県内の障害者126人の絵画を紹介する「みちあふれる表現」展が26日、周南市立駅前図書館で始まった。障害者に発表の場をと、市内の障害福祉サービス事業所「周南あけぼの園」が2013年から開催。大賞の「HeARTful賞」に、防府市の藤谷幸子さん(31)と、下関市の牧凪紗(なぎさ)さん(17)がそれぞれ選ばれた。
「今までたくさんの人に助けられてきたので、社会人になったら今度は私が助けてあげたい。得意な絵で笑顔にさせていきたい」
この日、館内であった入賞作品の表彰式。牧さんは用意したあいさつ文を元気よく読み上げた。
豊浦総合支援学校高等部の2年生。受賞した「クルーズくんとキャンディちゃん」はアクリル絵の具やクレヨンなどを使い、2匹の愛犬を表情豊かに描いた作品だ。2匹の好物の果物も添え、背景の色に自分の好きなピンクを選んだ。
できあがった絵をみんなに見てもらったら、「笑顔になれるね」と言われ、とてもうれしかったという。
小さな頃から絵が大好きで、ウサギや猫をよく書いた。「高校生になってからは、いろんなテーマにもチャレンジし、毎日頑張っています」と笑顔をみせた。
もう一つの受賞作「幸せいっぱい」で、藤谷さんがモチーフにしたのは地元の春日神社参道にある「ハート桜」だ。枝ぶりがハートの形をした一本桜で、カップルや家族連れらに人気がある。生命力あふれる満開の花びらをカラフルな色使いで表現した。
デイサービス施設で働く藤谷さんが絵を描き始めたのは小3の頃。支援者の勧めで初めて応募した作品が思いがけず大賞に選ばれた。「びっくりしています。大好きな絵をこれからも描き続けたい」と喜んだ。
また、周南あけぼの園で創作活動に励む徳原望さん(31)の「金魚さんたちの14匹に泳いでいる」が名誉賞に選ばれた。28日まで。入場無料。
![写真・図版](https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20181026003481_comm.jpg)
大賞を受賞した牧凪紗さん(左)と藤谷幸子さん
朝日新聞 2018年10月27日