ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

日本発!! ブレイン・マシン・インターフェース新時代

2012年01月02日 01時52分36秒 | 障害者の自立
 念じるだけでロボットを動かしたり,言葉を伝えることができる。それはもはや,空想世界だけの話ではない。

 ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は,脳をダイレクトに機械につなぎ,これまでにない通信や生活のかたちを可能にし得る技術である。特に医療福祉領域では,失われた脳機能の代償や回復に役立つ技術として,寄せられる期待は大きい。世界中で熾烈な技術開発競争が行われるなか,わが国では多分野の協働により,独自性に富み,機能性に優れた医療BMIの研究開発が着実に進みつつある。来る実用化時代を見据え,人・社会と共生し,より多くの福音をもたらすBMIの在り方を,本特集にて展望してみたい。

 さあ,BMI新時代へ。



BMIの新技術で,難治性神経疾患・脳機能障害に光を

平田雅之(大阪大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学講座 特任准教授)=執筆
牛場潤一(慶應義塾大学理工学部 生命情報学科 専任講師)=執筆協力


--------------------------------------------------------------------------------

ブレイン・マシン・インターフェースとは何か

 ブレイン・マシン・インターフェース(Brain Machine Interface; BMI)とは,脳と機械を直接つなぎ,脳機能を補填・増進させる技術の総称である。BMIは,脳に対する作用から「入力型」「中枢介入型」「出力型」に分類される(表)。


表 さまざまな用途が期待される医療用BMI(一部はすでに臨床応用されている)

 本稿で主に取り上げる出力型BMIは,脳信号を計測してコンピューターで解読(decoding)し,脳活動の内容を推定,外部機器を操作することで,失われた神経機能を代行,回復させる技術である。入力型,中枢介入型BMIと比較すると本格的な臨床応用には至っていないが,筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄損傷,脳卒中後の運動麻痺をはじめとする脳機能障害患者の機能補填や再建への活用が大いに期待され,研究が盛んに行われている。

 出力型BMIは,手術により頭蓋内に電極を置く侵襲型と,手術をせず頭皮脳波や近赤外分光法(NIRS)などを用いる非侵襲型,大きく二つに分類することができ,目的・用途に応じて使い分けられている。

神経生理学分野における成果と課題

 BMIによる機器操作を初めて実証した研究として有名なのが,Chapinらによるラットの実験である(Nature. 1999,図1)。彼らはまずレバーを押せば水がもらえる電動アームを用いて,ラットにレバー操作による水飲みを学習させた。次にレバー操作の直前に発火する神経細胞を脳内刺入型針電極から検出して,その神経細胞が発火すれば,水飲み操作を補助するよう電動アームの制御を変えた。しばらくするとラットはもはやレバーは操作しなくなり,頭でレバーを押すことを考えるだけで水飲みを操作するようになったという。


図1 ラットを用いたBMIによる水飲み操作

 次いでDonoghueやSchwartzのグループがサルでコンピューターカーソルやロボットアームの制御に成功して注目された。Schwartzらは運動野の神経細胞に"preferred direction"と呼ばれる,一定の方向に腕が動いたときによく反応する特性があることを見いだしていた。その特性を制御に用いることにより,わずか100個程度の神経細胞の発火活動を計測するだけでロボットアームの3次元コントロールを可能にした(Nature. 2008,図2)。


図2 サルを用いたBMIによるロボットアーム制御

 これらの研究成果はいずれも基礎の神経生理学者が長年の研究により見いだしていた神経生理学的特徴をうまくBMIに応用したものと言える。しかし,微小な針電極を多数大脳皮質に刺入するため,脳自体に損傷を与えるだけでなく,神経活動計測という極めて繊細な環境を要し,慢性炎症反応による瘢痕組織が形成されることなどから,長期間にわたって安定した脳活動計測を行うことが困難であり,臨床応用には課題も残っている。

