天災・人災などが発生した場合、障害者には支援どころか支援に関する情報すら届かないことが少なくない。今年4月下旬にパキスタン北西辺境州で始まった治安部隊による武装勢力掃討作戦により、パキスタンでは国内避難民の数が急増し、その中には障害者も数多く含まれていた。
JICAはこの状況を受け、2008年から同州アボダバード県で実施している「障害者社会参加促進プロジェクト」の活動の幅を拡大し、支援に関する情報の提供や障害者のネットワークづくり、心のケアなど、障害がある国内避難民に対する支援も7月から急きょ開始した。
社会保障制度が整備されていないパキスタンでは、障害者に十分なケアが行き届かず、教育や職業などの機会を与えることも難しい状況に置かれている。このような状況の下、パキスタン政府は02年に策定した障害者国家政策に基づき、06年にはこれを実施に移すための「国家行動計画」を定め、計画推進のための協力をJICAに要請した。
「障害者社会参加促進プロジェクト」の対象地域については、北西辺境州アボタバード県には05年10月のパキスタン北部大地震で被災し、障害を負った人も多く、その対応が必要とされていたほか、同県が北西辺境州ではペシャワール県以外で唯一、県社会福祉局を擁し、さらに特殊教育学校や全国肢体不自由者・知的障害者スポーツ大会が開催されるスタジアムの存在など、障害者のエンパワーメントやネットワークづくりを推進する上で活用可能なリソースを備えていたことから選ばれた。プロジェクトは11年までの予定で実施されている。
JICAはこれまでのプロジェクト活動に加え、7月から新たに開始した国内避難民への支援では、聞き取り調査を通じての基礎情報の収集、各種支援にかかる政府への申請書の配布と説明、カウンセリング、障害者および家族リーダーの育成を行う一方で、障害者の社会参加にかかる啓発ワークショップや、スポーツや写生大会などのレクリエーションも実施している。
国内避難民に対する今回の支援では、通常は支援される立場におかれる障害者がプロジェクトのサポートスタッフとして参加し、障害者とのネットワーク強化や啓発活動を主体的に推進している。プロジェクトではそのほかに13人の障害者がスタッフとして活動。その中の一人で、聞き取り調査を担当する女性スタッフには歩行障害があるが、プロジェクトに参加するようになってから笑顔も増え、物事に対して積極的になるなど目に見える変化が起こっている。これらは、社会参加の機会増大が障害者の自立促進に大いに役立つことを実証している。
パキスタン北部大地震が発生した際、障害のある被災者への緊急支援は物資供与などハード面での支援が中心であったため、障害者の外部支援に対する依存度を高め、結果として復旧・復興の段階で自立が妨げられる傾向が見られた。これらの教訓を踏まえ、今回の支援では、郷里への帰還後に自立した社会生活を送れるよう、生活面の訓練指導や情報の提供などソフト面を重視した支援を展開している。(09年7月24日のJICAトピックスから)
JICAはこの状況を受け、2008年から同州アボダバード県で実施している「障害者社会参加促進プロジェクト」の活動の幅を拡大し、支援に関する情報の提供や障害者のネットワークづくり、心のケアなど、障害がある国内避難民に対する支援も7月から急きょ開始した。
社会保障制度が整備されていないパキスタンでは、障害者に十分なケアが行き届かず、教育や職業などの機会を与えることも難しい状況に置かれている。このような状況の下、パキスタン政府は02年に策定した障害者国家政策に基づき、06年にはこれを実施に移すための「国家行動計画」を定め、計画推進のための協力をJICAに要請した。
「障害者社会参加促進プロジェクト」の対象地域については、北西辺境州アボタバード県には05年10月のパキスタン北部大地震で被災し、障害を負った人も多く、その対応が必要とされていたほか、同県が北西辺境州ではペシャワール県以外で唯一、県社会福祉局を擁し、さらに特殊教育学校や全国肢体不自由者・知的障害者スポーツ大会が開催されるスタジアムの存在など、障害者のエンパワーメントやネットワークづくりを推進する上で活用可能なリソースを備えていたことから選ばれた。プロジェクトは11年までの予定で実施されている。
JICAはこれまでのプロジェクト活動に加え、7月から新たに開始した国内避難民への支援では、聞き取り調査を通じての基礎情報の収集、各種支援にかかる政府への申請書の配布と説明、カウンセリング、障害者および家族リーダーの育成を行う一方で、障害者の社会参加にかかる啓発ワークショップや、スポーツや写生大会などのレクリエーションも実施している。
国内避難民に対する今回の支援では、通常は支援される立場におかれる障害者がプロジェクトのサポートスタッフとして参加し、障害者とのネットワーク強化や啓発活動を主体的に推進している。プロジェクトではそのほかに13人の障害者がスタッフとして活動。その中の一人で、聞き取り調査を担当する女性スタッフには歩行障害があるが、プロジェクトに参加するようになってから笑顔も増え、物事に対して積極的になるなど目に見える変化が起こっている。これらは、社会参加の機会増大が障害者の自立促進に大いに役立つことを実証している。
パキスタン北部大地震が発生した際、障害のある被災者への緊急支援は物資供与などハード面での支援が中心であったため、障害者の外部支援に対する依存度を高め、結果として復旧・復興の段階で自立が妨げられる傾向が見られた。これらの教訓を踏まえ、今回の支援では、郷里への帰還後に自立した社会生活を送れるよう、生活面の訓練指導や情報の提供などソフト面を重視した支援を展開している。(09年7月24日のJICAトピックスから)