ゴエモンのつぶやき

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不正行為を行なった企業への障害者市民団体の攻撃

2009年07月27日 00時27分41秒 | 障害者の自立
 障害者用の郵便料金割引問題では、厚生労働省の障害者自立支援法制定当時の障害福祉部企画課長だった人(現在は雇用均等法・児童家庭局長)の犯行への関わりが重視されている。厚生労働省が関わっているとしても、企業が不正行為を行なったという事実は消えてなくなるものではない。企業はあらゆる手を尽くして(議員を動かし厚生労働省の現職高級官僚を動かしてまでも)不正行為を行なった。確信犯だといえる。このことについて厚生労働省の係官が逮捕される前に書いた原稿である。この文章は「国際障害者年を機に「障害」者の自立と完全参加をめざす豊中市民会議」の機関誌『夢のひきだし』(第13号、2009年06月発行、同会の総会が開かれた2009年06月20日でも会場で販売されていた)に書いたものである。大阪府豊中市の障害者を取り巻く政治情勢が端的に述べられているので、ぜひ全体を手にとってほしい。

■ 障害者用の郵便料金割引制度
 2008年末からの障害者市民団体にとって大きな問題といえば、割引郵便料金だろう。かつて郵政省(現在は日本郵便事業会社)が認めた「心身障害者団体向けの郵便料金割引制度」を利用して、営利会社が不正に利益を得ていた事件が明らかになった。その影響で、障害者団体に対して認可条件を守るように厳しく対応するようになったことだろう。多くの障害者団体は、通信の発行に会員徴収を求めるようになり、事務局や責任者はかなり複雑な資料を作成する仕事に追われているという。

 そのきっかけは、企業がこの制度を利用して不正に利益を得ていた事件である。広告会社や通信販売会社がこの制度を悪用して、大量にダイレクト・メールを送りつけ、購買を勧めていたという。

 旧郵政省が郵便法にもとづき障害者市民団体の郵便料金割引制度を認める条件があった。それはいくつかある。(1)毎月3回以上の定期発行を行なうこと。これは各地で、障害者団体が連合して通信発行のための新たな組織をつくり、条件を整えている。(2)1回の発行部数が500部以上。これも多くの障害者団体が守っている。さらに(3)には、広告の割合が5割以下という。中には通信販売を主とする団体もあるが、多くは記事を書いて、これを守っている。問題は(4)である。発行部数に占める発売部数が8割以上となっている。どうも、有料購読者8割以上という条件を、問題になった営利企業は誤魔化していたようだ。

■ 障害者市民団体への無作法な影響
 そこで、多くの各障害者市団体に「本当に有料の購読者が8割以上存在しているか」と、証拠を出すように郵便事業会社が調べている。各障害者市民団体は、それぞれの機関誌をとおして有料購読者の確保(あるいは購読料込みの会費徴収)を訴える騒ぎになっている。

 私が知っている障害者市民団体に聞くと、かつてカンパをしてもらったのに対して、お礼の意味でその後も無償で機関誌類を送っている場合もあるという。あるいは、講演会の講演などでお世話にお礼として、さらには活動をなんらかの形で支援したもらったお礼という意味で、無償で機関誌類を無償で送り続けていた例もある。だから証明は難しい。

 企業がその利益を産み増やすために、こうした抜け穴を模索した。その償いを乏しい資金の障害者市民団体が埋め合わせをしているように思う。こうした出来事は労働問題にも及んでいる。

■ 営利企業は「不正行為」の損害を市民に回す傾向が顕著すぎる
 企業はいわゆる「雇用の弾力化」として、派遣労働者やパート労働者を大量に利用してきた。2008年の秋ごろから景気が悪くなったという理由で、雇い止めをしきりに行なっている。宿舎からそうした労働者を追い出す企業もあるという。

 雇用のセーフティネットが不十分なためである。自治体は生活保護を弾力的に適用する。あるいは、住宅の手当てなどを行なう。多くの労働者が雇用の不安定性を訴えている。もちろん、そうした人々を支援することは良い。これまでにも、行政は制度を弾力的に運用する必要があったとさえ思う。

 だが、そうした財源は全部、市民の税金を使っている。企業の税金は先進国と比較すると、少なくなった。中央政府も地方政府も財政は危機になっている。だから障害者市民への福祉なども縮小されてきたのだ。そのときに、緊急対策として失業者の救済にあたる必要もでてきた。政府がその人たちにも、たしかに支援を行なうことは必要だと思う。

 だからといって、日本企業が派遣労働者やパート労働者などを利用できるときには利用しておいて、景気が悪くなったという理由でその人たちの雇用を切り捨てたのだ。あえていうと「企業の不正行為」にも相当するはずだ。企業の不正行為を市民の税金で補うことは、納得できない。

■ 障害者雇用にも積極的な企業であっただろうか
 心身障害者市民団体むけの郵便料金割引制度を悪用した企業は、果たして障害者雇用を行なっていたのだろうか。1.8%の法定雇用率は実現していて当然だろう。それ以上に、たとえば、5%とか10%など、法定雇用率以上の高い障害者雇用を実現する社会的責任がある。記事によれば別の障害者用の団体を作っていたようであるが、自分の会社自身で障害者雇用を実現する責任があろう。あるいは、障害者市民が作成した製品を販売することに、力を入れていたのだろうか。すくなくとも、障害者市民団体が作った製品を、自社で大量に購入する義務はあると思う。

 障害者市民団体は、今回の企業が行なった不正行為を黙って見逃すことを続けていると、障害者市民制度を悪用する傾向が増えると思う。この機会に障害者市民の雇用増大を実現したい。それが国連の障害者権利条約や障害者自立支援法をはじめ、現行の障害者制度の問題点を社会に明らかにする一つの方法とも考える。とくに企業にとって自分のこととして、考えてほしい。


福祉避難所と指定避難所との関係

2009年07月27日 00時26分57秒 | 障害者の自立
 これも転載である。原文はNPO法人「ゆめ風基金事務局」が発行している機関誌『ゆめごよみ風だより』(第45号、2009年05月21日)に掲載された八幡隆司さんの「福祉避難所の指定を考えよう」という文章である。八幡さんはNPO法人のゆめ風基金の「ゆめ風基金防災プロジェクト」を担当されている。事務局長と八幡さんの了承をえたので、ここに引用する。なお、八幡さんの文章もすばらしいが、代表の牧口さんの巻頭の言葉にもいつもひきつけられる。多くの関係者が登場する他の記事もよんでほしい。なお、いつものことであるが、題名も改題したし、中見出しもつけた。原文以外の改行も行なった。最後に私が読んだ感想を「コメント」という形でつけた。以下が八幡さんの文章である。

■ 災害のときに「福祉避難所」を設けることになっている
 昨年(2008年06月に)厚生労働省から、「福祉避難所についての設置・運営ガイドライン(以下福祉避難所ガイドライン――八幡注)」が出されました。福祉避難所とは「高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病者等、一般的な避難所では生活に支障を来たす」人たちのために、「何らかの特別な配慮がされた避難所です(「」内はガイドラインからの引用――八幡注)。

 福祉避難所は2007年の能登地震で初めて公式に1ヵ所設置され、その後の新潟県中越沖地震では9ヵ所設置されました。能登地震では老人保健施設内のデイケアスペースが利用されましたが、新潟県中越沖地震では福祉施設に限らず、小学校の空き教室を利用したコミュニティスペースと音楽室、高校のセミナーハウスなど多様なものでした。

 福祉避難所そのものは以前にも書いたとおり1996年に国が災害救助法を見直す中で位置づけていたのですが、具体的な取り組みがほとんど進んでいませんでした。

 ただこの2~3年は内閣府から「災害時要援護者の避難支援ガイドライン(2005年作成2006年改訂)」(以下「避難支援ガイドライン」)が出されたことを受けて、自治体と福祉施設の間で福祉協定を結んでいるところが少しずつ増えてはいます。福祉協定を結んでいるところの多くは福祉施設で、特別養護老人ホームが大半を占めています。

 協定を結ばず公民館などを福祉避難所として想定している自治体もありますが、その場合は単にバリアフリーの施設だからという理由で指定しているものの、実際に福祉避難所としてどう開設するかの手続きなどがきちんと考えられていないケースがほとんどです。福祉避難所を全く指定していない自治体も多く、福祉避難所の整備はようやく始まろうとしている段階といえます。

■ 指定避難所に福祉避難所の機能を持たせる必要性
 避難支援ガイドラインと福祉避難所ガイドラインでは、福祉避難所の選定について、少し表現が変わっています。避難支援ガイドラインでは「福祉避難所としては、施設がバリアフリー化されているなど、要援護者の利用に適しており、生活相談職員等の確保が比較的容易である老人福祉センター、養護学校等の既存施設を活用することが考えられる」とあり、このことを受けて特別養護老人ホームなどが福祉避難所として協定を結ぶことになったと考えられます。