日本の医療用BMI研究最前線:低侵襲型BMI

 米国の侵襲型BMIが主に微小針電極を用いているのに対して,わが国では阪大,ATR脳情報通信総合研究所,東大などを中心としたグループで,脳の表面に皿状電極をグリッド状に配置したシリコンシート電極(硬膜下電極)を用いた低侵襲型BMIが研究されている。

 脳神経外科領域ではもともと,難治性てんかんの焦点源の同定や,難治性疼痛に対する大脳皮質電気刺激療法のために,硬膜下電極を2週間程度留置する方法がとられてきた。こうした診療背景のもと,倫理委員会の承認と患者さんの協力を得てBMIの臨床研究を進めてきた。

 大脳における運動情報の最終出力は一次運動野であるが,ヒトでは中心溝と呼ばれる脳のしわのなかにその大部分がある。われわれは,中心溝内の一次運動野が運動内容の推定に有用であることを明らかにした(Neuroimage. 2009,図3)。次いで,運動時に生じるγ帯域(80-150Hz)の活動強度が運動内容の推定に有用であることから,これを用いたロボットアームのリアルタイム制御に成功した(J Neurosurg. 2011)。さらに運動障害を持つ患者でもγ帯域の活動は残っていることから,これを用いて運動内容の推定とロボット制御ができることを明らかにした(Ann Neurol. in press,図4,5)。意思疎通支援装置の開発にも取り組んでいる。


図3 運動内容推定に有用な中心溝内運動野の脳信号


図4 運動障害の程度とγ帯域(80-150Hz)の信号強度


図5 ヒトでのBMIによるロボットアーム制御

 侵襲型BMIを臨床応用するには,感染のリスクを避けるため,最終的には装置をワイヤレス化し,体内埋込する必要がある。その開発には,図6のように個々人の脳表面にフィットする3次元高密度脳表電極,128ch集積化アンプ,Bluetoothワイヤレス通信回路,非接触充電電源,個々人の頭蓋骨にフィットする人工頭蓋骨兼用頭部ケーシング,フッ素ポリマー樹脂腹部ケーシングなど,これまでの埋込医療機器にはない斬新なアイデアを多数導入し,プロトタイプ W-HERBS(the Wireless Human ECoG-based Real-time BMI System)を2011年3月に作製した(IEICE Trans Commun. 2011)。今後動物実験を経て,2014年をめどに臨床研究を行う計画である。


図6 ワイヤレス体内埋込装置の開発

 わが国の侵襲型BMIは,脳神経外科の診療の現場から始まり,実用化の面で世界最先端を行く研究になったといえる。

非侵襲型BMI

 非侵襲型のBMIに取り組んでいるのは慶大のグループである。同大では,脳波を用いて運動想起時に生じるα-β帯域(8-30Hz)の信号強度の変化を計測し,BMIに用いており,筋ジストロフィー患者がインターネット上の3D仮想世界にいるキャラクターをBMIで操作することに成功している.

 こうした機能代償型BMIに加え,同大では上記手法を用いて運動企図を推定し,麻痺肢を他動的に運動介助することでリハビリテーション効果を期待する機能回復型BMI(図8)にも力を入れている。脳卒中で麻痺のある患者を対象として,電動装具により麻痺側手指を動かすとともに,この変化を患者に見せる視覚フィードバックを4-7か月にわたって行ったところ,律動変化の大きさが有意に大きくなった。さらに重度の運動麻痺患者8例中4例で,随意的な筋電反応が生じるようになった(J Rehabil Med. 2011,図9)。これらはBMIをそのまま神経機能代償に用いるのではなく,患者の神経機能回復に応用するという独創的発想を実現した貴重な成果である。

図8 麻痺側上肢に対する機能回復型BMI

図9 機能回復型BMIによるリハビリテーションの成果

医療用BMI研究の今後

 非侵襲型BMIは,BMIを用いたリハビリテーションの臨床応用を図るとともに,脳波装置の多チャンネル化やNIRSとの併用による高性能化をめざす。

 一方,侵襲型BMIに関しては,まずは有線での短期臨床研究を開始するとともに,ワイヤレス埋込装置の動物実験と実用化開発を進め,数年後をめどに臨床研究の開始をめざしている。ワイヤレス埋込技術は,非拘束長時間大量データ計測を可能にすることから,脳内情報処理研究に新しい研究パラダイムを創出する可能性もあり,脳科学や情報科学の研究に新展開をもたらすと期待される。

