代表質問が終わったが、防衛問題に関しては残念ながら低調な応酬であったと感じている。
政府と野党の議論が噛合わない原因は何だろうと考えて、万里の長城に辿り着いた。
「万里の長城」構築の理念は北方民族の脅威に対する専守防衛であり、原型は「春秋時代(紀元前700~前400年)」に構築された断続的な防塁とされ、紀元前200年代に秦の始皇帝がそれらを連結したとされているが、これらは既に失われて現存する万里の長城の殆どは、明代に造られたもので長城線は秦代に比べて遥かに南へ後退しているとされている。
長城に対する歴代王朝の考えも一様ではなく、各王朝の防衛戦略によって長城の重要度・位置・維持整備が大きく異なり、特に北方からの脅威が顕著であった明王朝は長城による防衛を重視して現在残っている強固・長大な長城を整備したとされている。
明代に造られた万里の長城の総延長は8,851kmであるが、点在する防塁や発掘されたものを含めると総延長は2万1196.18km(国家文物局)に及ぶとされている。
日本における専守防衛の論を整理すると、共産党を除く各党が領海線を「万里の長城」と捉えているのは間違いのないところと思う。異なるのは自民・維新・公明?・国民?の各党が「長城内を守るためには長城外の司令部や投石機に対する反撃能力を持つことは必要であるが財源については異論」であるのに対して、立民・社民は「長城線を超えて来た石を落とせば良く、例え長城内に被害が生じても外に向けては一本の矢も放ってはならない、ましてや投石機の破壊など論外」で「そもそも、平和憲法の国に武力侵攻を企図する国は無い」との例えが成り立つように思える。
共産党の反対意見は、日米安保破棄・自衛隊解体の綱領から考えて、「長城は必要ない。中露北が望めば共産・社会主義に飲み込まれても良い」という別次元の主張の延長にあるように思える。
立民・社民の主張は世界情勢に目を閉じていることと軍事知識の欠如に負うところが大きいように思える。プーチン氏を筆頭とする全体主義指導者の存在、12海里の領海幅を超えるのに1分もかからない近代兵器の能力を、敵の第一撃で我の多くの国民が死亡して軍事・生活インフラの多くが壊滅的被害を受ける近代戦の様相を知れば、未来永劫に亘って平和憲法のお花畑に安住できるとするのは危険であるように思える。
日本国憲法が説く「不戦」が時をかけて「国家観なき非戦」に変貌しているように思えるが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます