い樹形となる。種子はオヒルギと同じく胎生種子、樹上で種子が発芽する。発芽した種子は落下して地上に突き刺さり、そのまま根を出し繁殖する。結実期は4月から7月。花色は白、開花期は初夏。
 河口の汽水域や穏やかな海岸に自生し、その性質から海浜地緑化、海岸保全などに利用されるが、他のヒルギに比べると耐潮性が弱いので、河口域に向く。
 オヒルギとの違いは花色、花の付き方、根の形状(オヒルギは支柱根がある)、葉が小さく先が丸いなど。学名は、Kandelia obovata Sheue, H.Y.Liu et W.H.Yong
 
 花
 
 実
 
 根
 
 メヒルギとヤエヤマヒルギ
 向かって右、果実の付いている方がヤエヤマヒルギで、左がメヒルギ。ヤエヤマヒルギの葉がずっと大きい。メヒルギの葉は先が丸い。

 記:島乃ガジ丸 2009.10.24 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行


ミツヤヤシ

2017年07月25日 | 草木:ヤシ竹特殊類

 結婚間近の友人Yは顔が大きい。小顔流行りの昨今ではもてないタイプである。でも彼は、がっしりした筋肉質タイプの体をしているので、全体的にはまあまあバランスが取れているといっていい。乳牛ではなく、闘牛の牛といった感じ。
 離婚間近の友人Mも顔が大きい。彼もまた、小顔流行りの昨今ではもてないタイプである。でも彼は、ぽっちゃりした脂肪質タイプの体をしているので、全体的にはまあまあバランスが取れているといっていい。食用の白豚といった感じ。
 かくいう私もまた顔が大きい。同じく、小顔流行りの昨今ではもてないタイプである。さらに私は、どちらかというと痩せて(身長170、体重60)いるので、全体的なバランスが取れているとは言い難い。痩せていて顔が大きいというのは、動物にはなかなかいなくて、喩える動物も見つからない。まあ、まねきん猫といったところか。
 江戸時代は、歌舞伎役者の人気者がそうであったように、顔の大きいことは良い事であったようだ。小顔が流行りだしたのも最近のことであろう。そのうちまた、大顔のもてる時代がやってくるに違いない。それまで生きていればいいんだが・・・。

 ヤシの仲間は小顔(葉の部分を顔と見立てて)が多いのだが、今回紹介するミツヤヤシは珍しく顔の大きいタイプ。でも、幹が太く、それなりの高さもあるので、上下のバランスは取れていると思う。友人Yのようながっしりタイプと言って良い。なわけで、ミツヤヤシはウチナーンチュにもてている。あちこちの街路、公園に多く使われている。
 
 ミツヤヤシ(三ツ矢椰子):街路・公園
 ヤシ科の常緑中木 マダガスカル原産 方言名:なし
 幹からの葉の出方が、上に向かって3方向に列を作って出ているのが特徴。そこから三ツ矢という和名となっている。
 他の多くのヤシは全体的に子分数、最近流行りの小顔、つまり、全体的には葉の占める部分が小さいのであるが、ミツヤヤシはでっかい顔の歌舞伎役者といった風。人間としては女に持てない形かもしれない。が、樹木としてみれば、バランスの取れたカッコいい姿である。沖縄へは比較的新しく(1970年頃)導入されたヤシとのこと。
 高さ5mほどに留まるので民家の庭にも使える。ただし、上述したように葉の広がりは高さに比べて大きい。周りに邪魔とならないような場所を選ぶ。陽光地を好む。

 記:島乃ガジ丸 2005.12.20 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行