雨の日、8才の少女が小学校への登校時に変質者にレイプされる。
かろうじて命はとりとめるが、人工肛門という過酷な運命を背負い、
一生残る心の傷を負うことになる。
韓国で実際にあった事件をベースにした話だそうです。
だからね、可哀想過ぎて耐えられなくてね。
そんな昔の事件じゃないからご家族はご健在ですよね。
ここまでストレートに描くって、日本ではなかなかないんじゃないかな。
父親役のソル・ギョングも母親役のオム・ジウォンも、悲しみと怒りで気が狂わんばかりで。そりゃそうよね。誰だって我が身に置き換えたら苦しくてたまらない。
辛さに耐えながらもなんとか鑑賞できたのは、ひとえにイ・レちゃん演じるソウォンの素直で健気な可愛らしさだった気がします。
彼女は瀕死の状態の中、自分で警察に連絡をするの。
それはいつも忙しくしてるお父さんとお母さんの大変さをわかってるから。
そんなこと考えるような状態じゃないのに無意識にそういう事ができるしっかりした子なんだよね。
そんなソウォンが自分を責め始めたのは、マスコミが騒ぎ始めたから。
マスコミから自分を隠そうする父を見て、自分は悪いことをしたのかと恐怖で泣くの。
こんな姿になった自分が恥ずかしいとシーツを被って自分を隠そうとする。
もちろん卑劣な犯行が一番憎むべきことなんだけど、
被害者を傷つけることはそれだけじゃない、むしろその後の周りの行動がどれだけの人を傷つけるかということなんだよね。
特に韓国はマスコミは病院にまで押しかけるから、見てて腹立たしかった。
ソウォンは事件がトラウマとなり男性である父親と話すことができなくなっていた。
そこでドンフンがしたことは、ソウォンが大好きなココモンの着ぐるみを着て彼女を元気づけることだった。
これがね、もー泣けましたわ。
着ぐるみの中で汗びっしょりのソル様が、汗びっしょりだけど涙もいっしょにびっしょりなんだよね。
仕事の合間に着ぐるみで娘を見守り、学校に行くようになった娘をちょっと離れたところで見守る。
ソウォンはいつもそばにいるココモンを見て安心するの。
可愛いカバンに飴をいっぱい詰めて持たせたのは、人工肛門が臭うんじゃないか、ガサガサ音がするのが恥ずかしいという娘のために考えたんだね。
ドンフンは回復するソウォンに胸をなで下ろす一方、犯人の発言を聞き、恨みと娘を守りたい一心から殺人の衝動にも駆られる。
そして酒による心神耗弱という判決が出て、いつか又犯人と娘がどこかで出会うかもしれないという憤りが頂点に達するけど、娘に「家にかえろう」と引きとめられる。
この作品が描きたかったことは復讐することや憎むことじゃないんだよね。
復讐ではなく希望を。
タイトルそのもの、願い。
8才にして人は何のために生まれてきたんだろうと呟いたソウォンは、
生まれてきた弟を笑顔で迎えた。
生きるということは希望(弟の名前も希望)なんだってことを笑顔で見せてくれました。
「王の男」
「美しき人生」
「あなたは遠いところに」
イ・ジュニク監督の作品は好きな作品が多いです。
唐沢さんの「イン・ザ・ヒーロー」にカメオ出演してるってさっき知って、いつかそれ見てみよう。
そう言えばこの監督さん、商業映画から引退するなんて言ってたことあったよね。
こんな良い映画撮るんだから、まだまだ活躍して下さいませ。
ソウォン/願い(原題:??) 2013年 ☆☆☆☆☆
監督:イ・ジュニク
出演:ソル・ギョング、オム・ジウォン、イ・レ、キム・サンホ、キム・ヘスク
雨の朝、一人で登校した8歳のソウォン(イ・レ)は男に呼び止められ、半死半生の暴行を受けた状態で発見される。病院に運び込まれたまな娘の惨状に、父親ドンフン(ソル・ギョング)も、母親ミヒ(オム・ジウォン)も泣き崩れる。その後、執拗(しつよう)なマスコミの取材攻勢や社会全体からの注目に対し、両親はソウォンを何とか守ろうとする。
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