ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

波紋広がる障害者雇用 県内企業、水増し無縁 30年間全国平均上回る

2018年10月25日 13時39分09秒 | 障害者の自立

 中央省庁や県内の自治体などで水増しが問題となっている障害者雇用。県内の企業は30年前から、障害者雇用率が常に全国平均を上回るなど、熊本は民間の障害者雇用の“先進県”だ。

 熊本市西区の熊本地方卸売市場(田崎市場)にある「西九州ハートフルサービス」選果場。コンテナからナスを取り出し、傷や色合いをチェック。1本当たり1、2秒で4等級に分ける。熟練のパート女性に交じって知的障害のある福本真也さん(29)が働く。

 同社は、青果卸の熊青[ゆうせい]西九州青果(同市)が、障害者雇用のために9年前に設けた。従業員65人のうち25人が障害者。同青果グループ全体の障害者雇用率は民間の法定雇用率2・2%を大きく上回る約18%に上る。

 設立から3年間支給された障害者雇用助成金や、その後、法定を超えて雇用している障害者1人当たり月2万7千円支払われる調整金といった国の支援もあり、子会社単体でも経常利益を確保し続けている。

 「障害のある人が長く働けるのがうちの特徴」と管理部長の田原[たばる]昌昭さん(76)。福本さんは勤めて9年目。「最初は失敗も多かったけど、今は集中して作業できます」

 同じく9年勤める松村透さん(50)は、選果のほかに車で農家を回っての集荷などもこなす。以前は、精神障害を隠して自動車販売会社に勤めていたが長続きしなかった。「ここは、体調が悪い時も周囲が理解してくれることが大きい」

 県内の民間企業の障害者雇用率は、過去30年間、常に全国平均を0・2~0・3ポイント程度上回っている。2017年は0・27ポイント上回る2・24%で、全国12位。熊本労働局は「昔から障害者を受け入れる企業風土があるようだ」と分析。支援する民間ネットワークの活動も活発だという。

 合志市にある運輸・物流の「共同」は、障害者と健常者が共に働きながら、働きやすい職場づくりを目指している。レストランにも業務を拡大し、人気のママトコキッチン(菊池市)も経営する。

 同社が障害者を雇用し始めたのは02年。山下敏文社長(66)が本社近くの作業所で働く障害者の「仕事へのひたむきさ」に触発されたからだという。社員262人のうち32人が障害者で、雇用率は約16%。

 同社の三つの物流センターでは、障害者の作業ぶりを見て動線を変え、音声で指示が出るシステムを導入するなどの工夫を重ねている。「一緒に働いていて気付かされることも多く、健常者も働きやすくなる」と松橋物流センター(宇城市)の濱田健智センター長(30)。精神障害がある中間健太さん(37)は「5年、10年とこの会社で働き続けたい」と思いを語った。(社会部・太路秀紀)

(2018年10月24日付 熊本日日新聞朝刊掲載)


障害者が働きやすい職場に

2018年10月25日 13時32分01秒 | 障害者の自立

中央省庁による障害者雇用の水増し問題で、国の検証委員会が調査結果を公表した。昨年6月1日時点で国の33の行政機関のうち28機関が、障害者手帳を持たない職員や退職者などを障害者として不正に計上していた。その数は計3700人にのぼる。

国の機関は率先して障害のある人を雇用すべき立場にあり、水増しは国民への背信行為だ。障害者の自立を支援する政策への信頼も損なわれた。各省庁は、相当の自覚をもって意識改革に取り組まねばならない。

眼鏡をかけた状態などの矯正視力ではなく、裸眼の視力で視覚障害かどうかを判断するというように、恣意的な慣行が長年引き継がれてきたと検証委は認定した。

問題の根っこには、障害の有無にかかわらず誰もが働く機会を持てる社会をつくる、という意識の欠如があるといえる。

政府は今後、国に課された障害者雇用率2.5%の達成に約4千人の新規採用が必要とみて、障害者を対象に常勤職員の選考試験を実施する。非常勤職員として採用後、常勤に移れる制度も設ける。

だが問われるのは、障害のある人が働きやすく、定着できる職場をいかにつくるかだ。

障害の種類や程度は一人ひとり異なる。丁寧に職場環境を整えていく必要がある。

まず求められるのは、不安やストレスを減らす工夫だ。業務の流れや、どのチームがどんな仕事を受け持っているかといった進捗状況を職場に掲示する手があるだろう。短時間勤務や在宅勤務の制度も取り入れたい。

