認知症となった人や知的障害者ら判断能力が十分でない人を保護する「成年後見制度」の需要が高齢者の増加とともに高まっている。だが、人口減少が著しい佐渡では後見人のなり手不足が深刻になっており、関係者は、手を打たないと制度そのものが崩壊しかねない、と訴えている。
◇
近年、認知症のお年寄りに必要のない物品の売買契約を結ばせたり、財産をだまし取ったりする悪質な事件が全国で起きている。そんな被害をくい止めるためにも注目されているのが、契約をはじめ法律行為を代理できる成年後見人だ。
後見人には家族や親戚などがつく「親族後見」が一般的だ。だが、佐渡島では若い世代の人口流出が多いこともあって、後見人のなり手がなかなか見つからない。弁護士や司法書士、社会福祉士など専門職が後見人となる「第三者後見」も不足している。
島内の成年後見制度に詳しい法テラス佐渡の水島俊彦弁護士が昨年6月に司法、社会福祉関係各所にアンケートを募ったところ、2010年度の要支援者はのべ1255人で、身寄りがないため第三者後見を必要としている人は50人に上った。
これに対し、実際に島内で第三者後見人として活動できる人は約20人に過ぎず、残り20~30件分しか引き受けられる余裕がない。毎年15件以上で後見人が選任されるため2年後には引き受けられなくなる可能性がある。
ますます要支援者数は増えると見込んで、佐渡市自立支援協議会が中心となって、法人として後見人を引き受ける「後見センター」の設立を進めているが、運営費や人員の確保などクリアすべき課題は多い。
また、アンケートでは要支援者のうち月収6万円以下の人が335人いた。協議会は、低所得者が利用しやすくなる助成制度の導入も市に求めている。
水島弁護士は「受け皿となる支援制度の拡充を急がなければ、制度を維持できなくなる。センターの設立だけでなく、第三者後見人の育成など、やらなければならないことは多い」と話す。
朝日新聞 - 2012年01月19日
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近年、認知症のお年寄りに必要のない物品の売買契約を結ばせたり、財産をだまし取ったりする悪質な事件が全国で起きている。そんな被害をくい止めるためにも注目されているのが、契約をはじめ法律行為を代理できる成年後見人だ。
後見人には家族や親戚などがつく「親族後見」が一般的だ。だが、佐渡島では若い世代の人口流出が多いこともあって、後見人のなり手がなかなか見つからない。弁護士や司法書士、社会福祉士など専門職が後見人となる「第三者後見」も不足している。
島内の成年後見制度に詳しい法テラス佐渡の水島俊彦弁護士が昨年6月に司法、社会福祉関係各所にアンケートを募ったところ、2010年度の要支援者はのべ1255人で、身寄りがないため第三者後見を必要としている人は50人に上った。
これに対し、実際に島内で第三者後見人として活動できる人は約20人に過ぎず、残り20~30件分しか引き受けられる余裕がない。毎年15件以上で後見人が選任されるため2年後には引き受けられなくなる可能性がある。
ますます要支援者数は増えると見込んで、佐渡市自立支援協議会が中心となって、法人として後見人を引き受ける「後見センター」の設立を進めているが、運営費や人員の確保などクリアすべき課題は多い。
また、アンケートでは要支援者のうち月収6万円以下の人が335人いた。協議会は、低所得者が利用しやすくなる助成制度の導入も市に求めている。
水島弁護士は「受け皿となる支援制度の拡充を急がなければ、制度を維持できなくなる。センターの設立だけでなく、第三者後見人の育成など、やらなければならないことは多い」と話す。
朝日新聞 - 2012年01月19日