ふみこの前をリョウが行く。白兎と玉兎は、ふみこの後ろからまるで護衛のように付いて来る。リョウが居並ぶ兎の先端に歩を進め、一段高くなった下で停まった。父上さま、母上ただいま戻りました。リョウは神妙そのものにして、静かにふみこを振り返る。何か言ってくれないか?ふみこあいさつしておくれ。
えっ?何を言えばいいんだか、急に言われても。ふみこは、建物に目をぱちくりするばかり。月世界があるとして、地球からどうして見えないのかが不思議だ。それにしても、水晶の輝きで眩いばかりの建物だと吃驚した。リョウの父上さまとかは、あたしのことばが分るんじゃろか。分かるさ、翻訳機があるからね。
ふみこはリョウの物怖じしない態度と、年に似合わぬ大人びた言い方に眉をひそめた。まるで立場が逆転しているじゃない、それにも腹が立つ。ふみこは小学2年生だが、リョウは高学年か中学生に思えた。あいさつだって、家を出た時には夕方だったから。こんばんは、ふみこはぺこっと頭を下げ横目でリョウを見た。
白兎と玉兎が、リョウを促して建物の中に入れるか問うている。ふみこ、疲れたのか?あたし、リョウを送る用事はすんだから家に帰るわ。ダメだ!直ぐになんて帰さない。僕の部屋を見せてあげるよ、ごちそうも一杯あるからね食べてにしよう。このことばには魔力があるのか、顔がほころんでしまうふみこだ。
リョウはふみこの前を駆けて行き、まるでうさぎが跳ねているように見えてしまう。月世界の建物の中は、学校の絵本で観た宮殿そのものだ。月にこんな物があるなんて誰も知らないだろうな、そんなことを思うふみこだった。リョウの部屋に着くまでが長く感じ、迷路のようで何度も姿を見失いそうになるのだった。
えっ?何を言えばいいんだか、急に言われても。ふみこは、建物に目をぱちくりするばかり。月世界があるとして、地球からどうして見えないのかが不思議だ。それにしても、水晶の輝きで眩いばかりの建物だと吃驚した。リョウの父上さまとかは、あたしのことばが分るんじゃろか。分かるさ、翻訳機があるからね。
ふみこはリョウの物怖じしない態度と、年に似合わぬ大人びた言い方に眉をひそめた。まるで立場が逆転しているじゃない、それにも腹が立つ。ふみこは小学2年生だが、リョウは高学年か中学生に思えた。あいさつだって、家を出た時には夕方だったから。こんばんは、ふみこはぺこっと頭を下げ横目でリョウを見た。
白兎と玉兎が、リョウを促して建物の中に入れるか問うている。ふみこ、疲れたのか?あたし、リョウを送る用事はすんだから家に帰るわ。ダメだ!直ぐになんて帰さない。僕の部屋を見せてあげるよ、ごちそうも一杯あるからね食べてにしよう。このことばには魔力があるのか、顔がほころんでしまうふみこだ。
リョウはふみこの前を駆けて行き、まるでうさぎが跳ねているように見えてしまう。月世界の建物の中は、学校の絵本で観た宮殿そのものだ。月にこんな物があるなんて誰も知らないだろうな、そんなことを思うふみこだった。リョウの部屋に着くまでが長く感じ、迷路のようで何度も姿を見失いそうになるのだった。