きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

羊の木

2021年04月13日 | 日本

 

「ここはいい所ですよ、人もいいし魚も美味い」、、としか説明のできない、静かな港町・魚深。
きっと住んでる人には住み心地の良い町なんだよなぁ。

その町に6人の元殺人犯が国家プロジェクトとして移住してくる。
全員が「訳アリ」を絵に描いたような不穏そのものな雰囲気。
それを受け入れる市役所職員の月末(錦戸亮)が人の好さそうないかにも凡庸な感じで、不穏な人との挨拶が6回繰り返されて、怖いけど薄ら可笑しさのある始まりでした。

もう設定だけでおもしろいじゃん。
異質なものが入ってきた不協和音と、彼らの殺人の理由や背景がわかってきて、いつか何かの事件が起きるんじゃないかという不安感。
でも正直に言っちゃうと、月末にとって上司から命じられてこなしている業務で、公務員としての彼の働きぶりが普通で、妙に面白かった。
そこに好意を寄せていた幼馴染の文(木村文乃)が東京から戻ってきてさらに複雑で、錦戸くんの存在はこの作品において大きかった。

みんなおかしいといえばおかしい。
犯しちゃいけない罪を犯してるけど、今はぎりぎり踏みとどまって真っ当に生きていこうとしてる。

でも踏みとどまれない人も、、、たぶん彼も自分自身を説明できないんだろうな。それしか言えない。
表情がなんとも言えない、目の表情が独特で彼らしい名演でした(誰って言わないー、ネタバレだもん)

ラストは説明しがたい展開で、息をのみました。びっくりしたーー。

 

「羊の木」という不思議なタイトルは、「その種子やがて芽吹き、タタールの子羊となる」という引用が冒頭にあるんだけど、
昔ヨーロッパで木綿の存在が知られてなくて、羊が収穫できる植物があると伝わったということらしい。

清掃員として働く清美が「羊の木」が描かれた缶の蓋を拾い、それを大切に飾っていて、アパートの脇に魚や小動物の墓を作り、そこからひとつ芽吹いた芽があった。

あ~~成程な~って思ったんだけど、説明できない。
っていうか、受け取り方はたぶん人によって様々で、説明できないのかもしれないけど、、

私的にはね、ラストがものすごい衝撃だったわけですよ。現実にはあり得ない衝撃的なことが起きてるんだけど、次の場面では、月末がいつものように仕事してた。
バイクの文とすれ違って「ラーメン」って、、、(笑)
あ、この間話をしたラーメン屋にいくのかな?って、もしくは今度行こうよ!って意味なのかもしれない。

日常なんですよ、死ぬか生きるかの出来事があったのに、それでも生きていくし、生活は続くんですよ。
どんな凶悪な殺人者がいても事件が起きても、普通の日常がそれを飲み込んで、それでも人は生きていく。

なんか、私はそれに感動してしまった。
お墓から出てた新芽はそういう意味なのかなぁって。

 

追記、優香のエロさは別格でした☆

 

 

羊の木  2017年  ☆☆☆☆
監督:吉田大八
出演:錦戸亮、木村文乃、松田龍平、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯

刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に少しずつ狂いが生じていく。



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