自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

複眼の毛

2012-12-13 | 昆虫

白菊を訪れた昆虫を見ていると,花との関係を強く想像しないわけにはいきません。それで複眼に生えた毛のことを考えてみましょう。

ハナアブの眼はその典型例です。下写真はシマハナアブのメスです。 胸の灰白帯,腹にある白っぽい4本の縞模様が特徴です。果樹の受粉に積極的に利用されている益虫で,からだにたっぷり付いた花粉からその媒介者ぶりを物語っています。

複眼を見ると,おもしろいことに,ずいぶん毛が生えていることに気づきます。それも,どうやら前方部分に。

別の角度から撮りました。確かに眼の前部分にどっさり生えています。それに花粉がかなり付いているのが見えます。 

さらに近づいて,また別の角度から撮りました。眼の下方にも毛があります。上部にあるのか,ないのか,よくはわかりません。たぶん全体に生えていると思われます。 毛の上の方から撮ると,うまく写らないのでしょう。

それにしても,からだ全体を覆う毛,眼にも生えた毛,とにかく毛だらけです。これによって,アブを招く植物は子孫を安定して残し続けることができます。「おかげさま」というところでしょう。

では,この毛の,虫自身にとっての役割って何でしょうか。とくに眼のそれはどうなのでしょうか。 考えると気になります。何となくわかりそうなのは,花粉が付いていることからみて,直接ものが付着するのを防いでいるということです。花粉やゴミが付くのは感覚器の機能を損なうことにつながります。また,複眼が硬いものに触れるのは困るはずです。

ということは,眼の安全を確保しているということになるでしょうか。微小世界は次々と思いがけない話題を投げかけてくれるものです。