ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

愛知)視覚障害者の小説を舞台化 10日に披露

2017年12月07日 10時56分32秒 | 障害者の自立

 視覚障害者が書いた小説を、朗読劇や舞台上で絵を描くライブアートで表現する舞台が、10日に一宮市尾西市民会館で開催される「西尾張ブロックボランティアフェスティバル」で上演される。作者の経験をもとにした作品で、「障害者についてより知ってもらう機会になれば」と話している。

 小説「ぬくもり」は、同フェスティバルのプロジェクトメンバーを務める視覚障害者の加藤一秀さん(56)=江南市在住=が書き下ろした。視覚障害者の父を介護している男子高校生が、周囲のボランティアや障害者と関わりながら、サッカーを続けるかどうか悩むストーリーだ。

 加藤さんは会社員だった34歳の時に「網膜色素変性症」と診断され、今では両目がほとんど見えない。音声読み上げソフトなどを使って、数年前から小説をブログなどで書き始め、将来はプロの小説家を目指している。

 ログイン前の続き「ボランティアなど支えてくれる人々の存在の大切さ、若くして介護を担って苦悩するヤングケアラー問題を伝えたかった」と加藤さん。作品には、加藤さんが通う一宮市の障害者向けのパソコン教室をモデルにした人々も登場する。「視覚障害者の生活やパソコンがコミュニケーションツールになっていることなども知ってもらえれば」

 舞台では、障害者のために本や新聞などを音訳している同市の朗読グループ「ききょう」が小説を読み聞かせる。さらに、作中に登場する役で、主人公を導く画家のモデルとなった画家キクチユミさん(57)=一宮市在住=がライブアートを披露。ストーリーに合わせて、舞台上で縦1・8メートル、横1・5メートルの巨大なキャンバスに絵を描き、作品を完成させる。

 キクチさんは脳性まひの障害がある。独自の技法で活躍するキクチさんは「障害はマイナスではなく個性。私の描く曲がった線も個性であり、その作品や姿を見てほしい」。加藤さんは「障害者として声を発することで、障害者への誤解や距離をなくしていきたい」と話している。

 ボランティアフェスティバルは、西尾張14市町村の団体が活動紹介などをするイベント。「ぬくもり」の舞台は、10日午後1時45分から同市尾西市民会館大ホールである。入場無料。問い合わせは、市社会福祉協議会(0586・85・7024)へ。

2017年12月6日      asahi.com


<象徴天皇と平成>(4)障害者スポーツに熱意 車いすアスリート・土田和歌子さん

2017年12月07日 09時47分35秒 | 障害者の自立

 一九九九年九月、東京都江戸川区で行われたジャパンパラリンピック陸上競技大会でのこと。大会は天皇陛下の即位十年記念と銘打ち、陛下と皇后さまが会場を訪問されていた。

 土田和歌子さん(43)は前年の長野冬季パラリンピックのアイススレッジ(そり)スピードレースに出場し、金と銀のメダルを二個ずつ獲得。春の園遊会に招かれ、陛下に「がんばりましたね」とねぎらわれた。だが両陛下が自分のことを覚えているとは思えなかった。

 「なんで?」「本当なのかしら?」。驚きながら、半信半疑で両陛下の元へ向かった。このときから、両陛下がいつも自分たち障害者アスリートのことを気にかけ、応援してくれていると感じるようになった。

 土田さんは高校二年の九二年、交通事故で車いす生活になった。だがリハビリでスポーツと出会い、世界は一変した。長野大会の後に陸上に転向し、二〇〇四年のアテネ大会では車いす五千メートルで優勝した。日本人で初めて夏季、冬季ともに金メダルを獲得し、日本を代表する障害者アスリートとなった。

 それでも順風満帆ではなかった。〇八年夏の北京大会で接触事故に巻き込まれ転倒。胸椎と腰椎を折り、二カ月の入院を余儀なくされ、引退も頭をよぎった。そんな時、人づてに「皇后さまが非常に心配されていましたよ」と伝えられ、心の支えになった。

 陛下は皇太子時代の一九六四年に東京パラリンピックの名誉総裁を務めた。翌年には陛下の発案で障害者スポーツの全国大会が始まり、現在も続く。九八年の長野パラリンピックでは、観客席で起きた人波のウエーブに皇后さまが参加し、ほほ笑む陛下の姿とともに放映され、感動を呼んだ。

 この半世紀で障害者スポーツは、リハビリ目的から競技スポーツへ大きく性格を変えた。三年後に東京大会を控え、企業の間に試合や練習に専念できる「アスリート雇用」も広がりつつある。国民の障害者に対する意識は変わり、公共施設や道路、交通機関の不便も解消されてきた。

 土田さんは振り返る。「以前は障害者がアクティブに活動できる社会環境ではなかったが、長野大会のころから、一年一年積み重ねるようにバリアフリーが浸透してきた」

 障害者と家族に寄り添ってきた陛下と皇后さま。日本身体障害者福祉大会(二〇〇〇年六月)での陛下の言葉に思いが集約されている。「障害のある人々が幸せな生活を送ることができる真に豊かな社会が築かれていくことを心から願う」-。

 「両陛下の気持ちを励みに結果を残すことができた」。土田さんは両陛下から先駆けとしてのミッションを授けられ、突き動かされてきたかのように感じるという。

 

 野パラリンピックの表彰式でウエーブに参加される皇后さまと天皇陛下=

1998年3月11日、長野市のエムウエーブで

東京新聞