県は二十日、備品などを購入する際、優先して契約を結ぶ対象となる「障がい者雇用促進企業」の名簿の更新を二〇一五年度から怠るなど不適切な事務対応を続け、実際には障害者を雇っておらず優先対象にならない企業と結んだ契約が二百八十四件、約千三百万円分に上ると発表した。
障がい者雇用促進企業に登録されるには、全従業員中、一定割合以上の障害者雇用(障害者雇用率を満たす)が要件。県が物資を発注する際、入札が不要になるなどの優遇を受けられる。名簿は毎年度更新され、県雇用対策課が二、三月ごろ、対象企業が障害者をきちんと雇用しているか確認するため、書類提出を求めている。
同課によると、一五年度以降、担当の男性職員が、県庁に送られた登録申請書を無視して放置したり、調査を怠ったりし、名簿も課長の承認を受けずに勝手に更新したりしていた。今年五月、職員の上司が不適切な事務処理に気付き発覚した。
名簿には六社が登録しており、うち五社は要件を満たしていたが、津市の自動車整備会社は実際は一五年度から障害者が働いておらず要件を欠いていた。県の各部局は誤った名簿に基づき同社を優遇対象企業とみなし、積極的に公用車の車検や整備を依頼。一五年四月から今年五月末までの契約は二百八十四件だった。現在は対象外にしたという。
高松基子・県障がい者雇用推進監は会見し、「担当職員は他の業務で忙しく確認を忘れていた。契約手続きに問題はあるが、法令上問題はない」と話した。県は、男性職員が意図的ではなかったと説明したが、事務が不適切だったとして処分を検討する。
2017年6月21日 中日新聞