自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(59)

2017-04-11 | 随想

館内のあちこちに置いた段ボール製の立体地球,ケント紙製のクラフト地球がどんなふうに受けとめられるか,見守っています。わたしの思いは,ちょっと好奇心をくすぐり,なにがしかの刺激が発信できればなあというところにあります。


わたしたちのミュージアムは地球科学をテーマにした施設なので,これらの作品が地球に関心を寄せるきっかけになればほんとうにうれしく思います。手作り立体地球をとおして,そうしたお声をこれまでに幾度となく耳にし,「よし,よし。やはり感じとっていただけたか」と成果のほどを薄々つかみかけていました。


そしてつい先日,うれしい事例にまた2つ出合いました。

その1つはご家族連れのお母さんの話です。受付スタッフから「子どもさんのお母さんが,薄紙と段ボール製の立体地球をどうやってつくられたか,知りたいとおっしゃっています」との連絡が入りました。お出会いして聞いてみると,できれば自分でつくりたいと思われたのだそうです。

わたしは展開図の実物をお見せして説明しました。興味深そうに聞いていらっしゃいましたが,「そんなにたいへんな作業なんですね。おもしろいと思ったのですが,わたしには到底できそうにありません」との結論。それに加えて,「でも,なかなかおもしろいものをおつくりになりましたね」といってくださいました。制作者冥利ですね。

この方には展示用のクラフト地球をプレゼントしました。ほんとうにワンダーをお感じになった方にはほんものを気持ちよくお渡ししたいと思います。遠方からの来館者だと,再訪できるのはいつのことになるかわかりません。それを考えただけでも,おもてなしはそのときどきにきちんとしておきたいと思うのです。


もう1つは,わたしが休みの日にあった話です。出勤すると,机にスタッフが書いたメモがありました。以下はその原文です。

 「厚紙と段ボールの地球儀に大変興味をもたれているご家族様がいらっしゃいました。段ボールの分は作り方のワークショップを,厚紙の方は作成きっとの販売を希望されていました。遠方の方だったようなので,厚紙の地球儀をプレゼントしました」

「わたしがいないときに,興味深く聞かれた方には気持ちよくプレゼントしてほしい。それも接客の心得」と伝えてあったので,じょうずに対応してもらえました。うれしいトピックです。

今後反響が続くようだと次々とプレゼントというわけにはいかなくなるでしょう。こうなれば,オリジナル商品として販売することも選択肢になりそうです。モビールキットがおもしろいかもしれません。かたちから見ると,置いて飾るものより,空間に吊るすものの方がインテリアとしてたのしめそう。でも,背伸びは禁物です。

さて,どう展開していくことやら。