『マスク越し 目元麗し 陽炎立つ』
(ますくごし めもとうるわし かげろうたつ)
『春愁や 四合瓶の 青き玻璃』
(しゅんしゅうや よんごうびんの あおきはり)
『春服の 着る服無くて 腹凹む』
(はるふくの きるふくなくて はらへこむ)
『菜の花や 色は黄色く 口苦し』
(なのはなや いろはきいろく くちにがし)
『佐保姫は 遠い異国の 空の下』
(さほひめは とおいいこくの そらのした)
『ゆかしきは すみれ草かな 薺かな』
(ゆかしきは すみれそうかな なずなかな)
『煙入る 客車の中は 春霞』
(けむりいる きゃくしゃのなかは はるがすみ)
『薇の 風に伸びるに 種は無し』
(ぜんまいの かぜにのびるに たねはなし)
『春休み 食堂にある 静寂かな』
(はるやすみ しょくどうにある しじまかな)
『窓に見る 彼岸桜の 雨に濡れ』
(まどにみる ひがんざくらの あめにぬれ)