これまでの障害者雇用は身体障害者が中心になっており、精神障害の人の雇用にも努めるべきだ。睡眠やメンタル面の状態などを、管理者が日ごろから把握する仕組みが要るだろう。

重要なのは障害のある人の身になって、受け入れ環境を考えることだ。やはり雇用数の水増しがみられた自治体も、民間企業も、その姿勢が欠かせない。

2018/10/24          朝日新聞社


障害者雇用 水増し不正の根絶を

2018年10月25日 13時23分41秒 | 障害者の自立

 中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題で、第三者委員会の検証報告や地方自治体の自主点検結果が公表された。

 国の行政機関での不正事例は3700人分に上る。新たに公表された都道府県・市町村などの約3800人分と合わせると、過大計上は約7500人分にもなる。国会や裁判所でも同様の事例が見つかっている。

 信じ難いほどの不正の広がりだ。だが、なぜ水増しが行われるようになったのか、肝心な点が解明されていない。

 そもそも1カ月余りでの検証には、限界がある。調査を続け、歴代の関係者も含めて責任の所在を明確にし、厳正に対処すべきだ。不正の根を突き止め、絶つことなしに、再出発はあり得ない。

 第三者委によれば、各省庁は障害のある職員が退職した際、多くの場合、在職している職員の中から新たに障害者を選び、雇用率に算入していたという。まさに法定雇用率を充足するための「数合わせ」ではないか。

 手法も悪質だ。「うつ状態」と自己申告した職員などを、臓器などの内部機能に障害がある「身体障害者」としたり、長年引き継がれてきた名簿をもとにすでに退職した人や亡くなった人を加えたりしていた。

 再発防止のため、厚生労働省が各省向けの手引を作成し、各省庁でも複数の職員によるチェックを強化するというが、不十分だ。第三者委は、各省庁への指導監督体制の不備も指摘している。早急に見直すべきだ。

 水増しの発覚で下がった障害者雇用率を上げるため、政府は2019年末までに、計約4千人の障害者を採用する方針だ。早急な是正は必要だが、「数合わせ」に終わってはならない。

 やりがいを持って働ける職場の環境づくり、その人に適した仕事の内容や働き方の工夫、サポート体制がなければ、長く働き続けることは難しい。

 障害者の社会参加にとどまらず、共に働くことは誰もが働きやすい職場の実現にもつながる。共生の理念が政策に反映される意義も大きい。

 そんな障害者雇用の原点に立ち返り、それぞれの人が能力を発揮できる職場改革に取り組まねばならない。

 今年4月から法定雇用率が引き上げられ、民間でも障害を持つ人を活発に採用している。民間と奪い合うのでは、障害者の雇用を広げることにならない。民間でなかなか採用が進まない精神・知的障害の人たちの働く場を広げることこそ、公的機関の役割ではないか。

2018/10/23         日本経済新聞


全米初、スターバックスが聴覚障害者向け店舗をオープン 首都ワシントン

2018年10月25日 10時44分04秒 | 障害者の自立

米コーヒーチェーン大手スターバックスが首都ワシントンにオープンした「手話ストア」で、手話を使って会話をするギャローデット大学の学生レベッカ・ウィツォフスキーさん(右)と、手話通訳が専攻の学生ニコラス・カラペラッティさん。

米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)は23日、米国では同社初となる聴覚障害者向けの「手話ストア」を首都ワシントンにオープンした。店員の多くは聴覚障害があり、全員が手話で客とコミュニケーションできる。

「普通のスターバックスだと、分かってもらえるといいなと思いながら話しかけるか、携帯電話を使って注文したい商品を見せなくてはいけないんです」。この日、店を訪れたギャローデット大の学生レベッカ・ウィツォフスキー(Rebecca Witzofsky)さん(20)は言う。

「でも、ここでは注文したお客の名前が表示されます。注文したものができたと言うお店の人の声に耳をそば立てなくともいいので、これは本当に素敵」

 新店舗は世界で唯一すべてのカリキュラムが聴覚障害者向けに作られているギャローデット大学(Gallaudet University)の近くに立地。スターバックスが2016年にマレーシアのクアラルンプールに開いた店舗がモデルとなっている。

 店内の様子は他のスターバックスの店と変わらない。しかし、会話の大半が手話で行われているせいか、大勢の人がいるにもかかわらず店内は驚くほど静かだ。

「この店は聴覚障害者がキャンパス外で集まって他の聴覚障害者と会って食事ができる場所です。耳の聞こえない店員さんとも会えます」とウィツォフスキーさんは顔をほころばせる。

