つれづれ写真ノート

   カメラと写真 そして世の中の色々なこと---

3Dプリント・フィギュア

2013年06月03日 | カメラ

自分とそっくりのフィギュアができる「3Dプリント・フィギュア」を、ソニー・ミュージックコミュニケーションズが販売しています。

もともとは、3月に開催されたアニメ コンテンツ エキスポ 2013で、テスト販売されたもの。反響が大きかったため、期間限定で追加販売することになったそうです。

 

最近の報道によると、3Dプリンターという技術は今後色々な分野でイノベーションを起こしそうだというので、アメリカが特に力を入れています。自動車などの製造業から医療、兵器まで応用範囲が広がっていくと予想されています。

なかでもフィギュアというのは、身近で、みんなが関心を持ちそうな応用ですね。ソニー・ミュージックコミュニケーションズのサイトを見ていて、これは面白い、と思いました。

 

3Dプリント・フィギュアの制作過程が動画になっています(YouTubeより)。

フィギュアの素材は白い石膏なんですが、石膏の塊をほぐすと中から彩色されたフィギュアが現れる場面など、ミケランジェロが大理石の塊の中からダビデ像を彫り出すのにも似た“神業”。感動してしまいました。

3Dプリント・フィギュアのしくみについては次のように説明されています。

・白い石膏の粉を薄く土台に広げ、その上からスキャンされた3Dデータにそって忠実に造形していきます。
・インクと石膏を固める特殊なボンドによって放射された部分だけが固まっていくという仕組みです。
・この薄い石膏の層をプリンターが何重にも重ねて立体を形成していくことになります。

・印刷後は埋没した石膏パウダーの塊の中から余分なパウダーを丁寧に除去し、造形されている部分を丁寧に取り出します。

 

黎明期の肖像写真のように…

ところで、人間の3Dデータを取得するためには、まずスタジオで3Dスキャナーを使った撮影が必要。この間に動いてしまうと、正確なデータが取得できないため、10分~20分程度静止状態を保たなければならないそうです。

10分~20分も静止!

同社では『静止しやすい無理の無いポーズで撮影することをおすすめいたします』と説明していますが、これは大変ですよ~

 

この説明を読んでいて、写真が登場したころの話を思い出しました。

19世紀前半に、フランスのダゲールが初めて実用的なカメラ「ダゲレオタイプ」を発明、肖像写真が一大ブームになったころ。「ダゲレオタイプ」で銀板写真を撮影するのに最初は数分から数10分かかったといわれます。

「ダゲレオタイプ」はのちに数秒~数10秒まで短縮されたものの、人間が同じ姿勢をとり続けるのは難しいため、後頭部を「首おさえ」という金具で固定するなどの工夫が必要とされたとのこと。

長い間体を拘束されて写されたので、そのころの肖像写真の表情には、カメラを凝視するような緊張感が満ちています。(美術出版社刊「カラー版 世界写真史」など参考)

 

3Dスキャンも何か固定金具が要りそうですね。現代の最先端技術が、妙に黎明期の肖像写真撮影術と似てくるのが面白いところです。

 

ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(1844年、ダゲレオタイプ)=ウィキペディアより

 

制限事項も色々

3Dプリント・フィギュアにできない、撮影・再現が難しいものも色々あるようです。

以下は同社の説明。

・小さい水玉や細い線のストライプ模様など細かい柄や複雑な柄は、モアレを起こしますので正しく撮影できません。
・エナメルや合皮製の靴やスタッズのついたものなど、光る素材の衣服や携帯品・装飾品は、正しく撮影できません。
・ファーのような素材は、商品ではその質感が十分に表現されません。
・シフォンなどの網目のある素材やレースなどの薄い素材は、撮影時に光がすり抜け、正しく撮影できません。
・ピンヒール、チェーンバック、フープピアスなどの細かい携帯品・装飾品は、正しく撮影できません。
・レースなどの薄い素材のものは、十分にデータが取得できないため、撮影できません。
・編み上げブーツ、トレッキングシューズなど凹凸の激しい履物や携帯品・装飾品は、正しく撮影できません。
・眼鏡を着用されているお客様は、眼鏡を外した状態で撮影させて頂きます。
・鞄等の小物は、凹凸の激しいものは撮影できません。

 

撮影できないものが、多すぎない? というのは言わないでおきましょう。

3Dプリントもいわゆる黎明期。これから徐々に改善されていくに違いありません。

 

3D撮影の日程は、6月8日(土)、9日(日)、7月5日(金)、6日(土)の4回。

撮影場所は、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ本社内撮影スタジオ(東京都新宿区市谷田町1丁目4番地 SME市ヶ谷ビル)。

気になるお値段は、

S(高さ約15cm)49,000円

M(高さ約20cm)69,000円

L(高さ約30cm)120,000円(いずれも税込)。

複製は少しお安くなるようです。また等身大にも対応とか。

ウェディングの記念などに良さそうですね。また、今の自分を人生の記念に残しておきたい、という人もありそう。

我々のようなオジサンのフィギュアは、あまり見た目がよくないでしょうが、小さいのを机の上に置いて日々眺めることで、過ぎ来し人生を思うのもいいかもしれない… と思ったりします。