 福祉避難所ガイドラインでは「指定避難所、老人福祉施設、障害者支援施設、保健センター、養護学校、宿泊施設」の順に書かれています。最初に指定避難所を福祉避難所として活用することがあげられているのです。また、地域における身近な福祉避難所と専門性の高いサービスを提供する拠点的な福祉避難所の設置の2種類を想定していて、身近な福祉避難所については「福祉避難所の指定目標については、要援護者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮し、設定することとするが、少なくとも、地域における身近な福祉避難所については、小学校区に1ヵ所程度の割合で指定することが望ましい」としています。

 私たちの災害支援の経験からも、指定避難所に福祉避難所機能を持たせるように考え、その他にどこか専門性の高い拠点をつくることが望ましいと言えます。

■ 災害時における人材支援の協定も明記した輪島市
 特別養護老人ホームなどの福祉施設は専門職の人材は確保しやすいものの、多くの利用者を抱えているために職員まで被災すると、必要人数が確保できるかどうかが不安です。まして、一般の指定避難所では、あらかじめ人材確保の方法を決めておかないと福祉避難所として利用することができません。

 国は福祉避難所への費用として「10人に1人の割合で生活相談員を設置することができる」としているだけで、福祉避難所を必要とする人への介助員費用を認めていません。2つのガイドラインを見ても人材確保についての記述差はあまりなく、「都道府県、市区町村は、要援護者の避難生活を支援するために必要となる専門的人材の確保に関して、支援の要請先リストを整備するとともに、関係団体・事業者と協定を締結するなど、災害時において人的支援を得られるよう連携を図る」としています。要するにその地域の中のネットワークでボランティアを募れということです。

 輪島市の福祉協定では市が負担する費用として「介助員等に要する人件費(夜勤、宿直等に要する費用を含む)」と明記してあり、介助員の費用も認めている上、「福祉避難所の介助員等に不足を生じると判断したとき」は、他の協定締結法人に対して協力要請を行い人材を確保するように定めています。多くの自治体が人材確保について協定を結んだ相手に責任を求めている中で、画期的な協定だと言えます。

 建物に余裕はなくとも人材なら派遣できる福祉施設もあるはずですから、福祉避難所の設置に関する協定だけでなく、支援のための協定も積極的におこなうべきです。さらに指定避難所に非難してきた住民でも、福祉避難所運営の担い手になってもらえる人がいるはずなので、防災訓練などでその確保を行なうことが大事です。

■ どんな器材をどこに備蓄するか
 またもう一つの問題は必要な器材の備蓄です。一般的には指定避難所には飲料水や、毛布、簡易トイレ等の防災備品を備蓄していますが、このような防災備品を全く備蓄していない避難所も数多くあります。理由として「備蓄を行なえるスペースがない」、「何か事故があったときに学校として責任が持てない」などの理由で備蓄倉庫を建てられないことが多いようです。

 福祉避難所に特に必要な物資として「介護用品、衛生用品、要援護者に配慮した食料、洋式ポータブルトイレ、ベッド、担架、パーティション・車いす、歩行器、補講補助つえ、補聴器、収尿器、ストーマ用装具、気管孔エプロン、酸素ボンベ等の補装具や日常生活用具」などがガイドラインに書かれていますが、これらのものが指定避難所に備蓄できるのかどうかが重要なこととなります。

 指定避難所に福祉避難所の機能を盛り込むことは、そこを避難所として利用する一般の住民の合意が必要です。また指定避難所となっている学校などをどのように活用するかは、プランをつくるだけでなく、日頃訓練を行なう中で見直すことが重要です。

 ゆめ風基金としては、このようなことを決めていく上でも、日頃の防災訓練などの見直しがとても大切であり、これまでの見るだけの防災訓練から、体を動かす防災訓練に変えていくことが重要だと考えています(以下ブックレット編集中の表現あり。略)。

 以上が八幡隆司さんの文章である。

■ ないほうが望ましい災害の発生に備えて――大谷のコメント(その1)
 実は気楽な気持ちで転載をお願いした。しかし、障害者市民の支援をする組織が、ここまで具体的に深く考えていたとは、恥ずかしながら気づかなかった。災害発生時には、なんとかなればよいと気楽に思ってきた。

 確かに自然災害は起こってほしくはない。阪神淡路大震災以後、各地で毎年のようになんらかの災害が起きている。日本以外に視野を広げるとより多くの数の災害が発生している。その度に、被災者何人、死亡者何人という悲惨な報道に触れる。とくに、障害者市民や要介護高齢市民も、あるいは乳幼児とともに生活している市民も、さぞ不安だろう。