週刊医学界新聞 > 第2959号 2012年01月02日 吉峰俊樹(大阪大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学講座 教授)=監修


スポーツのチカラ:和歌山再興/1(その1) スポーツ王国の力 /和歌山

2012年01月02日 01時48分02秒 | 障害者の自立
 ◇ほめて育て一流に 得意分野伸ばす--田中3兄弟・父章二さん

 「巨人の星の星飛雄馬のお父さんみたいだと思ってたでしょ」。貫禄あるひげを蓄えた口元がゆるむ。

 ロンドン五輪での活躍が期待されている体操の“田中3兄弟”を育てあげた父章二さん(61)。和歌山北高校の体操部で指導し、現在も和歌山オレンジ体操クラブ(和歌山市)で子どもたちを教える。印象的な優しいまなざし。指導法も意外にソフトだ。

 クラブの子どもたちは入賞できる力を付けさせてから大会に出場させる。賞状をもらう喜びを味わってもらいたいとの思いからだ。3兄弟に対してもそうだった。試合ではトップではなく、上の大会に進出できる程度の順位を目標とさせ、無理な練習はさせなかった。「子どもたちを息詰まらせないようにしていた。家でも体操の話はしなかった」

 「(長男の)和仁は面倒見がよくて、兄弟をまとめてくれた。体操の演技も性格通りの正確さだった」「(長女の)理恵は動きが素早く、技を覚えるのも早かったね」「(次男の)佑典は技と技のつなぎがスムーズで合理的な動き。体操のセンスは一番」。話しぶりにもほめて育てた父の姿がうかがえる。

 和仁さんが3歳のころ、100円で動くスーパーの遊具にそのまま乗せていた。ある日、我が子が動く別の遊具をみて「お金を入れないと動かないんだよ」と気付くと「ほめて700円分乗せてあげた」。体操もそんな調子で、楽しく基本を体得させ、得意な部分を伸ばし一流選手に育て上げた。

 父は今も3兄弟を励まし続ける。緊張する状況の中でも楽しんでほしいと、大会前には「思いっきりいけよ」などとメールを欠かさない。

 「今回のオリンピックが、兄弟そろって出場できる最後のチャンスだろう」。今年は和歌山が台風被害からの復興を期す特別な年でもある。3兄弟は1月20日に東京で開かれる和歌山の観光キャンペーンに参加するという。「五輪前で忙しく行事への参加は断っているが、地元のことが心配でこの催しにはそろって出ることにしたと聞いた。いつの間にかしっかりした大人になった」。3人の活躍をだれよりも期待している。【竹田迅岐】

    ◇

 活躍が期待される県ゆかりのアスリートやその関係者などを紹介し“元気”をお届けします。

 ◇体操指導受けてみました 「感じた深い愛情」--毎日新聞・竹田記者

 我が子を3人とも世界レベルの体操選手に育てた父とはどういう人なのか。その指導の極意に迫るには……。田中章二さんに取材を申し込む際、思い切ってお願いしてみた。

 「あ、あの、僕に体操を教えてくれませんか」

 「えっ」

 一瞬、絶句した後、意外にもあっさり「いいですよ」。今思えば「この懐の深さこそが偉大な指導者の証し」と、得心したところで止めておけばよかった。挑戦はあまりにも無謀だった。

 高校まで14年間サッカーをやっていた私はまだ20代。「なんとかなるだろう」。いきなり、あん馬に臨んだ。取っ手を両手で握り跳び上がる。そこまではよかったが、両腕で体を支えるのが精いっぱい。「体を振る方向とは逆の足を振るつもりで」。章二さんは優しくアドバイスしてくれるが、動けない。思い切って大きく足を振ってまたごうとしたら、そのまま上にドスン。周りの小学生たちがクスクス笑っている。