 店には他にも聴覚障害者向けの特別な仕掛けがある。「今週の手話」もその一つだ。

 今週のそれは「コーヒー」。両手で握りこぶしを作り、両方とも親指のあるほうを上にして一方のこぶしの上にもう一方のこぶしを載せ、コーヒーのグラインダーを思わせる動きで回す。

 また、耳の聞こえないアーティストがデザインしたマグカップや、スターバックスのロゴを手話でどう表現するか説明する資料も販売されている。

 スターバックスは、さまざまなコミュニティーを結びつけるのがこの店舗の目的だと説明する。同社をめぐっては今年4月、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)の店舗で、友人を待っていただけの黒人男性客2人が逮捕される事件があり、人種差別だとして厳しく批判する声が上がった。

 店のオープニングには、聴覚障害があるアカデミー賞(Academy Awards)女優、マーリー・マトリン(Marlee Matlin)さんも姿を見せた。

 店の外のテラス席でコーヒーを飲んでいた引退したアルバート・ヒボック(Albert Hlibok )さんとペギー(Peggy Hlibok )さん夫妻は「耳の聞こえる世界と交流する」ために店を訪れたと説明。ペギーさんは「これは私たち全員にとって素晴らしい機会だと思います」と通訳を通じて語った。(c)AFP

2018年10月24日    AFPBB News


障害者は我が社の戦力 福岡の2企業 

2018年10月25日 10時33分32秒 | 障害者の自立

特性見て補い合う 人材活用法「健常者と同じ」

 中央省庁や地方自治体で明らかになった障害者の雇用数水増し。障害者を職場の「お荷物」であるかのように扱う風潮を浮き彫りにしたが、主体性が発揮できる環境や周りの支援があれば活躍できる人は多い。障害者を雇う企業の経営陣は「一人一人の特性を見て、補い合って働く場を用意すれば力を出せる。それは健常者と同じ」と言い切る。

 「座っているだけでいい。電話も取らず、ごみも捨てないで」。大蔵健司さん(55)は約2年前、福岡県内の企業でそんな屈辱的な対応を受けた。

 元銀行員で、約10年前にうつ病を発症。就労訓練を受けた後に、ハローワークを通して入った企業だった。そこを2カ月で辞めて入社したのが「西部ガス絆結(ばんゆう)」(福岡県春日市)。障害者雇用を目的とした西部ガスの特例子会社だ。

 Tシャツのデザインやポスター印刷などを行う店舗兼オフィス(福岡市)に勤務。当初は受付の担当がいなかったことから、大蔵さんが自ら名乗り出てカウンターに立つようになった。励みは客からの感謝。1日に何時間も立ち続けるが「仕事が楽しい」と言う。

 社員19人のうち障害があるのは9人。船越哲朗社長(51)は「得意分野と業務を自然と結び付け、互いを助け合える環境にしてきた」と胸を張る。昨年度、同社の売り上げの半分近くは西部ガスのグループ外から受注し、約300万円の経常利益を出すなど業績にも直結している。

 春日市と同県大野城市の不燃ごみの処理施設を運転・管理する「障がい者つくし更生会」は、34年の歴史がある株式会社で社員39人のうち34人が障害者だ。モットーは本人の可能性を引き出す社員教育だ。

 「『できない』と決めつけない。『できません』という本人の言葉をうのみにしない。『やりたい』と自ら言える段取りをするのがわれわれの仕事」。那波和夫専務は、そうして多くの社員に自信を持たせてきた。

 ある男性社員を新たな部署に応援に行かせた翌日は、上司から必ず「班長が助かったと感謝していた。また来てほしいとお願いされた」と伝えた。何度か繰り返した結果、異動の打診を断る男性の姿勢は一変し、希望して異動してくれた。

 危険物取扱者やフォークリフト操作などの資格を取得した障害者も28人に上る。「もっと社員の力を掘り起こしたい」と那波さん。時間はかかるが、社員が納得した上でやる気に満ちて取りかかる仕事は業績にもつながり、最低賃金を上回る給料を実現できている。

 精神障害者保健福祉手帳を持ち、選別業務の班長を担う男性(45)は「障害の有無や種類が同僚との話題になることはない」。障害により苦手なことを“当たり前”と考え、補い合う社風があると笑顔で話した。

障害者は我が社の戦力 福岡の2企業 特性見て補い合う 人材活用法「健常者と同じ」

ごみ処理施設での業務について、写真を指し示して説明する障がい者つくし更生会の従業員

=2018/10/24付 西日本新聞朝刊=