 この記事を読んで、日本政府もそれなりに考えていることが分かった。しかし、多くの地域の人々は指定避難所や福祉避難所について、果たして知っているかどうか。私のことを棚に上げて言うが、どうも意識しているようには思えない。八幡さんは、政府の文章や自治体の理解出来にくい文章から、私たちに分かるように解きほぐしていただけるので、嬉しい。

 とくに、最後に八幡さんが書かれているように、一般の指定避難所を「福祉避難所」の機能を持たせようとすると「そこを避難所として利用する一般の住民の合意が必要です」とある。たしかに、必要なことだ。利用する住民も、指定避難所と福祉避難所との区別を十分に分かっていることが前提になるだろう。その意味で、やはり事前に住民の多くが知っている必要があると思う。また、実際に体を動かす防災訓練も必要だろう。

■ 福祉施設との協定の重要性とその限界――大谷のコメント(その2)
 自治体と福祉施設との協定が取り結ばれていることも、この記事ではじめて知った。たしかに、福祉施設とくに入所施設には介護に関わる人材が多く存在することになっている。とくに特別養護老人ホームには人数が多い。

 と考えると、介護施設など介護の人材不足傾向が顕著な現状は、日常的にも利用者の生活保障という面で大きな不安を抱えているだけではない。災害発生時にも重要な役割を果たすと期待されているのだ。介護者の人材確保については問題とされてきたが、こうした視点でも考える必要があると思った。

 とくに地域から高い専門性を求められる拠点の場合、離職率の高い現状の介護現場では技術が高まらない危険性が大いにある。すくなくとも職員にとっては自分が日常働いている施設とは違う、他の避難所で実力を発揮することは容易ではないだろう。あるいは、器材がそろっていないところでは、十分な機能が果たせるか不安だ。

 しかも、多くの利用者を自らの施設で抱えているために、十分に支援の余力がない場合もありうると指摘している八幡さんは、入所施設の現状をよくご存知だ。しかも、日本政府は地域でボランティアを募ったらよいというが、そのことの限界も指摘している。ここで本文にあるとおり輪島市がちゃんと予算をつけていることは、特筆される。しかも、人材派遣の関係施設間ネットワークも提案していることも、自治体として当たり前だが、少なくとも政府よりもよく考えている。

■ リストに圧倒されるとともに指定避難所で備蓄できるか心配――大谷のコメント(その3)
 ガイドラインから八幡さんが上げている必要な物資のリストには圧倒される。でも、地域にはたしかに色々な人が存在している。その人たちが日常生活を普通に営むためには、こうした用品が必要だ。すべてを備えている避難所は少ないだろう。

 しかも、指定避難所に前もって置けるかどうかを心配している八幡さんである。私は、一般的に指定避難所に障害をもった人や要介護高齢者や乳幼児も避難させればよいと、まさに一般的にこれまで主張してきた。まぁ、ノーマライゼーションの視点である。だから、指定避難所を利用している人々が、福祉避難所の機能を担えるという表現もでてくる。

 ところが具体的にこうした日常生活用品が必要になるのだ。さまざまな状態の人々を受け入れるには、こうした用品を事前に準備しておく必要があることに気が廻らなかった(恥ずかしい)。事前に備蓄となると、やはり福祉施設が妥当かなとも思う。それでは、別枠になってしまう。

 ユニバーサルデザインとか頭では理解したつもりになっていたが、本当のところは分かってなかったのだ。いろいろな状態の人を受け入れるには、対応できる人材だけでは十分ではない。ハード面にもそれだけの準備が必要だと教えてくれた。


平和貢献で社会参加を 授産施設に通う 長崎市の奥平さん 核廃絶の署名開始

2009年07月27日 00時19分09秒 | 障害者の自立
 長崎市内の知的障害者授産施設に通う奥平文雄さん(47)が26日午後、同市の繁華街・浜町の鉄橋で核兵器廃絶を求める署名活動を新たに始める。毎週末、街頭署名に取り組んでいる地元高校生に触発され「平和のためにできることを」と思い立った。障害者の社会参加のきっかけにもしたいという。

 奥平さんは軽度の知的障害で、高校卒業後に療育手帳を取得。平日は授産施設に通い、縫製品からはみ出た糸を切り取る作業をしている。

 計算は苦手だが、文章の読み書きは好きだ。4年前、高校生が核兵器廃絶の署名集めに取り組んでいる新聞記事を見て「頑張っている高校生たちを手伝えないか」と活動場所を訪ねた。

