ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

マルバデイゴ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 私の実家の近くの国道58号線には、街路樹としてマルバデイゴが植栽されてあった。去年の5月にこのHPでデイゴを紹介した際、ちょうど花の時期だし、ついでにマルバデイゴも紹介しようとそこへでかけた。が、マルバデイゴは無かった。街路樹は別の樹木へ変わっていた。で、マルバデイゴを紹介できぬまま1年が経った。
 今年の春、散歩の途中、近くの小学校の校庭を突っ切る。学校のプールの傍を通った時にふと、看板があることに気付いた。その看板は校内の植物という題で、学校のどこそこには何それという樹木がありますという内容だった。運動場の北側にマルバデイゴ(看板ではアメリカデイゴという名前)があると書かれてある。「やった!」と思う。
 先月5月、もうそろそろ花が咲いているだろうと思い、小学校のマルバデイゴがあると書かれていた場所へ行く。そこにはしかし、普通のデイゴは数本あったが、マルバデイゴらしきものは見当たらなかった。さっぱりした性格の私は、すぐに諦める。
 下の、マルバデイゴの説明文は去年の5月に書いたのだが、写真が撮れるまでは紹介しないと決めていたので、本種の紹介はまたしばらく延びそうな気配であった。ところがである。先日の旅の最終日、牧野植物園に行けなくて、その代わりにしょうがなく見学にいった高知城で、偶然、マルバデイゴを見つけたのであった。
 
 マルバデイゴ(丸葉梯姑):公園・街路・添景
 マメ科の落葉高木 ホソバデイゴの園芸品種 沖縄名:タイワンデイゴ
 ホソバデイゴの学名はErythrina crista-galli L.で、本種の学名はErythrina crista-galli L. cv.’Maruba-Deiko’となっている。学名にマルバデイコとあるからには日本で作られた品種かもしれないが、文献に記載が無いので正確なところは不明。
 ホソバデイゴも本種も、葉はデイゴと同じく三出複葉で、その名の通りホソバは葉が細く、マルバは丸みをおびている。ホソバとマルバの花の形はほぼ同じ。デイゴの花は中央から大きく折れ曲がっているが、両者は折れ方が小さい。
 ホソバもマルバも同じ別名がある。2つある。アメリカデイゴとカイコウズ。アメリカデイゴは、原産地がブラジル周辺なので、アメリカあたりから来たデイゴということ。カイコウズは中国名の海紅豆からきているらしい。鹿児島県の県木とのこと。
 デイゴは高さ10mほどにまでなるが、本種は5mほどに留まる。陽光地を好み、成長は速い。デイゴと違って耐潮風性が強いので海岸近くの植栽も可能。
 花はアンスリウムを逆さにしたような形、枝の先にかたまって付き、紅色、または濃赤色で目立つ。開花期は4月から10月。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2006.6.18 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


マルバチシャノキ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 首里城周辺はガラッと変わった。守礼の門、園比屋武石門など変わらずに残っているものも多いが、しかし、首里城及び、関連する施設、駐車場などが大きい分、全体の景色はすっかり変わってしまった。そんな中を4月のある日、観光客に紛れて散歩した。
 どこからどうみてもウチナーンチュジラー(沖縄人面)した私であるが、リュックを背負って、手にカメラを持っているからであろう、観光客と間違えられて、守礼の門前にいる記念写真屋の琉装のお姉ちゃんに声をかけられた。
 「ワネ(我は)、シマー(島の人間)ドゥヤシガ(だけど)」と、わざとウチナーグチで言う。お姉ちゃんは一瞬キョトンとするが、すぐにニコッと笑って引き下がった。言っている意味は理解できなくとも、それがウチナーグチであることは解ったようだ。「近くで見ればこのオジサン、ウチナーンチュさあ」と思ったのかもしれない。

 守礼の門を抜けて首里城へ向かう。入口の右側にちょっとした広場があって、そこにあるネズミモチの花にチョウがいる。ナミエシロチョウだ。写真を撮る。そこから上の方をちょいと見ると、グラジオラスの花が咲いている。写真を撮る。そこからさらに上の方に見慣れない樹木があった。葉が厚く、表面にシワシワがある。こんな葉っぱそうあるものではない。これだけでおそらく名前が判明するであろうと、写真を撮る。
 
