日本財団の笹川陽平会長のCSRに関する論評を読んだ。
不明にしてCSRという言葉さえ知らなかったので、氏の論評の梗概を借りつつ勉強した。”ことバンク”では<CSR(corporate social responsibility):企業が収益を上げ配当を維持し、法令を遵守するだけでなく、人権に配慮した適正な雇用・労働条件、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献を行うなど、企業が市民として果たすべき責任をいう。企業の社会的責任又は社会的責任投資>と解説されている。笹川氏によると、インドでは企業の「純資産」「総売上高」「純利益」の3要件に一定の基準を設けて、そのうちの1つでも要件を満たした場合には、過去3年間の平均純利益の2%以上をCSR活動に費やすように義務付けられているそうである。アメリカでも「Give Five」という合言葉で税引き前利益の5%を公益的な寄付に拠出する取り組みが存在し、日本でも1990年に経団連が「1%クラブ」を設立して、現在では法人226社、個人850人か会員となり経常利益や可処分所得の1%以上を社会貢献活動に拠出しているそうである。続けて笹川氏は、日本経済が好況にも拘わらず企業利益の労働分配率が66.2%に留まり、残余の大半が社内留保されている現況が消費の低迷に繋がっていると分析して、1%クラブの精神を社内留保預金にも及ぼす取り組みを提言している。現在、企業の社内留保預金は200兆円を超えているために、当該預金に1%クラブの精神が及んだ場合は2兆円近い資金が公的な活動に充当されるとも書かれている。
過去、業績悪化の企業が最初に着手する人員整理の余波で体育関係のクラブが閉鎖されることが多かったし、マイナーなスポーツであるフェンシングで銀メダルに輝いた太田選手は無職であった。そのようなときに奇特な企業や資産家がスポンサーに名乗り出ないかと期待していたが、日本にも限定的ながらCSR活動が存在していることを知って安堵した。苦境に陥った女子体操選手に支援の手を差し伸べた高須院長の志も、CSRの精神であろうか。貧者の願望と承知で結論すれば、日本の大企業や資産家が、月旅行や奢侈やドンファンとして報道されるのではなく、CSR活動で脚光を浴びることを期待するものである。
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