自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その215)

2013-05-18 | ジャコウアゲハ

メスが担う役目は子孫を残すために産卵することです。我が家の食草庭園にメスが頻繁に訪れても,オスがやって来ることはほとんどありません。来ても,メスのように食草探しをするのにあれこれ慎重に行動するのでなく,さっさっと適当に飛んで,すぐに姿を消します。

メスはちがいます。産卵にいのちを賭けていることが実感できます。執拗に産卵場所を探し求めます。

一所懸命ということばがあります。一つの所に,全身全霊を注ぐ込むということです。メスは,きっとこのことばのように行動しているのでしょう。その結果,からだが疲れていきます。それはからだに如実に現れます。

翅の縁が崩れてゆきます。尾状突起がなくなります。翅の中ほどが薄くなって,透けてきます。

 

それでも,産卵にいのちを注ぎ続けます。 

時折,葉にとまって静かに休んでいるのを見ると,胸に響くものを感じます。それは,まさに今生きているという事実であり,いのちをつなぐ責任の大きさというものでもあります。

 


レモンにアゲハの幼虫(3)

2013-05-18 | アゲハ(ナミアゲハ)

(2)で取り上げた幼虫のミニ話をしましょう。

その翌朝見ると,脱いだ皮をすでに食べ終わって,じっとしていました。

一時間後,もう別の枝に移動して新しい葉を食べていました。幼虫のからだの大きさと比べると,相当な距離です。さっさと移動したことに,ずいぶん驚きました。

ところで,さらに驚いたことは,夕方になって元の場所に戻ってきていたことです。偶然なのか,習性なのかわかりません。わたしにはとてもふしぎな観察事実でした。それで,とにかく写真に残しておこうと思って撮ったのが下のものです。

頭の部分を撮りました。

何気なく見ている体色がこんなに変化に富んだ,豊かな色をしていることに驚きます。解説本によれば,鳥の糞に似せて外敵から身を守っているとか。それが当たっているにしても,そういう簡単なことばで片付けたくないほどの色合いです。

自然のしくみのふしぎを思います。