 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木):公園
 ムラサキ科の落葉高木 原産分布は種子島以南、南西諸島、他 方言名:スサンキギ
 チシャノキの葉が長楕円形なのに対し、本種は丸い葉をしているのでこの名がある。チシャノキの頁でも書いたが、チシャ(萵苣)とはレタスのことを指す。葉の形をレタスに見たのか、葉の味がレタスに似ているのか、何なのか不明。
 元々は建築用材だったらしいが、緑化樹としても使われるようになったとのこと。私は首里城公園で4月に見つけた。革質で皺のある葉に特徴があり判りやすい。夏に黄橙色に熟し目立つという果実の写真を撮りに、先週も同じ場所に出かけた。
 高さは5mほど。陽光地を好む。花色は白で芳香がある。開花期は3月から6月とのことだが、4月の首里城のものは既に花は無く、果実となっていた。その果実はまだ青かったが、8月の果実は文献にある通り、目立った。結実期は7月から10月。
 
 実4月
 
 実8月

 記:島乃ガジ丸 2006.8.12 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行


マニラヤシ

2017年07月25日 | 草木:ヤシ竹特殊類

 家から金曜日の職場に行く途中に琉球大学がある。広いキャンパスにはいろいろな植物が植栽され、または自生しているので、植物の写真を撮り集めている私には魅力的な場所である。しかし、このガジ丸HPを立ち上げてから約1年半になるが、私が琉球大学へ植物の写真を撮りに行ったのは、まだたったの2回しかない。キャンパスが広すぎるのである。半日費やしたとしても、全体の10分の1も回れないだろう。その上、どこにどんな植物があるか分らないので、無計画に歩き回ると無駄足が多いと思われるのである。
 そんな無駄足を覚悟して先日、2回目の琉球大学キャンパス散策を決行した。3時間歩いて撮った写真は5、60枚、そのうち使えそうな写真は20枚。そのうち名前の判明したものは植物が5種、動物が3種であった。
 判明した植物の一つにマニラヤシがあった。ちょうど運良く実が付いていたので、マニラヤシであることが判明したのであるが、マニラヤシという名前そのものは、以前から知っていた。マニラという名前に親しみを持っていたからである。若い頃通っていたスナックに、キャサリンという名の若い女性がいた。彼女は陽気で、上手な日本語でよく話をした。フィリピン人であった。フィリピンの首都マニラの出身であった。
 
 マニラヤシ(まにら椰子):公園・庭園・鉢物
 ヤシ科の常緑中木 フィリピン原産 方言名:なし
 その名の通りフィリピン原産のヤシ。マニラはフィリピン共和国の首都。ルソン島(といっても、地理の苦手な私にはそれがどこにあるか不詳)にある。英語名もManila palmだが、別名としてChristmas palmとある。3センチほどの実が総状に多数つき、それが熟すると赤くなるので、クリスマスのヤシとなったものと思われる。
 高さ6mほどに留まる比較的小さなヤシなので、民家の庭にも使える。鉢植えの観葉植物としても利用されている。幹には環状紋(竹の節のようなもの)がはっきりしている。
 
 冬の実
 
 夏の実

 記:島乃ガジ丸 2006.3.15 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行


マテバシイ

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 たくさんの植物や動物の写真を撮っているが、当然ながら、私自身はそれがどこの場所であるか概ね覚えている。忘れている場合でも、写真の日時と日記を照らし合わせて場所を特定できる。しかし、他人の写真となるとそうはいかない。
 参考にしている図鑑の写真には地名を明記したものもあるが、那覇市とか浦添市とかいった大雑把なものなので、その樹木の存在する場所は特定できない。しかし、稀には、写真の背景を見て、そこがどこであるか判る場合もある。
 『新緑化樹木のしおり』にマテバシイの写真がある。それが、場所がどこであるか特定できるものの一つ。なので、このHPを始める前から、私はマテバシイを知っており、どこに行けばその写真が撮れるかも判っていた。その場所はまた、繁華街にあり、少なくとも年に2、3回はその近くを通っている。それでも、永らく紹介できずにいた。
 私ののんびりした脳味噌は、その近くを通っても、マテバシイのことを思い出さなかったのだ。去年の夏、「よし、今日はマテバシイの写真を撮りに行くぞ。」と、それを第一の目的としてその場所へ出かけ、やっと写真を撮った。
 写真を撮って、改めて図鑑を読み直す。「結実期は10月から11月」とある。マテバシイの実は、いわゆる「どんぐり」である。これはぜひ写真に収めなきゃあと、その時決意した。ところが、のんびりした脳味噌は、それをすっかり忘れてしまっていた。
 
