心臓血管外科専門医の資格は手術に参加していないと、論文執筆などの学術活動に接していないと更新が出来なくなります。メスを置くとき、それは専門医資格もなくなるときです。その知識、技術はなくなるわけではありませんが、資格がなくなるというのはさみしいものです。筆者もすでに五十代半ばにさしかかり、いずれはメスを置く時が来ると思いますが、そのあとの医師人生をどう過ごすのか、それぞれの外科医が決めることではあります。
早めにメスを置いた後輩医師たちは、在宅訪問診療で儲けているようですし、リハビリ病院で働いている先輩もいます。こうした中で定年まで心臓血管外科医でいられるのは一部しかいないでしょうし、幸せなことだと思っています。内科医として働いた後、老健施設長、そのあとはクリニックの外来をしている恩師もいますし、心臓血管外科とかかわりながら病院の副院長をしている恩師もいます。
その中で、このたび、学生時代からの友人が病院の心臓血管外科責任者を辞めて、循環器、血管外科系の開業をしました。これも健康さえあれば定年のない就職としては、目指すべき道の一つと思います。事業の成功を祈っています。