一週間経っても,十日が経っても,一向に羽化する気配が感じられません。それでもおかしいな,おかしいなと思いながら待ちました。
二週間後,意外な光景に出合いました。蛹の背に,黒い丸いものが見えました。「おやっ? なにかな」。目を凝らして確認すると,どうも穴らしいのです。ルーペで見ると,穴が一つぽっかり開いていました。真ん丸い穴!
「あれっ!? 寄生バチでも出てきたのかな?」。そう思って,もっとよく見ると,なんとごく小さなハチが背に取り付いていました。「ははーん,これが羽化して出てきたんだ。やっぱり寄生バチだ」。直感です。
しばらく見ていると,背を移動していました。とてもゆっくりした動きで,そこから去ろうとする気配はありませんでした。たぶん,羽化後間もないのでしょう。
さらに一週間後,またまた驚くべき事実と遭遇。もう一方の蛹からも同じように寄生バチが出てきたのです。背中に穴が開いているのも同じ。ハチが背中を移動している姿もそっくり。同じハチの仲間です。
蛹は災難に遭っていたわけです。道理で羽化しないはず。代わりにハチが出現! 名は同定できません。テントウムシの蛹にも天敵がいました。幼虫時に産み付けられたものでしょう。身近な自然界には,わたしにとって未知な事実がいっぱい詰まっています。