はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

SGLT2阻害薬と食事指導

2014年04月17日 | 糖質制限食
昨夜はA社とO社共催のweb勉強会に出席しました。
大阪での講演をwebで全国の会場のモニターに生中継するというものです。

毎回のことではありますが、勉強会というよりは、商品説明会、端的に言えば宣伝会です。

商品は4年前に欧米で販売が開始されたSGLT2阻害薬で、日本でも来週新発売となります。
以前にもアップしましたが、摂取した糖質の何割かを尿中にタレ流しにする薬です。

一日に1800カロリーを摂取する患者さんがいたとします。
バランスを考えて、炭水化物1000、タンパク質400、脂質400カロリーを毎日食べていたとすれば、
ブドウ糖が尿中に60gから80g排泄されますので、カロリー的には280も、炭水化物からのカロリーを失うことになります。
その結果、不都合なことが2つ発生すると思われます。

一つ目は、低カロリーです。1800-280=1520カロリーしか摂取できません。
二つ目は、バランスです。結果的には炭水化物は1000-280=720カロリーとなり、
総摂取カロリーである1520カロリーの47.4%しか炭水化物を摂取しないことになります。
すると、日本糖尿病学会が推奨する、炭水化物を50%以上摂取するという目標から逸脱してしまいます。
結果的に、学会が忌み嫌うところの、高タンパク、高脂質になってしまいます。

私が最も危惧するのは、患者さん達の空腹感が増大するのではないのかということです。
結果的にはカロリー制限を強化されたことになるからです。
そして、50%近くも炭水化物を摂るので、糖質制限にもなっていません。

最初の演者である滋賀医科大の前川聡先生は、"この薬を服用するからといって、
どんどん食べても良いということではありません。"と厳しく釘を刺されました。
2番目の演者であるドイツ人の医師は、"この薬を処方すると、
患者さん達は、お腹がすくのか、どんどん食べるようになります。"と、さらりと述べられました。

SGLT2阻害薬を処方する患者さん達への食事指導をどのように行うのか、次回は質問してみようと思います。

最後に、関西電力病院院長の、"玉無しチキンハート"である、清野裕先生が、長々と理論を述べられました。
まあ、以前と同じような内容だったのですが、最初は、"人間の脳と赤血球は毎日130gのブドウ糖を必要とする。"いう発言で始まります。
冒頭から間違っていますのでなんとも言いようが無いのですが、
そこまで断定するのであれば、脳が何グラムで赤血球が何グラムと、詳細を明らかにして欲しいと思います。
私の勝手な推測ですが、詳細は無いと思います。
昔は、脳と赤血球はブドウ糖しか利用できないと言われていましたので、その頃の文献からの単なる引用に過ぎないと思います。
ならば、その出典を公表する義務があると思います。
彼の理論はそこからスタートするのですから。

終了後は、土産の弁当を持ってガウディに行き、別の会合に出ていたT君と合流しました。
9時半から飲み始めたのですが、11時になった頃、T君が、"そろそろ最後の一杯にしましょう。"と提案してきました。
やはり。自分自身でクリニックを経営していると、昔みたいに野放図に飲んだくれるわけにはいかないと考え出すのでしょう。
えらいぞ、T君!
私に異存があるはずも無く、タクシーを呼んでの散会となりました。
しかし私は、帰宅して1時半まで飲んだくれてしまいました。
これでは早くに帰宅する意味はないかも.....