近くの公園を訪れたら,ツバキの木で作られた垣根が目に入りました。サザンカの垣根なら珍しくないのですが,わたしには「ツバキとは珍しい!」と思える景観でした。
近づいて行くと,実がいくつも生っていました。たいていの実は赤っぽく色づいていました。緑の葉の間に,あちこち頭を覗かせています。赤っぽくというのは,けっして単調な赤一色なのではなく,微妙に赤に移行していくグラデーションの色合いが見えるという意味なのです。
中には,実が割れて種子が覗けるもの,皮が大きく反り返るように3裂に裂け,種子が落ちてしまったものもありました。
そのうちの1個だけ持ち帰って写したのが下の写真です。
分厚い果皮に包まれて,順調に育ってきた種が3個。果実の先には,メシベの名残りがちゃんと残り続けています。まるで,へその緒のようにして。
別の実で,皮の一片が落ちたものがありました。種子の守られ方がよくわかります。
また別の実で,皮が大きく開いたものがありました。種の一部が残っています。さてこの実の場合,種はもともと全部で何個入っていたでしょうか。6個?
大外れ! 答えは9個。 一つの部屋に3個詰まっていたのです。
しかし,すべての実に9個入っているわけではありません。一部屋に3個とは限らないからです。一つの部屋に2個入っているもの,たった1個のもの,部屋ごとに数が異なっているものがあります。
これらすべてに共通しているのは,合計が3の倍数だということです。「部屋ごとに数が異なっているのに3の倍数とはおかしい!」と思われるかもしれません。ちゃんとした訳があります。よくよく観察していくと,うんと小さくなった種の名残りが見つかります。ちょうど,バナナの中心にある種の名残りとそっくりです。
それを勘案して数えると,結局3の倍数になるのです。