 落ち込みつつ平行棒へ。棒をつかみ、上がろうとしたが、81キロの体重を支えられず落下。「本番では選手も使うから」。章二さんは打ちひしがれる私をなだめつつ、踏み切り板を置いてくれた。なんとか浮上できたが、次第に腕がぷるぷる。力尽きて落ちた。

 「自分はスタートラインにも立てない」。うなだれていると平均台を勧められた。高さ1・2メートル、横幅は10センチしかない。両手を広げバランスを取り、辛うじて歩けた。「足を交互にクロスさせて進んで」。慎重に足を交差させ落下は免れた。

 「三つ子の魂百まで。何事も自分の体で覚える事が大切」と章二さん。徹底して基本技を身につければ、応用技はリズムやタイミング、スピードを変えるだけだという。挑戦はどうしようもない結果に終わったが、こんな私にも優しく熱心に接してくれた章二さんに、3兄弟を作り上げたのは“深い愛情”だったのだと感じた。【竹田迅岐】

 ◇ロンドン五輪カヌー・阪本選手、明るいニュース地元に

 ロンドン五輪カヌー日本代表に内定した田辺市出身の阪本直也選手(23)は県教委の職員。仕事の合間を縫ってカヌーに乗り、現在は筋力強化などに励む。

 カヌーを始めたのは高校1年生の時。小、中学校とサッカーを続けてきたが、友人の誘いで田辺商業(現神島)高校のカヌー部に入部した。

 日本体育大学に入り、国体や日本選手権で優勝するなど活躍。09年からはナショナルチームに所属し「世界を意識するようになった」という。

 台風12号の土砂崩れにより、田辺市伏菟野で高校生2人が死亡した。「身近に起きた災害で今でも深く心に残っている。五輪では決勝進出を目指し、明るいニュースを地元に届けたい」と力強く語る。

 ◇パラリンピックへ 競泳・中村さん、いい泳ぎを見せたい

 障害者によるもう一つの五輪、パラリンピックでも、有望な地元アスリートがいる。

 今年のロンドンパラリンピック出場をめざす橋本市柿の木坂、会社員、中村智太郎選手(27)。競泳男子百メートル平泳ぎでの金メダルを目標に、練習を重ねている。

 生まれつき両腕がないが、それを感じさせない力強い泳ぎ。

 「自分の泳ぎで誰かに何かを与えられるとすれば、そうなるようにいい泳ぎを見せたい」と話す。

毎日新聞 2012年1月1日 地方版

WSJが選ぶ2011年の7つの発明

2012年01月02日 01時38分43秒 | 障害者の自立
優れたアイデアを思い付く企業はアップルやフェイスブック、グーグルだけではない。

 最新の「iPhone(アイフォーン)」やフェイスブックのモデルチェンジが新聞の見出しを独占した2011年。しかし、他にも多くの企業がその創造力を見せつけた。ハイテク製品(優秀なコンピューターや自動操縦の飛行機)から、驚くほど単純なモノ(世界で最も厄介な病気を診断できる紙切れ)まで、さまざまな発明品が生まれた。

 アップルの共同創業者で、現代における最高のイノベーターの1人と言われるスティーブ・ジョブズ氏の死を多くの人が悼んだが、創造力と発明はなくなるどころか、この世に満ち溢れている。

 ここでは、2011年の最も優れた発明品のうち7つを紹介する。

IBMのワトソン・コンピューター

 2011年2月、現実がとうとう想像の世界に追い付いた。IBMのワトソン・コンピューター・システムが米国の人気クイズ番組「ジョパディ(Jeopardy)!」に登場、2人の前チャンピオンを打ち負かしたのだ。ワトソンの勝利は人工知能の歴史に残る偉業だ。SF映画の名作「2001年宇宙の旅」に出てきた架空の人工知能「HAL9000」が思い出される。

