グッドぐんま 2

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カワウ

2010年10月08日 23時07分09秒 | 自然観察
カワウは環境汚染などにより、一時は絶滅が心配されるほど数が減りましたが、約20年ほど前から、急激に数を増やし、今までほとんど姿を見せなかった内陸部にも進出。あちこちで漁業者や釣り人との軋轢を引き起こしています。

今日、群馬県の西部を流れる鏑川で見かけたカワウの群れ


カワウは通常、1羽から数羽で採餌を行いますが、時々、数百羽にもなる群れを形成し、川や湖にやってきます。
大きな群れは、初夏や秋に目撃されることが多いようです。


漁協の役員さんが、この群れに向けてロケット花火を発射すると、カワウたちはいっせいに飛び立ちましたが、また、1kmも離れていない場所に降り立ちました。いたちごっこです。


生態学では、それぞれの種が必要とする資源の要素、およびそれをどのように使うのかの資源の利用パターンを「ニッチ(生態的地位)」と呼びます。
釣り人とカワウは魚の捕食者という意味では、同一のニッチを共有しているとも言えるかも知れません。

ところで、自然界では限られた資源をめぐり競争が起こり、「同一のニッチを共有する2種は、その平衡状態において長く共存できない」という競争排除則(ガウゼの法則)があります。競争排除則は、これまで、その生態系に存在していなかった外来種が侵入した場合などには強くあらわれます。
昔はカワウがほとんど見られなかった内陸部における漁業者とカワウの衝突は、まさに種間競争が激しい状態にあるように見えます。

競争排除則に従えば、カワウと漁業者は共存できないということになりますが、現実の自然界では、同じような資源を利用している種が、種間の競争的排除をせずに共存していることが多く見られます。
これは、ニッチが完全に重複しておらず、ある程度のニッチ分化があるためです。漁業者とカワウのニッチに多少のズレがあるならば、共存の可能性もあることになります。

しかし、内陸部の河川上中流部に限れば、カワウは昔はいなかった“外来種”。内陸部に大きなコロニー(集団営巣地)が存在し、多数のカワウが川に飛来するのは、本来の姿ではありません。カワウたちには、河川の下流部や河口域、沿岸域など本来の生息地に戻ってもらうのが望ましいと思います。