台湾の蔡英文総統の、軍事演習視察における訓示が報じられている。
演習は、中国軍の強襲部隊に占拠された空軍基地奪還を想定したもので、中国に対するメッセージ性の極めて高いものである。報道された訓示の要旨は「軍の戦力は民主主義と自由を守る後ろ盾」というもので特に目新しい内容ではないが、改めて考えるべき含蓄が存在していると思う。先軍政治を国是とする北朝鮮や中国は別として、先進国は軍と軍事行動を政治統制下に置き、外交を主、軍事力を従としているものの必要かつ相応の軍事力を保持して自国の正当な要求を国際的に主張し自国の国体と国民の自由を守る際の、将に「後ろ盾」としていると思う。一般的に国防=軍事力と考えがちであるが、あくまで国防の最前線は外交で、次いで経済力・内政安定度・文化の発信力・民意(国防意識)・軍事力等々にバランスの取れた総合力で他国の野望を挫くことであると思う。エコノミックアニマルと揶揄されながらも驚異的な経済力を得た日本であったが、稚拙な外交と自衛のみに限定した弱小軍事力保持に留まった結果、国際社会では経済力・国連拠出金・ODAにみあう発言力を得ることができなかったことからも明らかであると思う。繰り言になるが、もし神武・岩戸景気ごろに自主憲法を制定してバランスの取れた国力整備を目指していたならば、拉致・尖閣・慰安婦・北方領土・辺野古移設等々の諸問題は随分違ったものになっていただろう、否、起きなかった可能性すらあると思う。
現在、緩慢ながらも改憲が議論され、国防計画の大綱では防衛費を対GDB比2%まで強化する等の、経済力とバランスの取れた国造りを始めようとしている。遅きに失したとはいえ、国力の後ろ盾となる諸施策の整備に着手したことは評価すべきであると思う。