 ワトソンは語彙や言語、人間の知識という複雑な領域を理解する目的で作られたが、単に優れた研究開発プロジェクト、というだけではない。医療保険会社ウェルポイントはワトソンを使って、医師向けに治療の選択肢や診断を提案することを計画している。IBMの幹部によると、ワトソンがコールセンターやエンジニアリングなど他分野に応用されれば、3年から5年後に10億ドル規模(約770億円)の事業に成長する可能性があるという。

 ワトソンと同様、アップルのアイフォーン向け音声認証ソフト「シリ」も注目を集めた。シリは、機能は限定されているものの、音声で操作する消費者製品の先駆けとなった。利用者の過去の行動や好みに基づいて、利用者に代わって決定を下す改良版ソフトが発売されるかもしれない。

ノースロップの「X-47B」無人攻撃

 昨年2月、コウモリ型の翼を持つ無人戦闘機1機がロサンゼルス北部の砂漠地帯の上空で29分間の試験飛行を行い、海軍航空機は新たな時代に入った。X-47Bは、飛行経験が豊富な人間が遠隔から操縦かんで操作するような普通の無人飛行機ではない。X-47Bの飛行任務を管理するのはコンピューターだ。オペレーターがマウスをクリックするだけで、エンジンがかかり、攻撃機が空に飛び立つ。

 X-47Bはノースロップ・グラマンが開発した。機内にある2つの兵器倉には最大4500ポンド(約2トン)の兵器を搭載することができる。X-47Bは空母の移動甲板から離発着できる初の無人飛行機でもある。

 無人飛行機の技術は過去10年間で大きく前進した。しかし、2011年末には、イランが米国の無人航空機RQ-170を撃墜したと主張し、その限界も明らかになった。X-47Bは敵のレーダーに探知されにくいとされ、2020年までの配備が予定されている。

ライトロの「生きている写真(Living Pictures)」

 画期的な技術の多くは大企業の実験室から生まれるが、写真撮影の世界に大旋風を巻き起こしたのは、シリコンバレーに拠点を置く新興企業ライトロだった。

 ライトロのスチルカメラがデジタル写真技術における革命的な進歩、と言われるのは、撮影後にピントを合わせることができる「生きている写真」を撮影することができるからだ。写真をウェブブラウザに表示して、ピントを合わせたいところをクリックする。

 ライトロによると、100年前に発明された「ライト・フィールド・カメラ」に最新の技術を導入し、通常のデジタルカメラよりもはるかに多くの情報を記録できるようにした。昨年10月に1台399ドルから499ドルで受注がスタート、受け取りは今年初め以降となる。

レバレッジド・フリーダム・チェア(テコの原理を使った車椅子)

 スロープやエレベーターがないだけでも車椅子で町を動き回ることは難しい。発展途上国の道路は舗装されていないばかりか、石が転がり、泥にまみれている。これでは、車椅子での移動は不可能だ。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)モビリティ・ラボで誕生した新型の車椅子は、発展途上国に住む幾多の障害者にとって解決策となるかもしれない。途上国の障害者の多くは田舎に住んでおり、学校や職場に行くにしても、家にいるにしても、2~3マイル(約3~5キロメートル)の坂を上って生活している。

 この「レバレッジド・フリーダム・チェア(テコの原理を使った車椅子)」は発展途上国に豊富に存在し、安く入手できる自転車の部品で作られている。従来のプッシュリム式の車椅子を作るには数千ドルかかるが、レバレッジド・フリーダム・チェアはたった100ドルほどで作ることができる。特別なレバーが装備されているため、起伏の多い地形を進んだり、急な丘を登ることができる。

 この車椅子は既に数年間にわたる試験が行われており、今年の早い時期にインドで生産が開始される。その後、他国での生産も期待される。

経カテーテル人工心臓弁「サピエン」

 目詰まりした動脈の治療にステントが使われるように、エドワーズ・ライフサイエンスが開発した「サピエン」は大動脈弁狭窄(きょうさく)症の治療に用いられる。ステントにもサピエンにも、開胸手術は不要だ。

