☆ 見ひらけば菩提樹の花瞑れば海 佐藤鬼房
昨日に続いて、読売新聞の「四季」から。
菩提樹は初夏、小さな花をつける。心静かな花である。
今作者は樹下にいて菩提樹の花を仰いでいる。葉ずれの音を聞きながら目を閉じると、青い海の底にいて波間を漏れる日の光を浴びているようなのだ。 櫂
写真の菩提樹は八栗山にある八栗寺の菩提樹の花。
この山から目を転ずると、瀬戸の海がおだやかに横たわっている。
この句を読んだ今朝、真っ先に八栗寺の菩提樹の花がまな裏に浮かんだ。
心の中の葛藤を静かな海の底に置いて、菩提樹の花に一時の安寧にひたっている。
俳句を拾いに、菩提樹の花が咲いたと聞くと、八栗山へ登る。
もう、そろそろ花の季節。
海と菩提樹の取り合わせの妙。八栗寺に何回も通いながら、この句境にいたらぬ自分を、平凡な俳句愛好者と解っていても、このような省略の中に、全宇宙を詠む奧の深い句に接することができ、ああ、今日は素晴らしい勉強ができたと思っている。
良い俳句を読んだ後で、、、慎ちゃんの事。
慎ちゃんが生きている時はケーブルに乗って八栗山へ度々行った。
御手洗場に犬用の桶を置いて下さっている。
それを知っている慎ちゃんは、そこへ飛んで行って水を飲む。
菩提樹の咲く頃は汗ばむ季節だ。喉の乾いた慎ちゃんのことを想いだした。
🐢 菩提樹の落花にまみれ仏足石
俳句を読めばおのずから俳句の実力の差が歴然だ。 まッ 仕方ないさ!