メスが担う役目は子孫を残すために産卵することです。我が家の食草庭園にメスが頻繁に訪れても,オスがやって来ることはほとんどありません。来ても,メスのように食草探しをするのにあれこれ慎重に行動するのでなく,さっさっと適当に飛んで,すぐに姿を消します。
メスはちがいます。産卵にいのちを賭けていることが実感できます。執拗に産卵場所を探し求めます。
一所懸命ということばがあります。一つの所に,全身全霊を注ぐ込むということです。メスは,きっとこのことばのように行動しているのでしょう。その結果,からだが疲れていきます。それはからだに如実に現れます。
翅の縁が崩れてゆきます。尾状突起がなくなります。翅の中ほどが薄くなって,透けてきます。
それでも,産卵にいのちを注ぎ続けます。
時折,葉にとまって静かに休んでいるのを見ると,胸に響くものを感じます。それは,まさに今生きているという事実であり,いのちをつなぐ責任の大きさというものでもあります。