観察シリーズ(その212)でご紹介した一鉢の卵総数調査を,別の鉢でもやってみました。なぜそんなことを繰り返したかといいますと,食草がまだ背の低い段階にもかかわらず,そこに卵がたくさん産み付けられていたからです。一言でいえば,異様な様子ですらありました。
下写真を見てください。A,B,Cはそれぞれ別の株です。A,Cからはそれぞれ二本の茎が伸びています。高さ及び葉の数は次のとおりです。
- A株……18cm・5枚 10cm・4枚
- B株…… 5cm・4枚
- C株…… 3cm・3枚 3cm・3枚
最初にA株を調べました。下写真のように葉の裏に,たくさんの卵が付いています。26個(うち茎に1個) と幼虫1個体(今春の目撃第一号!)でした。
次にB株を調べました。21個で,すべて葉の裏側です。
ここでもまた,二段に産み付けられた卵を見ました。上写真に写った卵のうち,最上部のものがそれです。これだけかためて産むと,重なる偶然が生じやすいのでしょう。
産卵時の姿を思い浮かべると,どんなに背の低い草であれ,アゲハは必死で産卵場所を探しています。食草があれば,「しめた!」と感じるのでしょう。とにかくその場所に産み付けるのです。
話がそれました。元に戻しましょう。最後はC株です。そこには卵はありませんでした。
結局,卵の総計は47個,幼虫1個体になります。わたしにはとてつもない数値に思えてきます。“卵口”密度が極端に高く,ひしめき合っている感じです。 この鉢で幼虫全部を養えたらいいのですが,こんな葉の量はありません。これからも期待できません。ふつうなら,孵化しても餓死する幼虫がかなり出てくるでしょう。放置していれば必然的に自然淘汰が始まります。
わたしにできる対応は一つ。やはり棲息地に移すのがよさそうです。