この手術の手技料はいくらか、このデバイスを使用した場合のコストは?
こうした内容は病院経営上、非常に大切なことなのですが、あまり細かいことを言うと日本人の心境としては、はっきりいって嫌われます。そんなこと気にせず、質の高い手術を最優先でやればいいんだよ!とこういう外科医が心臓血管外科に限らず多いのも現実です。
筆者は心臓血管外科の医局に入局してからず~っと、こうしたコストのことが気になってことあるごとに口にしてきましたが、はっきり言って皆、いやな顔しますし、好かれないことはわかっています。しかし、無駄やコストに見合わない診療することが納得いかないし、他の診療科でもコスト度外視した診療をしたり、無駄な医療機器を購入して全く使用しない実績を見ると腹が立ちます。日本人は世界一のフードロスの国だそうですが、そのことをニュースで目にするたびに腹が立つのと同じレベルで診療上の無駄をしていることを見聞きするたびに腹が立ちます。
でも最近、ESGやSDGsなどの考えが浸透してきて、こうした地球環境や資源を無駄にすること自体が認められなくなってくる世の中になり、日本の医療者も無駄をしない、医療資源の有効利用をする、というコンセプトが浸透してくることを期待しています。