2月6日に発表されたキヤノンの5060万画素一眼レフ「EOS 5Ds」と「EOS 5Ds R」。
発売はいずれも6月の予定ですが、先行展示されているキヤノンデジタルハウス梅田で見てきました。
「EOS 5Ds」。
キヤノンによると機種名の「s」は、高画素モデルだった「EOS-1Ds」の系譜を受け継ぐ意味がこめられているそうです。
ロゴの金文字も「1Ds」にならったもの。
5060万画素のCMOSセンサーについては、「ソニー製では?」という噂もありましたが、キヤノンホームページでは「自社開発・自社生産によって蓄積した半導体技術を駆使。」と書かれており、自社製のようです。
ピクチャースタイルに、繊細な画作りに適した「ディテール重視」が加わり、「シャープネス」も「細かさ」「しきい値」という新項目で柔軟に設定できるようになっています。
このあたり、スタジオでプロが使いやすいように配慮されている感じがします。
新しい機能「クロップ撮影」は要するにトリミングで、「高画素を生かした疑似望遠効果」とパンフレットでは説明されていました。
1.3倍のクロップで3050万画素、1.6倍のクロップでも1960万画素ありますから、十分精細な画像になりそう。高画素の強みですね。
画質は、JPEGが6サイズ、RAW が3サイズ。5060万画素も要らないというシチュエーションでは「M RAW」(2800万画素)、「S RAW」(1240万画素)を選ぶことができます。
こちらはローパスフィルターの効果をキャンセル、より解像性能を高めたモデル「EOS 5Ds R」。
銀文字に赤い「R」。「R」はResolution (解像度)の意味。
偽色やモアレの危険性より、解像感を優先するユーザー向き。ローパスフィルターはあるが、その効果を無効化するという、かつてのニコンD800Eと同じやり方です。
この方式を採用したことについて、engadget日本版が次のような発表会レポートを書いています、
『5DsRと5Dsの基本設計は同一ですが、この状態でR側のローパスフィルターを単純に外してしまうと解像度のみならず明るさなどにも影響が出てしまい、露出決定などのプログラムを分けて作る必要があり、またこれまで蓄積したノウハウも活かしにくくなるとのこと。総合的な画質などを考えると、両機種の設計は可能な限り共通化しておきたいという点から、ローパスフィルターの効果をキャンセルするという設計になったとの回答でした。』
当然のことながら、背面液晶の画像を見た限りでは「EOS 5Ds」との精細感の差は分からないので、いずれ出るはずの詳しい比較レビューを見てみたいですね。
ボディー上部(EOS 5Ds R)。
背面(EOS 5Ds R)。
本体の大きさや外観は「EOS 5D Mark III」と似ています。新しくクイック設定画面をカスタマイズできる機能が加わりました。
「EOS 5D Mark III」と全く違う、と感じたのはシャッター音!
「EOS 5Ds」と「EOS 5Ds R」のシャッター音は非常にソフトです。「カシャ、カシャ」という金属音が好きな人には物足りないぐらい。
これは、カメラブレの要因になっているミラーショックを抑制するため、新しく開発されたメカニズム「ミラー振動制御システム」によると思われます。
ほかにも「レリーズタイムラグ設定」「高剛性三脚座」「ライブビュー静音撮影モード」など、神経質なまでのカメラブレ対策。
それだけ、高画素機にはカメラブレが大敵ということですね。
とりあえず店内をパチリ。
撮影画像をアップにしていきます。
右下のシカの絵をさらに拡大してみると…
ここまでアップしても一応見られますね。遠景のカットと同じ画像ですが、すごい解像性能。
画像再生時、ライブビュー撮影時に16倍まで拡大表示できます。これはEOS最大(EOS 5D Mark IIIは10倍)。
シビアなピント確認をサポートするための機能強化とか。
連写は5コマ/秒。
こんなに高画素なのに、ほんとに5コマ/秒で撮れるのかな、と連写してみたところ、じつに軽快(画質はJPEG L)。
液晶の表示待ちもありません。動きものも撮れそう。これは素晴らしいことだと思います。
いろいろ試してみて、まだよく理解できていないのがこの、ライブビュー静音撮影。
ミラーアップ状態での、電子先幕シャッターとメカ後幕シャッターを組み合わせた撮影。振動と音を極力抑えられます。
2種類のモードがあり、「モード1」が初期設定。これは、普通のライブビュー撮影のようです。
「モード2」にすると、シャッターを押した後、液晶が暗転します。
「あれ、真っ暗になった。どうなってるの」と、係の人に相談。
実はシャッターを押して「カシャ」と小さな音がし、そのまま指を離さないでいると液晶は真っ暗ですが、実はちゃんと撮れています。シャッターから指を離すと、「カシャ」と音がして、液晶画面が表示されます。
つまり、絶対静かにしなければいけない場所で、2度目の「カシャ」が影響を与えないよう、コントロールできるモードらしいのです。
たとえばコンサートでピアニッシモの時にシャッターを押し、フォルテになったら指を離すとか… あるいはカバンの中にカメラを入れてシャッターから指を離すとか、そういう風に使うんでしょうか。
ただ、2度目の「カシャ」って何の音?
ライブビューでミラーアップしたままの状態ですから、ミラーの音ではない。
そうか、シャッターのメカ後幕が下りて撮影したあと、後幕が戻るとき(チャージ)の音か…
と、一人で納得してしまいましたが、これで合っているのかどうか… パンフレットにも書かれていないので自信がありません。
もらったパンフレット。
ローパスフィルターのキャンセルのしくみも書かれています。
帰ってからキヤノンのサンプルページでサンプル画像をダウンロードしてみました。
16.3MBという巨大な画像データのポートレート。回線が混みあっていたのか、ダウンロードにかなり時間がかかりました。
ただ、JPEGなので、ダウンロードしてしまえば画像処理ソフトで開いたり、トリミング、修整、といった操作で特に重さは感じませんでした。
これがRAWやTIFFだったら、多少重くなるでしょう。
画質はというと… 驚くべき精細さです。ほんのわずかな部分のトリミングでも、100%表示するとかなり大きい、ネットでそのまま使えそうな画像が現れます。
デジタルカメラが、新しい領域に入った。そんな思いですね。
ボディーだけで50万円… 個人的に、買えるカメラではありませんが。
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