 サピエンは牛の組織やポリエステルなどでできており、昨年11月2日に米食品医薬品局(FDA)の認可を受けた。同製品は開胸手術を行わずに、大腿動脈か胸部の小さな切開部からカテーテルを挿入して置換する初の人工心臓弁である。

 心臓内科医が担当するステントの利用が増加した結果、心臓外科医が扱う手術が著しく減少、心臓内科と心臓外科という2つの分野の間に溝が生じていた。サピエンはこの2つの分野の協力によって開発され、どちらの分野でも使用することができる。サピエンが広く採用されれば、2つの分野の関係修復にも役立つだろう。

「ダイアグノスティックス・フォー・オール(Diagnostics for All)」

 切手サイズの紙で世界中の悩ましい病気の一部を診断することができるかもしれない。しかも、かかる費用は1セント以下だ。

 「ダイアグノスティックス・フォー・オール」はボストンに拠点を置く非営利団体で、バイオテクノロジー企業の幹部であるウナ・ライアン氏が創設し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金を提供している。同団体は、特別処理された紙を使った血液検査の手法を開発した。血液や尿1滴を紙にたらし、問題が見つかれば、数分以内に紙の色が変化する。

 この製品はまず、結核に罹患しているアフリカのエイズ患者の検査に使用される。結核にかかったエイズ患者は非常に強い薬を服用しているため、肝不全で死亡することが多い。ダイアグノスティックス・フォー・オールによると、この検査紙を使えば、血液中の毒性を検出する肝機能検査は0.1セント以下で実施できる。外部の電源や機器は不要。

トライゲート・トランジスタ

 半導体チップが改良され続けなければ、パソコンも多機能携帯電話(スマートフォン)も「iPad(アイパッド)」も誕生しなかっただろう。インテルは3次元構造のトランジスタを開発、イノベーションを前進させようとしている。

 トライゲート・トランジスタはチップ上に構築するトランジスタに「フィン」のような立体的構造を採用し、1959年以来の半導体の設計を根本から変えた。インテルは、1つの町に多くのオフィスを詰め込むために高層建築物を開発した建築家、といえる。

 インテルによると、この3Dの設計は平面型のトランジスタとは一線を画しており、現在の半導体と比較すると、パフォーマンスは37%、消費電力は50%改善する。電子機器のさらなる進化を後押しすることが期待される。

2012年 1月 1日 13:01 JST ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

輝け主役たち:ぎふ清流国体/1(その1) 若い熱気再び 本大会は9月開会式 /岐阜

2012年01月02日 01時35分40秒 | 障害者の自立
 岐阜県にとって2巡目となる第67回国民体育大会(ぎふ清流国体)が今年、やってくる。県内で初めて開かれた65年の国体は夏、秋を通じて19市町村(旧町村を含む)などで31競技を開催。前年に開かれた東京オリンピックに加え、国体を契機に新たに20の施設が建てられ、県内のスポーツへの関心が高まった。一方、今回は71の既存施設を改修し、13施設は仮設で対応して極力経費を抑える。その分、心の通った「おもてなし」ですべての参加者や県民が「主役」となる国体を目指している。国体後には、第12回全国障害者スポーツ大会(ぎふ清流大会)も開かれる。冬季国体・スケート競技は今月28日に迫った。前回国体を振り返るとともに、各都道府県を経て再び巡ってきた今国体に挑む選手や、大会を支える人たちを取材した。

 ◇65年岐阜国体を振り返る 自転車競技12回出場--岐阜・岡武慥爾さん(75)

 自転車競技で選手・監督として計12回の国体に出場した岐阜市の岡武慥爾さん(75)は、65年の岐阜大会が最後の国体となった。「成績は駄目だったけど、誰より多く出てやろうと思ってた。私の青春です」と話す。

