もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

セキュリティー・クリアランス制度の実現を

2022年10月01日 | 防衛

 秘密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の制度化に暗雲が漂っている。

 同制度化を実現したい高市経済安全保障担当相がテレビ番組で、政府内の〝抵抗勢力の存在〟や〝親中派との闘争〟を示唆したことで、『やはり』の感がある。
 岸田首相は、この件に関してお決まりの”だんまり”を決め込んでいるが、外務省・経産相・文科省のこれまで、更にはウイグル族の人権保護決議で中国を名指し非難しなかった自民・公明・立民・社民の態度を見ても、政・官・財界の主要メンバーの多くが抵抗勢力と呼ぶにふさわしいものであろうことは疑いもないところと思う。
 当然のことながら、セキュリティー・クリアランスに合格するためには身元調べが伴い、最高機密情報にアクセスできる最高度の資格を得るためには、公安・税務に依る徹底的な身体検査で丸裸になる覚悟が必要である。
 恐らくであるが、文部科学委員会や外務委員会等の現職委員のうち相当数の議員はセキュリティー・クリアランスをクリアーできない可能性すらあるのではと悲観的に観ている。更には、準公務員と看做される教科書選定委員や日本学術会議委員にも、相応の資格を得ることができない不適格者若しくは政府公刊以上の情報にはアクセスできない人も出てくることは間違いないように思う。
 公務員に対してセキュリティー・クリアランスを求めていないのは、先進国では日本くらいであり、このことは高市大臣の「経済安全保障推進法にスパイ防止法に近いものを入れ込んでいくことが大事で、(セキュリティー・クリアランスを)しっかりやらないと欧米のサプライチェーンから外される可能性もある」という指摘を俟つまでもなく、これまでにも関係国から高度なテロ情報がもたらされなかった事例も取りざたされている。
 日本では、個人情報保護や思想信条の自由は万人に及ぶとされがちであるが、世界的には政治家や公務員には「国家への忠誠」が求められるとともに不誠実なものは淘汰若しく自発的に退職して信条を全うするのが常識で、日本の某次官のように「面従腹背」を処世訓とする人物が栄進を重ねることは無いのではないだろうか。

 おりしも、アメリカの機密情報を流出させたエドワード・スノーデン氏に、ロシア市民権が与えられたことが報じられた。今後スノードン氏は利用価値がある限りロシアの保護が得られるであろうが、インターポールの権限が及ぶ国には出国できず、かつ永遠に生まれ故郷の地を踏むことはできないように思える。
 既に発効している経済安全保障推進法を有効にするため、日本が世界基準の適切な情報管理国であることを内外に示すためにも、適格性評価制度は実現して欲しいものである。
 最後に、自分の書いた適切な情報管理とは、国民が知るべき情報を隠すことではなく、知り得た・収集した情報を他国(敵性国)に提供しないということであるのはご理解いただきたい。


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