 初日は通行人に声を掛けられず、うつむき通しだった奥平さんを励ましたのが、母の幸子さん(73)だった。自ら最初の署名をして「顔を上げて頑張りなさい」と声を掛けた。以来、10回ほど活動を手伝う中で、奥平さんは「自分たち障害者だけでもできるはずだ」と、先頭に立って活動することを決意。高校時代の友人ら3人の同志を集めた。活動時に掲げる横断幕は幸子さんが知り合いの看板店に注文、プレゼントした。

 幸子さんは「内にこもりがちな知的障害者にとって、署名活動は社会参加のきっかけになるはず」と話す。初日の目標は50人分。集めた署名は高校生に託す。今後も趣旨を理解してくれる障害者の参加を募る考えだ。

 被爆2世でもある奥平さんは「戦争は、危ないでしょう。(通行人が訴えを)聞いてくれるか心配もあるけど、僕たちも平和を願っていることを知ってほしい」と話している。

性同一性障害、難民らが「語り部」 リビングライブラリー、京でも

2009年07月27日 00時17分35秒 | 障害者の自立
 性同一性障害がある人や難民、障害者といった、普段接する機会が少ない人を「語り部」に招き、少人数で対話し理解を深め合う活動が広がりを見せている。語り部を「本」と位置付けた「リビングライブラリー(LL、生きている図書館)」活動で、京都でも既に2回開催されている。

 ■違い認め合える社会を

 「自分はなぜ男、あるいは女だと思いますか」。6月下旬、京都市左京区の京都大で開かれたLLで、介護施設職員の茂木歩さん(22)=大阪市=は参加者の3人に問い掛けた。1人はしばらく考えて「意識したことがない。性別が男だから男として生きてきた」と答えた。

 茂木さんは性同一性障害で、戸籍上は女性だが男性として生活している。この日は語り部として参加。「性の概念は社会によってつくられている場合が多い。自分自身の性について考え直してみてほしかった」と話した。

 LLは9年前にデンマークで始まり、日本では昨年から学生や市民団体などが取り組み始めている。京大での企画は、京大生4人が主催。茂木さんのほかミャンマーからの難民や視覚障害者など7人が語り部となり、参加者21人が3人ずつのグループで語り合った。

 ■少人数で対話、身近に感じるきっかけに

 主催者代表の総合人間学部3年丸山綾子さん(20)は「アンケートで語り部についてもっと知りたくなったと答えた参加者が多かった」と手応えを話す。

 子どもや女性への暴力防止に取り組む大阪市のNPO法人(特定非営利活動法人)「APIS」は8月1日にLLを大阪市中央区のドーンセンターで開く。理事長の木村ゆかりさん(42)は京大でのLLを見学し「先入観を持たれることがある人を身近に感じるきっかけになる」話している。

北海道・函館の大平さん、高知入り 地面や葉に水が当たる音撮る /高知

2009年07月27日 00時16分32秒 | 障害者の自立
 ◇全国行脚、残り37都道府県「たくさんの人に出会いたい」
 カメラと白いつえを手に、日本全国を一人旅している全盲の写真家、大平啓朗(ひろあき)さん(30)=北海道函館市=がこのほど高知入りした。宿泊先はすべて一般の人の家。大平さんは「自分の姿を見てもらい、健常者に『共に生きる』という気持ちを持ってほしい」と話している。旅は来年3月ごろまで続く。

 山形大の大学院生だった03年11月、メタノールを誤飲し光を失った。その後、筑波大で心身障害学を学び、今年4月に卒業。函館市で知人の障害者らと共に、障害者も健常者も当たり前に集まれる場所「ユニバーサルタウン」を作る活動を進めている。

 一人旅は、「障害者でも何でもできることを証明したい」と決意し、先月25日、沖縄県波照間島をスタート。交通機関などを使いながら九州全県を回り、愛媛県を経て今月24日に県内に入った。

 幼少のころから好きだったカメラを、視覚を失ってからも続けてきた大平さんは、音、におい、温度、空気に神経を集中させシャッターを切る。桂浜では土砂降りに見舞われたが「地面や葉に水が当たる音を撮る。これだけ降っていれば人が苦笑いする表情も撮れるね」とにっこり。県内には今月27日まで滞在し、徳島県に向かう予定だ。

 47都道府県制覇まであと37。大平さんは「たくさんの人に出会い、優しさを感じたい。自分も何かを与えられたら」と話している。

 大平さんの旅の経過は、写真と共にホームページ(http://www.nizamo.com)で見られる