 食糧難の戦時中に育った。自転車が大好きで、岐南工業高校時代に自転車部を創設した。「当時でさえ自転車は2万、3万した。小遣いをためて練習を重ねた」と振り返る。

 高校、大学、社会人で何度も勝ち取った国体出場。10回以上出場したため文部大臣表彰を受け、岐阜大会では選手宣誓もした。「こんな苦しいことをなぜ続けるんだろうと思ったけど、やはり記録を伸ばすのがスポーツのおもしろさ。国体はそれを競う祭りだった」と話す。自転車競技は競ってくると、相手選手のひじひざがぶつかる。岡武さんの顔にも転倒した時の傷が五つほど残る。

 自転車競技は今でも一番の趣味。マスターズでロードレースなどに挑戦し、夏場は毎日朝5時から50~60キロ走って練習を重ねる。「若い人が自転車で駆け抜けるのを見ると『負けるか』とか『抜き返してやる』と本能的に思う。心はまだまだ負けませんよ」。負けん気は現役のままだ。「今は食べ物もあって、みんな体格もいい。どの競技の選手もベストを尽くしてほしい」とエールを送る。

 ◇青春まっただ中だった 鵜飼娘が大会に花--富加・小島勝子さん(67)

 岐阜県初の前回国体に花を添えたのは、鵜匠(うしょう)の格好をした美女グループ「鵜飼娘」だった。大会期間中交代で駅前に立ち、選手らを出迎えた。鵜飼娘の一人、小島勝子さん(67)=富加町=は「青春まっただ中の出来事だった」と振り返る。

 当時、岐阜市の「河村泰子洋裁学院」の生徒だった小島さんは、ある日突然、院長から呼び出された。身長と体重を尋ねられて答えると、すぐに合格を言い渡され、何が何だか分からないまま翌週には鵜飼娘の衣装などを受け取った。

 鵜飼娘は岐阜市内の洋裁学校に通っていた10代後半から20代の生徒から選ばれた。紺色の無地の着物に赤い帯。腰みのに似せた黒と白の細い縦じまの前掛けをつけ、頭には烏帽子(えぼし)のように黒いターバンを巻いて手を振った。小島さんは「体形で選んだと思いますが」と謙遜するが、鵜飼娘は美女ぞろいだ。降り立つ選手らも「ご苦労さん」などと声をかけてきたという。

 「正直言えば、鵜飼娘をやってる期間中に勉強に遅れるのが心配だった。けど今はあの時にちょうど20代だったから記念になった」。鵜飼娘の着物は肌触りもよく、国体後も母親に「着て着て」と言われては何十年も着たという。

 「国体は47都道府県各県で開かれ47年後、再び岐阜に来る」。鵜飼娘が解散する国体最後の日に県職員がこう言った。小島さんは「あのときは想像できなかったけど、本当にその日がやってきたんですね。ぜひ今の若い世代の人にはこの大会でいろんなことに挑戦してほしい」と力を込めた。

毎日新聞 2012年1月1日 地方版

県営住宅入居に新婚さん優遇

2012年01月02日 01時32分30秒 | 障害者の自立
 広島県は、少子化対策の一環として県営住宅の入居抽選の優遇対象に新婚世帯を加える。同様の取り組みは都道府県で8府県目。2月の公募から運用する予定でいる。

 対象の新婚世帯は入居基準を満たした上で夫婦の合計年齢75歳以下、結婚から3年以内などを条件とする。

 抽選は募集住宅ごとに応募者の持ち玉を抽選器に入れ、回して出た玉の番号で当選者を決める。通常、1世帯当たりの持ち玉は1個だが、新婚世帯は2個に増やし当選確率を高める。県はこの優遇措置を高齢者や障害者たちに適用している。

 県営住宅は1万6793戸(11年3月現在)。年間500~千戸の入居者を年3回、定期募集している。多くは抽選となり、10年度の平均倍率は約4・3倍。広島地区9・85倍▽福山地区4・64倍▽備北地区1・30倍―などとなっている。

 県は、新婚世帯の優遇措置を10月に策定した県営住宅再編5カ年計画に盛り込んでいた。

中国新聞    '12/1/1