川崎市の介護付き老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」の元職員今井隼人容疑者(23)が、男性入所者=当時(87)=をベランダから投げ落として殺害したとして、殺人容疑で県警に逮捕されたことを受け、市は十六日、高齢者や障害者へのサービス事業所などを指導する市職員を四月から増員し、監査、指導体制を充実させる方針をあらためて明らかにした。 2016年2月17日
市役所内で報道陣の取材に応じた市健康福祉局の成田哲夫局長は「施設で亡くなった方に心からご冥福をお祈りしたい」と述べた。その上で、事件を振り返り「職員の意識を高める必要があったと痛感した」と言い、四月から担当職員を増加する方針だと語った。
市では、一連の転落死が明らかになった後の昨年九月、局内に関係職員によるプロジェクトチームを編成。増加、多様化する高齢者や障害者のサービス事業所への監査・指導体制の効率化などに取り組んできた。既に業者に提出させる事故報告書の中に、過去一年間にあった事故の概要を書き込む欄を加えた。
成田局長は、業者に対して「きちんとしたサービスを提供してほしい、という市の考え方をしっかりと伝え、何かあれば市は(指導、処分を)きちっとやると示していく」と述べ、「今後こうしたことが二度と起きないよう取り組みたい」と決意を口にした。
市は同日午前八時すぎ、施設側に「入所者が不安に感じていると思う。きちっと入所者、家族に説明するように」と指導した。