谷口佑樹選手がローイングマシンの使い方を実演し、驚く児童ら
大津市大門通の市立長等小学校の6年生108人が19日、障害者ボートについて特別講義を受けた。リオ・パラリンピック世界最終予選に出場した谷口佑樹さん(29)の体験を交えた話に、子どもたちは真剣に聴きいった。
谷口さんは障害がある人のボートクラブ「琵琶湖ローイングクラブ」(びわろー)に所属し、瀬田川を拠点に活動している。
谷口さんは脚に力が入りにくい先天性の障害がある。この日の講演では、小学生の頃に歩き方の違いをからかわれるなどつらい思いを経験し、「もう死んでしまいたい」と思うこともあったと打ち明けた。社会人になってからボートに出合って夢や目標が生まれ、「今では生きていて良かったと思う」と語った。
夢の一つは東京パラリンピックで表彰台に上がることだと宣言。いじめを受けて嫌な思いをしている人の希望のような存在になりたいとも述べ、「もし自分に居場所がないと思う人がいたら、ボートを一緒にやりましょう」と子どもたちに呼びかけた。
その後、児童たちは競技ボートメーカーの桑野造船やびわろー、瀬田漕艇倶楽部のメンバーらの指導で、陸上でこぎ方を練習できるローイングマシンを体験した。
吉冨晴心君(12)は「みんないつ不自由になるか、わからない。もしそうなっても諦めず、何かに挑戦したいと思った」。びわろー代表理事の小原隆史さんは「障害のある、ないにかかわらず、誰にとっても心地よい場所を目指すことを伝えたかった。その思いは伝わったんじゃないか」と話した。
2017年12月21日 朝日新聞