開胸して心停止下に行う従来の大動脈弁置換術(Surgical AVR = SAVR)に対して、最近症例数が増加している経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI = Transcatheter Aortic Valve Implantation)は、低侵襲で、通常の弁置換術がリスクが高くて困難な患者さんにも適応できる画期的な方法です。特にヨーロッパに関しては、患者さんの嗜好によってTAVIが選択されることが増加し、最初はハイリスク症例に限って行われたTAVIも、現在は中程度のリスク、また低リスクの症例にも実施されるようになり、最近は低リスクの症例に行ったTAVIにおいても従来の弁置換術と成績は変わらない、との論文もメジャーな医学雑誌に掲載されるまでになっています。
日本においては心臓血管外科と循環器内科、その他の職種も加わったハートチームで適応を協議し、従来の弁置換術を行うには危険性が高い症例に限って行われているはずですが、最近は患者さんの嗜好なども加わって、歯止めがかからずにどんどんTAVIの症例が増加しているようで、とうとう2018年はTAVIの件数が、単弁の大動脈弁置換術の件数を超えたそうです。
しかしながら、ハイリスク患者においてもTAVIとSVARの成績(死亡率や合併症の発生率)は変わらないとも言われています。
今後、ますます低リスクの症例に適応されていく傾向になると思われますが、通常の弁置換術の入院・手術の費用が約400万円であるのに対し、TAVIは挿入するデバイスの値段だけで480万ほどもかかり、入院・治療費は弁置換術の1.5倍の約600万円かかります。しかも、人工弁置換した場合は最近は20年くらいはもつと言われているのに対し、TAVIは何年もつのかというと、同じような生体弁にもかかわらず、10年以下ではないか、と一般に言われており、1.5番のお金をかけて、弁置換の半分の期間しか持たない、ということになります。要するにTAVIはコストパフォーマンスから考えると従来の弁置換術の3分の一しかない治療といえます。
これを考えると、入院費が弁置換の四分の一である150万円ほどになって初めて同等と言えるのであり、それにはTAVIのデバイスの値段が現在の10分の一くらい妥当といえます。もちろん、TAVIを実施するには高額なハイブリッド手術室などの設備投資や、ハートチームなどの多くの人件費がかかっており、治療費の8割がTAVIのデバイス代に持っていかれて経営的にはマイナス部分が多いのも事実と思われますが、医療は自動車の修理の際の工賃とは違って、その質の維持に十分な評価が与えられるべきと思います。
日本においては心臓血管外科と循環器内科、その他の職種も加わったハートチームで適応を協議し、従来の弁置換術を行うには危険性が高い症例に限って行われているはずですが、最近は患者さんの嗜好なども加わって、歯止めがかからずにどんどんTAVIの症例が増加しているようで、とうとう2018年はTAVIの件数が、単弁の大動脈弁置換術の件数を超えたそうです。
しかしながら、ハイリスク患者においてもTAVIとSVARの成績(死亡率や合併症の発生率)は変わらないとも言われています。
今後、ますます低リスクの症例に適応されていく傾向になると思われますが、通常の弁置換術の入院・手術の費用が約400万円であるのに対し、TAVIは挿入するデバイスの値段だけで480万ほどもかかり、入院・治療費は弁置換術の1.5倍の約600万円かかります。しかも、人工弁置換した場合は最近は20年くらいはもつと言われているのに対し、TAVIは何年もつのかというと、同じような生体弁にもかかわらず、10年以下ではないか、と一般に言われており、1.5番のお金をかけて、弁置換の半分の期間しか持たない、ということになります。要するにTAVIはコストパフォーマンスから考えると従来の弁置換術の3分の一しかない治療といえます。
これを考えると、入院費が弁置換の四分の一である150万円ほどになって初めて同等と言えるのであり、それにはTAVIのデバイスの値段が現在の10分の一くらい妥当といえます。もちろん、TAVIを実施するには高額なハイブリッド手術室などの設備投資や、ハートチームなどの多くの人件費がかかっており、治療費の8割がTAVIのデバイス代に持っていかれて経営的にはマイナス部分が多いのも事実と思われますが、医療は自動車の修理の際の工賃とは違って、その質の維持に十分な評価が与えられるべきと思います。