360度動画は自分の周囲を見回せるため、誰かの視点を疑似体験することも可能です。今回、車椅子利用者の目線を体験できる360度動画を東京にある福生市が公開しました。車椅子利用者が見ている光景を映像と通して共有することで、障害に対しての意識や感心を持ってもらうことが目的です。
https://www.youtube.com/watch?v=cZt-h5CcF2E
本動画は、乗り越えることができない場所や、視線の低さやなどといった車椅子利用者が日ごろ感じる光景が映し出されています。
健常者は通れるが、車椅子利用者は通れない幅の歩道
制作にあたっては、福生市社会福祉協議会の職員で、自身も車椅子の利用者である高崎賢啓氏の監修・協力のもと行われているとのことです。また、同氏による本編で出てきたシーンの何が問題なのか、何が困るかといった解説動画も同時に公開されています。
日本の内閣府は、12月3日から9日までの期間中「障害者週間」と定めています。期間中は障害者の福祉に関するさまざまな活動が行われます。この取り組みとして福生市は本動画を制作しました。
障害者週間関連動画『115cm-車椅子の目線から-〈解説編〉
https://www.youtube.com/watch?v=T0a2G99Jvk0
(参考)
福生市 公式サイト
http://www.city.fussa.tokyo.jp/municipal/koho/medialabo/1006959.html
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徳島市の市道で2015年10月、警報音を鳴らさず後退してきたダンプカーにひかれて全盲の山橋衛二さん(当時50歳)が死亡し、一緒にいた盲導犬も死んだ事故で、盲導犬の所有者である徳島県が運転手側に損害賠償を求め、示談が成立したことが1日、分かった。県は示談金額を明らかにしていないが、関係者によると20万円程度という。交通事故死した盲導犬の損害が認められるのは珍しく、盲導犬の支援団体は「示談額は低いが、これを機に全国で警報音の義務化が進んでほしい」と話している。
バルデスは事故の8日後に引退する予定だった。示談金額は盲導犬としての残りの活動期間や技能などを考慮して決まったとみられる。
事故を起こしたダンプカーには後退時に警報音が鳴る装置があったが、切られていた。徳島県は事故2カ月後、車の接近や後退を周囲に知らせる装置を備えた車両に、使用を義務付ける全国初の条例を制定した。
盲導犬の事故死を巡っては、名古屋地裁が10年3月、トラックにはねられて死んだ盲導犬の社会的な価値を認め、運転手と運送会社に対し、盲導犬を貸与した名古屋市の財団法人に約290万円の損害賠償を支払うよう命じた。
毎日新聞 2017年12月1日
社会福祉法人「瑞宝会」が運営する宇都宮市西刑部町の知的障害者支援施設「ビ・ブライト」で4月、入所者男性が重傷を負った事件などで、傷害と暴行の罪に問われた同法人元職員の宇都宮市、無職の女(25)と、傷害罪に問われた同施設研修生だった那須町、無職の男(22)の両被告の論告求刑公判が1日、宇都宮地裁(柴田誠裁判官)で開かれた。
検察側は女の被告に懲役2年6月、男の被告に同2年を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。
※詳しくは「下野新聞」朝刊、「下野新聞SOON」のモバイルサイトでご覧ください。
毎日新聞 2017年12月1日
知的障害を持つ、東京都町田市の男性(27)が、指導役の女性従業員からいじめを受け、退職を余儀なくされたとして、元勤務先のスーパーマーケットとこの従業員を相手に、損害賠償など約585万円を求めていた訴訟で、東京地裁は11月30日、会社と従業員に計22万円の支払いを命じた。
男性側は、女性から何度も暴言や暴行を受けたと主張したが、認められたのは「あんたの仕事は幼稚園児以下なんじゃないの」「馬鹿でもできるでしょ」という2つの発言だけだった。また、会社側の就労環境整備義務違反なども認められなかった。
判決後の記者会見で、男性側は控訴する意向を表明。男性は、「ずっと我慢していて、会社にも店長にも言い続けてきたのに、自分が言っていることを信じてもらえなくて、すごくつらいです」と話し、涙をぬぐった。
●障害者雇用「定着することこそが鍵」、現場の理解にも課題
判決によると、男性は特別支援学校卒業後の2008年に就職し、2013年まで、この女性従業員とともに働いた。
女性従業員は連絡ノートで、家庭に男性の仕事ぶりなどを報告していた。しかし、男性側は2009年頃から暴言や暴力を振るわれるようになったと主張。男性は同年から就労支援センターに相談し、センターに残っていた相談記録を証拠として提出したが、裁判所は裏付けとなる根拠がないなどとして、2つの暴言以外は認めなかった。
また、男性はセンターを通すなどして、会社側に配置転換や環境改善を要望していたが、聞き入れられなかったという。会社の落ち度を指摘したが、判決では、会社に検討した形跡はあることなどから「合理的配慮が足りなかったといえない」と退けられた。
男性側代理人の黒松百亜弁護士は、こうした障害者の問題が裁判になるのはまれとした上で、「障害者を雇う会社の全体の問題として考えて欲しかった」と残念がった。
現在、障害者雇用促進法で、雇用面の対策は進みつつあるが、定着の難しさが指摘されている。会社が雇用に熱心でも、末端の従業員が、一緒に働く障害者への理解を示せるかも課題とされている。
「我々が一番訴えたかったのは、障害のある方の雇用の定着の点。採用すれば終わりではなく、定着するかこそが鍵。
知的障害があることで、苦手な作業もある。健常者と同じ指導方法だとできない作業もある。だから、どういう障害特性があって、どういう指導方法なら分かるのかなど、会社側が環境整備しないと、作業効率は上がらない。
効率が上がらないと、やる気がないとか、何度言っても間違えるとか、否定的な評価が生じて、いじめに発展する。定着できなくて、辞めざるを得ない」(黒松弁護士)
樫尾わかな弁護士も「会社は障害者雇用に熱心。だけど、現場による。忙しい中で、現場にフラストレーションが溜まっていったのではないか。会社側も就労支援センターのサポートを利用してほしかった」と語った。