言うまでもなくバレエはヨーロッパで成立し、欧米人よって踊られてきた舞踊である。
日本のバレエダンサーたちはじつに見上げた努力をした。
バレエという身体芸術には努力をする人の内面を光で満たすものがあるのだ。
なべて修練は積み重ねるほどに精神が自由になる。そして本物の自分が外に顕れ出る。日本のバレエも西洋生まれの技術を吸収し、
自らを磨けば磨くほどに自身を表現することが楽になっていった。
日本人が踊るバレエはとても清楚で折り目正しく、強靭であっても柔和で繊細だ。また抑制された表現には心地良い静けさがあり、
何より清潔な空気感は他では見られないものだ。
佐々木涼子(舞踊評論家)