障害のある子もない子も楽しめるおもちゃ「共遊玩具」を紹介する「バリアフリーふれあいおもちゃ博」が24日から2日間、福島市早稲町の教育文化施設「こむこむ」であった。知的障害者が経験している世界を疑似体験するワークショップもあり、訪れた人たちは楽しみながら障害への理解を深めた。実行委員会の佐藤玲子さん(60)は「障害の有無に関係なく子どもたちが一緒に遊んで互いを理解し合うきっかけに」と望んだ。
ワークショップでは兵庫県の市民団体「ぴーす&ピース」の矢野一隆代表(55)が、知的障害を持つ娘の話を交えながら障害者への理解を呼び掛けた。参加者は半分に切ったペットボトルの注ぎ口から周囲を見る体験をした。矢野代表は「自閉症の人は、興味のあるものに意識が集中すると視野が狭くなる」と説明した。
「共遊玩具」は、タカラと合併する前の玩具メーカー「トミー」により開発が始まった。「誰もが楽しめるおもちゃづくり」で「世の中のためになる経営」をとの創業者、富山栄市郎氏の理念で1980年、同社は「ハンディキャップトイ研究室」を設立。一般社団法人日本玩具協会によると、2015年6月現在、全国で約200種類の共遊玩具が作られている。
最初に視覚障害がある子ども向けのおもちゃの開発を始めたトミーだったが、需要が限られコストもかかるため、1980年代後半から製品を作り続けることが難しくなった。そこで社員らは、製造コストを抑えるため一般のおもちゃに少し工夫を加える方法で取り組みを継続。「障害者専用のおもちゃ」から、「共に遊ぶおもちゃ」へと進化させた。
「誰もが遊べるおもちゃ」というコンセプトは賛同を集めた。国内では、日本玩具協会が1990年、「小さな凸」実行委員会(現・共遊玩具推進部会)を設立。視覚障害がある子どもたちに配慮するガイドラインをつくり、これを満たすおもちゃに盲導犬マークを付けることにした。1997年には、聴覚障害を持つ子ども向けのおもちゃのガイドラインも完成し、うさぎマークを付けることになった。
毎日新聞 2017年6月27日