自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

昆虫の頭

2012-12-12 | 昆虫

肉眼で観察できる極小世界,たとえば昆虫を取り上げても驚異の世界が無限に広がっています。からだのどの部分にも,です。それについて立ち止まって考え始めたら,もうキリがありません。

眼については,とりわけふしぎが詰まっているように見えます。頭をすっぽり覆うばかりの巨大なドーム。複眼には個眼がどっさり。いったいどれほどの数が合わさっているのでしょう。

イエバエは2000個,ホタルは2500個,トンボは20000個などという数字があります。となると,下写真のオオクロバエなどはどれほどなのかと思ってしまいます。間違いなく,数千個はあるわけです。 

ぎゅうぎゅう詰めに行儀よく並んでいるものの,個眼1個1個のかたちはそう単純でもないという話です。ミクロの眼で観察すると,五角形,六角形,円形などいくつかのパターンがあるのだそうです。表面は当然多少なりとも凹凸面になっています。

蜜源を,色やかたちで見分ける鋭い視覚を備えているのでしょう。これが触覚と合わさって,探知能力を合理的に飛躍的に高めます。あちこちを飛び回って食べ物に巡り合った形跡が,からだに付いた花粉なのです。

ツマグロキンバエはとても小さなからだつきをしていますが,体形が小さくても立派な複眼を持っています。横縞の模様は非常に特徴的です。近寄ると,個眼がちゃんと見えます。複眼が接しているのはオス。 

 

同じツマグロキンバエのメスです。小さ過ぎるために,写真では個眼が写っていませんが,この個体にもあります。 

 

わたしたち人間が,たとえばこれらの昆虫と同じ構造をした眼の面を被って外界を覗くと,昆虫が見ているのと同じ世界が見えたらおもしろいだろうなあと思ってしまいます。色もかたちも,そっくりに。そんな研究をしている学者はいないのでしょうか。