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生物多様性国家戦略2010

2010年10月09日 23時02分35秒 | 自然観察
もうすぐ、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開幕します。
「生物多様性」という言葉が使われるようになったのは1986年以降。比較的新しい用語なので、その意味が多くの人に正確に理解されているとは言えない現状にあります。



生物多様性条約では、「生物多様性」を次のように定義しています。

「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。
"Biological diversity" means the variability among living organisms from all sources including, inter alia,terrestrial, marine and other aquatic ecosystems and the ecological complexes of which they are part: this includes diversity within species, between species and of ecosystems.

う~ん、分かりにくい言い回しですね (^^;)
今年3月に策定された「生物多様性国家戦略2010」に分かりやすく解説されていますので引用します。

 生物多様性条約では、生物多様性をすべての生物の間に違いがあることと定義し、生態系の多様性、種間(種)の多様性、種内(遺伝子)の多様性という3つのレベルでの多様性があるとしています。
 生態系の多様性とは、東京湾の干潟、沖縄のサンゴ礁、自然林や里山林、人工林などの森林、釧路や尾瀬の湿原、大小の河川など、各地にいろいろなタイプの自然があることです。種の多様性とは、日本は、南北に長く複雑な地形を持ち、湿潤で豊富な降水量と四季の変化もあって、いろいろな動物・植物が生息・生育しているという状況のことです。遺伝子の多様性とは、同じゲンジボタルでも中部山岳地帯の西側と東側では発光の周期が違うことや、アサリの貝殻の模様が千差万別なことなどです。このように自然界のいろいろなレベルにおいて、それぞれに違いがあること、そして何より、それが長い進化の歴史において受け継がれた結果として、多様でつりあいのとれた生物の多様性が維持されていることが重要なのです。
 しかしながら、「生物多様性」という言葉自体が分かりにくく、理解が進まない一因といわれます。それは、例えば、「つながり」と「個性」と言い換えることができます。「つながり」というのは、食物連鎖とか生態系のつながりなど、生きもの同士のつながりや世代を超えたいのちのつながりです。また、日本と世界、地域と地域、水の循環などを通した大きなつながりもあります。「個性」については、同じ種であっても、個体それぞれが少しずつ違うことや、それぞれの地域に特有の自然があり、それが地域の文化と結びついて地域に固有の風土を形成していることでもあります。「つながり」と「個性」は、長い進化の歴史により創り上げられてきたものであり、こうした側面を持つ「生物多様性」が、さまざまな恵みを通して地球上の「いのち」と「暮らし」を支えているのです。


ところで、生物多様性国家戦略2010は、平成19年に策定された第三次生物多様性国家戦略をほぼ踏襲する内容ですが、これまでに策定された生物多様性国家戦略とは大きく違う性格を持っています。
生物多様性国家戦略2010は、平成20年6月に施行された生物多様性基本法に基づく初めての生物多様性国家戦略であり、その位置づけが法により明確にされています。(これまでの生物多様性国家戦略は生物多様性条約に基づくもの)

生物多様性基本法
第十二条  生物多様性国家戦略は、環境基本法第十五条第一項 に規定する環境基本計画(次項において単に「環境基本計画」という。)を基本として策定するものとする。
2  環境基本計画及び生物多様性国家戦略以外の国の計画は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関しては、生物多様性国家戦略を基本とするものとする。

お役所が作った文書は分かりにくいと思われるでしょうが、生物多様性国家戦略は、生物多様性の現状と背景、目指す方向、対応策などが分かりやすく書かれています。
COP10の名古屋開催を機に、一度読まれてみてはいかがでしょうか?
(第2部はあまり面白くありませんが、第1部はとても興味深い内容ですので・・・)

「生物多様性国家戦略2010」を策定しました 環境省

生物多様性国家戦略2010 PDF