近頃の最低気温は連日,氷点下を指しています。
たまたま,家の中に置いているペットボトルにハエがとまっていました。動きの鈍さからみると,変温動物が寒さに耐えていることが伝わってきます。しかし,「耐えている」という表現はふさわしくないのかもしれません。それは,自然環境に応じてからだの調節機能が働いた結果に過ぎないからです。からだが「寒い,寒い」と感じているかといえば,そうでもないのでしょう。
せっかくだからと思って,写真を撮りました。毛で覆われたからだの様子がわかります。ハエは動きながらも口吻を出してボトルの表面を舐めていました。
別の日,室内の窓ガラスにハエが付いてじっとしていました。明らかに越冬休眠の状態です。頭が上を向いた姿勢だったので,カメラの角度を変えて何枚か写しました。
頭をすっぽり覆う複眼,それに3個の単眼がわかります。丈夫で,機能的に見える触角がちょこんと先に付いています。
拡大してみると,もっとよくわかります。複眼の中に,個眼が並んでいる様子が見てとれます。
つるつるしたガラス面に,しっかりと付くしくみが脚先にあります。見事なものです。ハエはこれが生活の武器になっているので,汚れるとしきりに口吻で舐めて掃除をします。
この日のハエのように家の中で見られる個体は,このまま成虫越冬します。暖かな部屋では,冬も活動できます。それで,飛ぶことがあります。もっともすべてものが成虫越冬するかといえば,そうでもなさそうです。種によって,卵,幼虫,蛹と異なっているようですし,多化性のハエではそれぞれの段階のものがいるとか。
そんなたくましい生態を備えているからこそ,環境に適応して生き延びていけるといえます。