櫻田大臣の適格性について、国会で質疑が喧しい。確かに五輪相としての初歩的な質問の答弁に詰まったり野党委員の名前を言い間違えたりと、お世辞にも立て板に水の答弁とは言えない状況である。
本日書きたいことは、桜田大臣がPCを扱えないことのみを以てサイバーセキュリティ担当大臣として致命的な欠格要素と断じることの不条理さである。実務者と実務者を統べる管理者とはおのずから異なり、管理者はサイバー犯罪の仕組みに通暁することよりも、犯罪が及ぼす被害や影響を把握・局限・抑止するための法整備や、人員・予算集中の方向性をデザインすることがより重要であると思う。優秀な狙撃手というだけで防衛大臣が務まるべくもなく、また防衛大臣が戦車の操縦に長けている必要もない。自衛隊OBの議員を除いて拳銃を撃った経験や兵器戦術について自衛隊員を凌駕する知識を持つ議員は極めて少ないと思うが、それでも軍事評論家や制服の知識を活用して1国の防衛を論じている。「生兵法は大怪我のもと」と古人は喝破しており、東京工業大学卒業で原子炉の知識は衆に抜きんでていると公言していた菅総理が、東電の津波対処に対して誤った指示をした結果、初動対処のための貴重な時間を浪費し、現場の混乱に拍車をかけたのは周知のことである。国会での論戦についても、野党議員は櫻田大臣のIT知識を問う質問を繰り返しているが、その議員にしてもサイバーセキュリティ専門家がIT用語を駆使してレクチャーした場合、果たして理解できるスキルを持っているのだろうか。議員会館のPCがウイルスに汚染されたのはつい先日の出来事である。高度に科学技術が進化した現代社会にあっては、ある分野に特化したスペシャリストを糾合してゼネラリストのチームリーダーが組織を統括することが一般的であり、FBIではハッカーを雇用してサイバーセキュリティーのチームを編成しているとも聞く。「ウチの社長は、このことが全く分かっていない」と嘆く社員は、そこらじゅうの居酒屋で気炎を上げているが、野党議員にも同じ匂いをかぎ取ることができると思う。
最後に不審な点を一つ。櫻田大臣はサイバーセキュリティ担当大臣とされているが、首相官邸のホームページによれば、櫻田大臣は「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当」とされている。平成30年11月17日の総理演説も収録されていることから更新はアップデートに為されていると思うが、サイバーセキュリティ担当大臣は誰なのだろうか。
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