 マテバシイ(馬刀葉椎、全手葉椎):公園
 ブナ科の常緑高木 九州から南西諸島に分布 方言名:クダン、ドゥングリギー
 名前の由来、てっきり「待てば椎」だと思っていた。「幼木の頃は取るに足りない雑木だが、成木になれば椎の木のように立派になる」ということかと。
 馬刀葉椎、全手葉椎という字は広辞苑にあった。本種の葉は手の平形では無いので、全手葉は「手の平大の葉」ということかもしれない。馬刀、「馬の刀?」と思ったが、広辞苑を見ると、マテガイ(馬刀貝)のこととある。葉の形がマテガイに似ているのかもしれない。マテガイを見たことが無いので、正確なことは不明。
 別名をマテバガシと言うが、シイ(椎)もカシ(樫)も本種と同じブナ科、日本の広葉樹林を形成する樹木。果実はどんぐりで、方言名のドゥングリギーはその意味。
 高さは10~20mになる。狭い民家の庭には使いにくい。公園の景観樹や緑陰樹に向く。よく陽の当たる肥沃地を好む。萌芽力が強く乾燥にも強い。
 花は黄褐色であまり目立たない。開花期は5月から6月。果実は堅果(どんぐり)で、そのまま炒って食用となる。結実期は10月から11月。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2008.12.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


ポンドアップル

2017年07月25日 | 草木:公園街路

 模合(モアイ:正当な理由のある飲み会)仲間の友人Tが昨年マイホームを建てた。その新築祝いは12月に行われ、小さいけれど立派な鉄筋コンクリート造り二階建てが模合仲間やその他の友人たちにお披露目された。
 T一家はそれまで団地住まい、団地は私のアパートから近い石嶺団地。近いのでたびたびお邪魔していた。石嶺団地は古い団地で、同じ模合仲間のYも以前、その団地の住人であった。「以前」とは私が高校生の頃の以前、もう40年近くも昔のことだ。なので、TにとってもYにとっても私にとっても、ノスタルジーを感じる団地。
 T一家が住んでいた棟の傍にポンドアップルの木が一本植えられている。高さは5m程しかないが、幹の直径は30センチほどの立派な木。何故、それがポンドアップルであると判ったかと言うと、実が付いていたから。何故、実を見ただけでそれがポンドアップルであると判ったかと言うと、その少し前に末吉公園で同じ容姿の実を見ていて、写真を撮って、調べて、それがポンドアップルであると知っていたから。
 何故、脳軟化が進んで記憶力の衰えたオジサンのくせにそういったことを記憶していたかと言うと、ポンドアップルの実はいかにもその名の通り、リンゴに似ていたから。リンゴのような実を付ける木、沖縄にはこれ以外無い。・・・と思う。
 
 ポンドアップル(pond apple):公園
 バンレイシ科の常緑高木 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 ポンドアップルは英名のpond appleから。それを直訳してイケリンゴ(池林檎)という和名もある。名前から生育好適環境が湿地だと想像されるが、だとしたらサワリンゴ(沢林檎)とした方が、語感が良いように思う。リンゴという名は果実の形から。
 「リンゴという名は果実の形から」とは実は、文献に無く、『沖縄植物野外観察図鑑』には「果実は直径10センチくらいで卵型」とあった。でも、私が見る限り、径10センチくらいはその通りだが、卵型と言うより林檎型と言った方が近い。
 同書に「高さ12mに達すると言われているが、普通は5m内外」とある。原産地の熱帯地方では大きく成長するが、亜熱帯の沖縄ではそこまで成長しないのであろう。私が見た2つの個体共に同書の通り、高さは5mほどであった。
 花は黄緑色で葉脇につくとのこと、おそらく目立たないのだと思われる、私は未確認。果肉はクリーム状で独得の臭みがあるとのこと、これも未確認だが、近々確認する予定もない。果実は大きいが、ヤニ臭さがあり、生食に適さないとのこと。食えない果肉に興味は無い。結実期は資料が無く不明。文献の写真は6月、私の写真は7月と9月。
 
 実1
 
 実2

 記:島乃ガジ丸 2010.8.23 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行