自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

クロアゲハの成長(1)

2013-05-27 | クロアゲハ

5月27日(月)午後5時。庭に植えているキンカンの木に,クロアゲハが訪れているのを目撃。しきりに木を気にしている様子です。

しばらく見ていると,周りを飛びながら,産卵場所を探しているようです。フワフワと辺りを飛び,風に吹かれては遠のいて,そしてまた近寄って,そんなふうなのです。「この分だと,きっと産卵するだろう」と予感できました。

惜しいことにポケットにはコンデジがありません。それで飛ぶ姿を目に焼き付けて,もし葉にでもとまったらそこをきちんと確認しようと思いました。

と,そのとき,一枚の葉に降り,その瞬間卵を産む格好をしました。腹をギュッと曲げ,葉の裏側に回したのです。終わると,あの執着心はどこに行ったのかと思うほどあっさりと向こうに消えて行きました。

あと,葉の裏を確認しました。純白の卵が一個,葉先に付いていました。直径1mm! 「ヤッター!」。そんな気持ちが湧いてきました。ここからいのちの誕生に向けた観察が始まります。

卵は白くって,真ん丸いのですが,意外や意外,結構表面はざらざらした感じです。「そうなのか」と感じ入りました。お腹から出たばかりで,粘液でも付着しているのでしょうか。

この中に,いのちが宿っています。さて,いつ孵化するか,です。たぶん一週間後辺りでしょう。それまでに色の変化が見られるはず。たのしみがまた一つ増えました。

 


ジャコウアゲハ観察記(その224)

2013-05-27 | ジャコウアゲハ

出勤前の慌しい時間帯のこと。偶然,葉からぶら下がっている幼虫を見かけました。生まれてから日が経っていません。体長はほんの5mmほど。宙ぶらりんになって,クネクネ曲がっています。風が吹いて,揺れています。今にも落ちそうなのです。

からだを支えているのは命綱。綱役の絹糸は細すぎて,わたしの肉眼では見えません。しかし,ぶら下がる糸があるから,落下せずにこの位置にいることができる筈,と理解できます。

わたしは,これまでに何度かこういう格好になった幼虫を見ました。自然界でも見ました。それらはそれぞれもっと大きな幼虫期にある個体でした。今回は一齢幼虫なので,印象がまた違っていました。「こんな幼虫もちゃんと糸を出して,いのちを守っているのか」と感慨のようなものを感じたのです。

それで,翌日試しに家の中に植木鉢を持ち込んで,意図的に同じ状況をつくりだしてみました。爪楊枝の先で軽く押し下げるだけでよいのです。すると,すぐに葉から2,3cm離れます。何度繰り返しても,うまくいきます。一齢幼虫のときから,いざという場合に備えて絹糸をちゃんと出しているのでしょう。

ぶら下がった幼虫は,時間はかかりますが,クネクネしながら元にちゃんと戻っていきます。そう簡単に息が絶えるなんてことはないわけです。

どうやら,糸を肢で抱えているように見えます。もじゃもじゃっとしている塊りです。これも,授かった知恵なのでしょう。

自然の中で生きようと思えば,外敵だけでなく気象条件に災いされることもあるでしょう。小さなときは,吹けば飛ぶような存在です。一瞬の風や,たたきつける雨粒に,飛ばされないとも限りません。そうした災難を最小にとどめるためのしくみが,絹糸です。あっぱれです。