大阪労働局は、職場で精神障害や発達障害がある人への配慮ができる「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成講座を、府内各地で展開している。人手不足や両障害者の雇用の増加を背景に、特性に応じて活躍できる職場づくりを進めるのが狙い。サポーターだと分かるシールなども配布。特別な「支援者」というより、「困っていたら声掛けする同僚」を増やしていきたい考えだ。
厚生労働省の事業の一環。民間企業における障害者のうち、発達障害らも含む精神障害者の雇用状況は、2006年の約2千人が17年には約5万人に増加した。今後も増える見込みだが、企業の従業員らが障害の基礎的な知識を得られる機会が限られていた点を踏まえ、講座を企画している。
サポーターは、特別な資格制度ではなく、講座の受講者と位置付けている。障害者への専門的な支援を求めているわけではなく、接し方の大まかなポイントを踏まえた上で同僚として声掛けし、気になる点やうまくいかない場合は管理職らに相談するといった役割を促している。
離職や体調を崩す前の早期対応を図りたい構えだ。大阪では本年度、半年で1150人の受講者数を目指し、12月には目標を超えた。
12日には大阪市中央区の男女共同参画・青少年センターで講座を実施した。ハローワークの精神障害者雇用の担当者は、発達障害について「障害の特性が多岐にわたるため、個々の特性に応じた対応が重要」と強調。一度に複数の指示を出さないようにしたり、言葉だけでなくメモで示すといった工夫を紹介した。
また、大阪大の工藤喬教授(精神健康医学)は、うつ病について「心理的要因だけでなく、体の状態やもともとの性格が三つどもえになって症状が出てくるのを踏まえてほしい」と呼び掛け、本人の状況に応じた対策の重要性を説いていた。
講座の受講者には、サポーターである点を意思表示するためのシールなどを配布。職場での活用を求めている。大阪労働局職業対策課の村田泰弘課長は「相手を突き放すのではなく、声掛けの一歩を踏み出してほしい」と呼び掛けている。
サポーターの意思表示ができるように講座の受講者に配布しているシールや首掛けひも
2017年12月16日 大阪日日新聞