もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

3.1節と文大統領演説

2021年03月02日 | 韓国

 韓国の「3.1節」恒例の大統領演説が報じられた。

 「3.1節」は日本統治時代の1919(大正8)年に起きた独立運動を祝う祝日で、韓国憲法の前文にも「3.1運動で成立した大韓民国臨時政府・・」と記述されているので現政体の原点と位置づけされているようである。
 3.1運動の詳細は前にも勉強したことこともあって省略するが、記念式典と大統領演説は、独立宣言が読み上げられたソウル中心部のタプコル公園(実際には仁寺洞の泰和館に変更)で行われるのが恒例となっている。
 今回の文大統領演説は、前年よりも反日色の弱まったもので文政権の日韓関係修復のサインかと報じられているが、素人目には依然として「(被害者である)韓国は何もしない。日韓関係修復は(加害者である)日本の努力次第」を繰り返しているようにしか思えない。
 文大統領が意に反して反日色を弱めざるを得なかったのは、アメリカの外交政策の変化が大きく関与していると思っている。
 トランプ政権は、二国間条約に基づく米軍事力行使を重視していたために日米・米韓それぞれの軍事同盟が維持されれば十分で、日韓関係の破綻や修復には興味がなく唯一口をはさんだのは「アメリカの情報収集に影響」する日韓GSOMIAが危殆に瀕した時のみであった。
 一方、バイデン政権は多国間主義を鮮明にして、東アジア安定のためには日米韓の連携・協調が重要とのスタンスを取っているために、日韓関係の修復を双方に働きかけるのは当然であるように思う。さらには、財団設立による慰安婦問題解決の取り組みをオバマ政権が評価したこともあって、韓国の手のひら返しが現在の混乱の元と分析するのも十分に考えられるとともに、国連決議に反する戦略物資の対北横流し疑惑(疑惑以上)もあって、一部の報道ではあるが「韓国には多くを与えるべきではない」という意見がバイデン政権内では囁かれているともされる。

 日米の双方から自由陣営に留まることを疑問視される文大統領であるが、残りの任期が1年となった韓国大統領としては異例ともいえる30%台後半の支持率を得ている。しかしながら1丁目1番地として掲げた南北統一の道順も北朝鮮から手酷い回答を受け、頼みとした米朝会談仲介も米朝から梯子を外されて結局はピエロの役割しか果たせなかった。内圧を反らすために煽った反日は制御不能にまで成長してしまい、日本に1歩でも歩み寄れば政権維持すら危うい事態を招きかねないようにも思える。
 公約した経済回復も成果を挙げていないようで、外部から見れば文政権は韓国に「失われた5年間」、「中国に屈服させられた出発点」しかもたらさないように思えるのだが。