横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

冠動脈バイパス術に使用する大伏在静脈の内視鏡的採取:Vasoview

2019-09-04 23:21:56 | 虚血性心疾患
 冠動脈バイパス術に使用するグラフトとして未だに大伏在静脈の使用は非常に使いやすいため広く使われています。
 この採取方法として一般的には、大伏在静脈に沿った長い皮膚切開で採取することが多いのですが、特に下腿は皮膚の縫合不全やリンパ瘻などが起きやすく、より小さい創で採取する方法として内視鏡的採取があります。
 専用のデバイスとして、Vasoview(Getinge社)と、バードサフ(TERUMO社)があります。発売されてから10年以上経過していますが、保険召喚されないために使用している施設の持ち出しになり、普及していません。横須賀市立うわまち病院および関連施設では、下肢の閉塞性動脈硬化症や透析患者など、特に総省治癒に問題がある可能性の高い患者さんに限定して使用しています。定価22万円で納入価が18万円強とは、90万円の手術手技料に対して高額です。やはり限定して使わざるを得ません。
 それでも手術のクオリティがもっとも大事であると信じているため、必要な症例では持ち出しが大きくても使用していきます。
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AFIRE試験 冠疾患に対するDOACの有用性

2019-09-04 03:13:54 | 虚血性心疾患
 心房細動に対する抗凝固療法が必要な患者さんが冠動脈病変を合併している場合、抗凝固療法に加えて、抗血小板薬を投与されていることが現在はほとんどです。
 AFIRE試験はこうした心房細動と冠動脈病変を合併した患者さんに対して、リバロキサバン(Xa阻害剤)のみ処方するのか、リバロキサバン+抗血小板薬を投与するのかを比較した、日本人を対象に行われた大規模臨床試験です。
 この試験の結果、リバロキサバン単独投与のほうが、生存率、心事故率、出血性合併症率、ともにリバロキサバン単独投与のほうが有意に有利であることが示されました。

 抗血小板薬重視の今までの常識が覆され、今後の処方事情に大きく影響する研究結果となりました。

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